内向性は、生きるうえでなぜマイナスなのか

 内向性 … 思索的で、感情をなかなか表面に出さず、非社交的だが粘着力のある性格

  内向的な性格が悪いとか、逆に外向的な性格がよいということではなく、内向的な性格は生きていく上においてプラスなのか、それともマイナス面が多いのかということを考えてみたいと思います。 善し悪しを論ずることには、その前提条件(価値観)が必要であり、条件によっては内向的な性格は必ずしも悪いと言えないと思うからです。 内向的なことが人生にプラスになるかならないかは、価値判断の問題ではなく事実の認識の問題だと言えます。

  多くの人が認めるように(どこかのカルト宗教の教祖ではありませんが、「定説として」)、内向的な性格は生きていくうえにおいては外向的な性格に比べて次のようなマイナス面が多いと言わざるを得ません。

自分の思っていることをなかなか表現できない
似たようなことですが、自己主張できない
引っ込み思案なのでなにごとも逃げ腰となり、人並みの経験ができなくなる
自分で決断しようとしない
自立心がない
生きていく上においてなによりも必要な人間関係が億劫になる
ものごとを自分の責任と考えがちになる
相手の顔を立てることによって、自分の本当の感情に嘘をつくことになる
ひとつのことにこだわりがちになる
自分に無力感を感じてしまう
考えることに重点がかかりすぎて、実行に移しにくくなる
常に自分の立場を相手にゆずることによって、本当の自分を見失ってしまう
常に弱気になってしまう
自分を信じられなくなってしまう
他人の意見に左右されてしまう
気分が塞ぎがちになる
八方美人になりがち

 このように上げてくると、私がいままでに話してきたことのおおくが該当すると思います。

  私は外向的な生き方がいいというのではなくて、外向的な生き方に比較して内向的な生き方は苦労や悩みが多い割りには、報われることが少ないと言いたいのです。 自分なりに努力してもなかなか自分が認められない、成果が上がらない、自分に自信がつかないから、短絡的に相手や社会を逆恨みする危険性があるのです。 このことがその人をして、ますます内向的にしてしまうところに問題があります。 

  内向的な性格の一番損なところは、人間が成長するのに身体的にも精神的にも必要な経験(体験)を避けてしまうことです。 このことは何度も書いてきたのですが、いくら言っても言い足りないことです。 経験を避けるから、いつまでたっても自信がつかず、結果として悩み続けてしまうのです。 内向的な性格を変えるためにやるべきことは、自信をつけることだと思います。 内向的な性格と自信のなさは、同じことの裏表だと思います。 この悪循環から抜け出すことは容易なことではないのですが、避けて通ることはできないのです。 内向的で悩んでいる人は、どうすれば内向的な性格を変えられるのかよりも、なぜ内向的になってしまったのかその原因をはっきりさせることが大切だと思います。 原因が分からなければ、適切な治療はできないのです。 多くの場合自分を信じられない、自分に自信が持てない、そんなことが自分を内向的にしていると思います。

  また性格は幼いときからの親のしつけによって大きく左右されます。 なぜ自分が内向的な性格になってしまったのか、その原因が分からないときは親の性格と、自分がいかにしつけられたかを考えることも重要なことです。 いじめなどという原因は分かりやすいのですが、親のしつけが原因の場合は非常に分かりにくいと思います。 親子共々いままで当然と思っていたことが、自分が内向的になった原因とはだれでも考えられないし、考えたくないことですから。 案外にこのようなところに、問題解決の糸口があるかも知れません。 これを物理的な遺伝の法則で考えてはいけないと思います。 これに関しては「性格は遺伝する」を読んでください。

  なによりも人間の感情は否定的なことには、いつまでも耐えられないようにできていると思います。 肯定的な生き方をしている人が鬱状態になったという話は、私の知る限りではありません。 精神的に病む人は例外なく、自虐的、否定的な生き方や、結果論でものごとを判断する、孤独や、恨み、苦しみ、挫折、絶望、無気力、連帯感の欠如の中に生きていると言えます。 これが意味するところは、人間は元来生きることを否定的、孤立的に捕らえてはいけないということだと思います。 一時的には後ろ向きの生き方をすることがあっても、最終的には人生を肯定的に考えなければならないということです。

  人生を後ろ向きに捕らえる人がなぜ悩むかと言えば、それが人間の本性に反するからです。 人生を後ろ向きに捕らえるとなぜ悩まなければならないかというと、それでは人生が行き詰まってしまうということを私たちに語りかけようとしているのだと確信します。 風邪を引けば熱がでることが多いですが、なぜ熱がでるかと言えばそのままほおっておくと命に関わることになるので、熱によってウィルスを殺すために熱がでるのだそうです。 熱がでると言うことは、ウィルスに対する防衛反応なのです。 熱がでなければ症状は非常に重くなってしまうのです。 否定的な生き方をするとつらくなるのも、これと同じことでつらくならなければ一気に精神的に参ってしまうのではないでしょうか。 生きることがつらくなってきたということは、その生き方や考え方が人間の本性に反していることを教えようとしているのだと思います。 自分の利益だけを考えて生きていると、人間関係がうまくいかなくなることが多いのものも同じ理由からだと言えます。 

  しかし、内向的な性格も考え方によっては、長所ともなるはずです。

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