八方美人になった

 自信を失う大きな原因の一つに八方美人があげられます。 八方美人になることは人間関係をよくしようとするときに、もっとも陥りやすい誤りのひとつだと思います。 八方美人になれば人間関係はうまくいく、どうしてもそのように考えがちですが、これは大きな誤りだと確信しています。 かく言う私もこの過ちを犯した一人ですから、身にしみて分かっているつもりです。 このことはホームページのあちこちで繰り返し述べてきましたが、ここでも繰り返します。

  八方美人になる動機は、自分の無力感から相手の言いなりになってしまうことと、人間関係をよくするためには相手と摩擦を起こさないことであり、摩擦を起こさないためには相手に逆らわないのが一番だということでしょう。 確かに相手に逆らわなければ摩擦は起きないでしょうが、そのもたらす弊害が大きすぎるのです。 相手の言うなりになることは自分の本心を隠すことであり、自分の本心を隠して生きていくと、自分の感情を押し殺すことになります。 自分の感情を抑え続けることは、精神的によくないことであり、ひいては自分は本心を表現できないのだという無力感につながって、自信を失っていくのです。

  私は自分の経験からも八方美人になっていたときは、なにをしても、仕事がどんなにうまくいっても達成感や自信を感じることができませんでした。 八方美人には自分の価値を認めることは難しいのです。 そして相手の価値を認めることは簡単なのです。 

  仕事で自分の努力で成功したのに、その手柄を相手に与えることによって人間関係がよくなると考えるのは、考え違いも甚だしすぎます。 私には、そんな時代もありました。 そしてその相手を恨んでいたものでした。 

  人間関係をスムーズにするためには、絶対に八方美人になってはいけないのです。 自分をはっきりと表現することがなにより必要なのです。 「自分をはっきり表現する」とは、自分の言いたいことや、したいことはなにをしてもよいということではなく、言うべきときにははっきりと言い、しなければならないときは断固としてやるということです。 決して自分勝手なことを言ったり、やってもいいということではないのです。 

  自分の生き方を楽にするために八方美人になることを選んだのに、そのことが逆に自分の生き方を苦しくするのです。 嘘か本当かは、自分の過去を振り返ってみればお分かりいただけるものと思います。

  繰り返して言わせてもらいます。 自信のある生き方をしたければ、決して八方美人になってはいけないのです。 絶対にです。

しかし、日本の社会で自分の意見や立場を明確に表現することは、とてもむずかしいことです。 とくに、サラリーマンのような組織で生きる人間にとっては非常にむずかしいことです。 しかし、それでもなおかつ、自分を表現しなければ生きることはつらくなってしまうのです。 個々で大切なことは、協調と妥協は別物であると言うことを明記すべきでしょう。 妥協する必要はありませんが、協調することは必要不可欠なことです。

 どんなに協調しても、心を病むことはありませんから。 心を病むのは、妥協に妥協を重ねるからです。

トップページへ戻る