自分中心に考えられる人は強い人

  私はいままでに、ものごとを考えるときは、自分にとってはどうなのかを中心に考えなさいといってきました。 ものごとが自分にとってどんな関わりがあるのか、そのことを中心に考えるということです。 ただし、利己主義になってはいけませんとも言ってきました。 自分中心に考えることは利己主義ではないかとの反論は、覚悟しています。 繰り返しになりますが自分を中心に考えるということは、自分のためには他人がどうなってもかまわないということではありません。 むしろ自分中心に考えるということは、相手の立場をより考えなければできないことだと思います。 自分の大切さも分からない人には、他人の大切さが分かるはずがないからです。 自分が大切だからこそ、他人の大切さも分かるのです。

 この世の中のことは、すべてが相対的なのです。 すべてが……。

  自分を中心にものごとを考えられる人は、心の強い人だと言えます。 心の弱い人は自分の弱さを隠すために、自分を偽ったり、相手に迎合したり(相手に取り入ったり)する八方美人であり、そのような人は常に周囲の価値基準によってしか自分の言動を決められないからです。 自分でものごとを決断できる人は、自分の生き方、考え方に自信がある人なのです。 とは言っても、中にはずいぶんと自分勝手な人もいますが。  

  もちろん、ものごとを考えるときは相手の立場を尊重しなければなりませんが、最終的には自分の立場を優先させなければならないと思います。 そうしなければ、自分を偽ることになるからです。 ここで相手に嫌われるからとか、変に思われるからとか、仲間はずれにされるからという理由で、相手の考え方に従ってしまえば本当の自分が亡くなってしまうのです。 後に残るのは、後悔と自責の念だけになるのです。 自分に自信があれば自分の立場を優先させることができ、そのことが充実感を与えますます自信を深めてくれるのではないでしょうか。

  日本人は自分の立場を優先することは悪いことだという意識が強い国民ですが、考え直してはどうかと心から思います。 自分の立場を優先することは決して悪いことではなく、優先のさせ方の問題なのです。 自分を優先すべきときに優先させないから、よけいな悩みや苦しみが湧いてくるのではないでしょうか。 前にも書いたことなのですが、自己中心主義と利己主義は違うのです。 この両者の区別があいまいだから苦しむのです。 自分に自信がないから自己中心的に考えることができないのだと思います。

  どのようなときに、じぶんをどのように優先させればいいのか、それは人生経験を積まなければ分からないと思います。 だから逃げてはいけないのです。

  自己中心に考えるということは、自分に正直だということもできるのではないでしょうか。 自分に嘘をついていないということでもあるのです。 ただ注意しなければならないことは、自己中心に考えることは自分に甘くなる危険性と常に紙一重の関係にあることです。 この調整さえしっかりしていれば問題はないと思います。 自己中心と自分に対して甘いこととは似ているようですが、まったく違うということをぜひ分かって欲しいのです。 このようなことも頭で考えるのではなく、行動を通して痛い目に遭いながら自分のものにしていくことが必要だと思います。

  私の考え方がおかしいと思われる方は、常に相手に迎合した生き方をしてみればいいでしょう。 どちらの生き方が自分にとって生き甲斐をもたらしてくれるのかが、はっきりするはずですから。 ぜひ、自分で試してみることを薦めます。 私はこのようなことを理解できた上で、相手の立場を優先させることには異を唱えません。 なにも分からないままで、相手の立場だけを優先させることに反対しているのです。 なぜ、そのようなことを協調するかというと自分は訳も分からずに相手の立場だけを優先させてきて、身をもって辛い思いをしてきたからなのです。

  くれぐれも注意したいことは、自分中心に考えるということは自分勝手な考え方や生き方をしていいということではありません。 このことだけは勘違いしないようにしてください。

  自分を中心に考えるには、人間性と常識を身につけることが欠かせません。 現実から逃げているような人は自分中心には考えられないのです。 もしそのような人が自分中心に考えているとすれば、それは利己的な生き方ではないでしょうか。 自分中心に考えられないから、強くなれないのだと思います。 もっともっと自分を大切に考えてみてはどうでしょうか。 それが自分を大切にすることでもあると思います。

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