自分は完全でなければ、人(特に親)に受け入れてもらえないと思った

  「完全主義は自分の身を滅ぼすことになる」と、いつも書いてきました。 完全主義者は次のように考えると思います。

自分は完全でなければ相手に受け入れてもらえない
相手も完全でなければ自分は受け入れられない
完全でないものには価値がない
すべては理性で処理できる
自分が完全でなければ、自分でも自分を受け入れられない

  なぜこのような考え方になったのかは人さまざまですが、やっぱり家庭(親)の影響が大きいと言えます。 完全主義者は、この世には存在しないものを理想としてがんばっているから、自分にどんなに能力があっても、自分が一般の人よりどんなに優れていても自分には満足できなくなるのです。 そのような理想に向かって努力すれば、待っているのは絶望感だけです。 社会的にもだれにでも一目置かれる能力のある人が自殺することがありますが、その人はおそらく完全主義者ではなかったのでしょうか。 あるいは他人に認められる材料を、出し尽くしたのでしょう。

   私の経験から次のようなことがありました。 ホームページの人生相談にあった例です。 その人は人一倍努力して一流と言われる大学を卒業し、一流と言われる会社に就職し、様々な資格もとった。 本当にいろいろな資格を取得したようです。 けれどもいつもなにかに追い立てられているようで、不安でならない。 無力感に悩まされている。 私にはなにが欠けているのでしょうかという内容でした。

  私はこの相談を読んで、この人は完全主義者ではないかと思いました。 もしかしたら本人はそのことに気がついていないかも知れませんが。 私は「あなたに欠けているものがあるのではなく、求めすぎているのではないですか」と書いて投稿しました。 完全主義というものはこのようなものではないでしょうか。 いくら努力しても満たされることがなく、人より数倍の能力と実績に恵まれているのに結果的に味わうものは挫折感だけであり、無力感に陥っていくのではないかと思います。 結局自信を失うことになるのです。

  もうひとつ完全主義のいけない面は、自分は完全なのだからなにごとにおいても自分にミスはない、ミスがあったとすれば相手の方にあるという考え方です。 このような考え方では相手を受け入れられなくなって当然だし、お互いに意志の疎通を図ることができなくなります。 そして「自分に欠点はないのだから悪いのは相手だ」となり、社会や相手をこき下ろしたり、恨んだりするようになりがちだと言うことです。 

 このような、おごり、高ぶりが身を滅ぼしてしまうのではないでしょうか。

  完全主義が自分の身を滅ぼすとは、このようなことを言うのではないでしょうか。 すこしでもよくなろうとて努力することはいいことだし、必要なことです。 でも完全を目指すことだけは、やめたいものです。

  また完全主義は劣等感の裏返しでもあることは、別のページに書きました。

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