モンスターペアレント

 最近「モンスターペアレント」という言葉をよく耳にするようになりました。 「モンスター」は怪物を意味します。 直訳すれば「怪物親たち」とでも言えるでしょうか。 一体、どんな怪物なのでしょうか。

 卒業記念の写真を撮ったときに、「なぜ、うちの子供は真ん中で映っていないのだ。」と、学校に怒鳴り込んできた親がいたとさ。 あぁ、恐ろしや、恐ろしや。

 某大学の教職員に尋ねたところ、大学も学級崩壊していると聞きました。

 大いなる皮肉を込めて言わせてもらえば、モンスターペアレントの出現は第二次世界大戦後の教育としつけの燦然(さんぜん)と輝く金字塔(大成果)なのです。 戦後教育が、行き着くべきところまで行ったということだと思います。 第二次世界大戦後の教育やしつけのなかで、自由、平等、人権、個人の尊重といった基本的なことが、ねじ曲げられた結果として出現したのがモンスターペアレントと呼ばれる親たちなのです。 

 なぜ、このような親たちが多くなってきたのでしょうか。

 それば自由、平等、権利と義務、個人の尊重、過度な人権尊重、そして最近いわれているプライバシーの保護といったことが、利己的に解釈された結果だと思います。 それと同時に見過ごしてならないことは、権利意識だけが肥大化し義務意識が急速に希薄になってきたことがあげられます。 学校の先生がなにか注意すれば、親たちが先生にすぐに噛みついたり、教育委員会に直訴したりするから、先生たちはなにもできなくなり、言えなくなったのです。 それをいいことに、モンスターペアレントと呼ばれる親たちは言いたい放題、やりたい放題なったのです。

 そんな親たちは自分たちの知恵のなさに気づかず(気がつきようがないのでから、当然といえば当然なのですが)、ただ利己的に権利だけを振り回しているのです。 当の親たちは、「自分は正しいことをしている。 間違っているのは相手の方だ。」としか考えられないから、自分たちの言動にはゆるぎない自信を持っているのです。 このようにしか、ものごとを見られないように彼らの親から育てられたからなのです。 このようになった理由を書き始めれば、きりがなくなりますので割愛させてもらいます。

 また、一部の進歩的人間、進歩的弁護士といわれる人たちの影響も大きいと思わざるを得ません。 あえて書かせてもらえば、日教組という組織が日本の教育に与えたダメージははかり知れないダメージがあると確信しています。

 モンスターペアレントと呼ばれる親たちは、すべてのことを自己中心ではなくて、もっとよくない利己的にしか考えられないのです。 そして、自分の考えだけが絶対正しいとしか考えられないのです。 精神的には、完全な病にかかっているのです。 (本当は診療内科に行かなければならない人たちなのですが。) 過保護で、きままで、わがままに育てられた結果、ものごとの善悪、善し悪し、社会のルールを無視した、他人の存在のことなど気にもかけない親が、モンスターペアレントなのです。

 「学校に行きたくないなら、行かなくてもいいよ。」、「運動会の徒競走などでは、個人に順位をつけてはならない。」、「自分のしたいことだけをすればいい。」、「うちの子供の個性を伸ばすためには、集団のルールを破ってなにが悪いの。」、そのようにしか考えられないのです。

 モンスターペアレントは、生まれるべくして生まれたのです。 教育やしつけをひとつ間違うとどんなことになるのか、それを如実に証明しているのがモンスターペアレントなのです。

 モンスターペアレントの心の病を治すことは、容易なことではないと言えます。 不可能かもしれません。 彼らが信じて疑おうともしないことを、彼ら自身が否定しなければならないからです。 彼らの価値観のほとんどすべてを否定しなければならないからです。 そのような親たちの限って「自分が間違っているのではない。 断じて、自分は間違っていない。 間違っているのは相手の方だ。」としか考えられないから、心の病は深刻なのです。 そして、その犠牲者はいつも弱い立場の子供たちなのです。 そのような親に育てられて、子供の将来が気にかかって仕方がありません。

 人が健全に成長していくうえでもっとも大切なことは、「共に、分かち合う」ということだけだと言えます。 他人とのつながり、このことをどう解釈するのかですべてが決まってしまうのです。 多くの場合、意識していることはありませんが。

ともに喜ぶ
ともに悲しむ
ともに苦労する
ともに汗をかく
ともに笑う
ともに怒る
相手の立場に立って考える

 このようなことが、人間を健全に成長させるためのキーワードだと信じます。 いまの社会では、個々人がてんでんばらばらにってまったようにしか思えなくなってしまったから、生きることの意味が見つけにくくなり、生きることがよけい苦しくなったのだと思います。

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