人生は期待はずれの連続かも知れない

  私はいままでに、「人生は自分の思い通りにはならないのが普通だ」と何度も書いてきましたから、このことについてはみなさんが自分の経験に照らしてみれば、お分かりいただけるものと思います。 いままでの人生の中で自分の思い通りになったことと、思い通りにならなかったことと、どちらが多かった考えてみれば明らかでしょう。 自分の思い通りにならないことを努力して達成できたからこそ、充実感を味わえたのだと思いませんか。

  自分が頭の中で考えて、とても難しくてできそうもないと想像していたことが、やってみたらあっけなくできたということもあると思いますが、そんなときは充実感ではなくて、拍子抜けになってしまったと思います。 なにごとも充実感が感じられなければ、生き甲斐は感じられないと思います。 達成感と充実感と生き甲斐は同じことなのです。 生き甲斐を感じるためには、犠牲が必要なのです。 努力という犠牲が必要なのです。 犠牲の伴わない生き甲斐はあり得ないのです。 それなのに、なにもしないで生き甲斐が手にはいると思っているから、いつまで経っても生き甲斐が見つからないのではないでしょうか。

  努力のないところに、生き甲斐もないのです。

  人生は期待はずれの連続であるならば、なにをしても無駄だという考え方もでてくるでしょう。 期待しても実現することが難しいなら、なにもしない方がいいと考えてもおかしくないと思います。 実際そう考えてなにもしない人も大勢いるのです。 努力を放棄して、他人から生き甲斐を与えてもらうことを選んだ人たちです。 このような人は生きることに充実感があるのでしょうか。 ないと思います。 死ぬに死ねない、でも生きていかなければならい、毎日が惰性になっているのです。 こんな日常生活に充実感があるとは思えません。 苦労がない代わりに、楽しみも、喜びも、充実感も、生き甲斐もないと思います。 

  では、どうすべきなのか。 人生には期待はずれのことが圧倒的に多いという真実を受け入れて、なおかつ期待はずれが少なくなるように努力するしかないと思います。 期待がはずれればだれだって落胆しますが、その落胆は自分だけが味わうものではなく、生きていればだれでも味わうのだと考えることです。 「なぜ、自分だけがつらい目に遭うのだ」と考えてしまうと、生きることはつらくなること請け合いです。 他の人も同じ目にあって生きているのだと分かれば、そのつらさを耐えることができるのではないでしょうか。 生きていく上で悪いことが自分にだけ多いように考えがちですが、それは危険な考え方だと思います。 他人はその人に降りかかってくるいやなことを隠すから、自分だけに悪いできごとが多いように感じてしまうのではないでしょうか。 自分のことは自分に隠すことができないのですから。 このことは、とっても大切なことだと思います。

  大きなことを言えば人類が出現して以来、人生は自分の思い通りにはならなかったのです。 いつの世も、どんな社会体制でも。 だからお釈迦様は「人生は苦である」すなわち「人生は自分の思い通りにはならない」と悟ったのです。 どんなに偉い人でも、どんなに金持ちで人生は自分の思い通りにはならなかったのです。 どんな金持ちでも普通の人よりは思い通りになったとは思いますが、その人でなければ分からない悩みがあったはずです。 他人にはそれが分からなかっただけだと思うのです。 映画の話になりますが、「市民ケーン」の最期はそれを物語っています。 ぜひビデオレンタル店で「市民ケーン」を借りて見てください。

  お金持ちは自分の財産を守るために、相手を信じられなくなる人もいるし、相手を裏切ることもあるし、平気で嘘をつくこともあるのではないでしょうか。 なにも金持ちに限ったことではないのですが。

  自分の人生だけが思い通りにならないのではありません。 だれだって、同じ思いをして生きているのです。 「人生は自分の思い通りにはならない」という事実を、どのように受け入れるかこそが大問題なのです。 その受け入れ方によって、人生は大きく変わるのです。 どのように受け入れるかは、各人の自由なのですが。 思い通りにならないからといって他人や社会を恨むのか、それとも自分の至らなさを認めて、こんどは同じ失敗を繰り返さないようにするのか、そこには天と地以上の開きがでてくるはずです。

  期待はずれだから最初からあきらめるか、期待はずれでもやってみるか。 そのどっちかです。 それを決めるのは自分自身なのです。 いままでの苦しかった経験、つらかった経験を無駄にするもしないも、自分次第なのです。 この世の中のことのすべての出発点は自分しかないのですから。

  生きていくにはどんなことが起きても、それに耐えられる精神力を養うことが必要なのです。 この精神力を付けるには、なにごとも経験するしかないのです。 現実に負けないようにするしかないのです。 自分に負けないように努力する以外に道はないのです。 このことを絶対に忘れてもらいたくないのです。 逃げているかぎり自信を持てるようにはならないのです。 逃げているから苦しみがついてくるのです。 逃げているかぎり問題は解決していないからです。 

  人生は期待はずれの連続が多いからこそ、達成したときの充実感がなによりの喜びになるのです。 すばらしいことのチャンスが多ければ、本当にすばらしいことも色あせてしまうと思います。 少ないチャンスをものにできたからこそ、生きていることがすばらしいものになるのです。 チャンスを生かせないからこそ、生きていくことがつらく、苦しくなるのです。

 私は、そう信じて生きていくつもりです。

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