親はなぜ過保護になってしまったのか

 子供を親が保護するとは、どのようなことを言うのでしょうか。 管理人なりの解釈で言わせてもらえば、「子供ができるだけ独り立ち(自立)できるようにしてやる」ことではないでしょうか。 危ないことから物理的に守ってやるということも、親の保護責任の範囲ですが、そのようなことはいうまでもないことです。 そして、そのような保護は子供が一定の年齢に達したら、決してやってはならないことなのです。 まずは、このことを頭に入れておいて欲しいのです。

 子供を育てるうえで、親の過保護が問題になっています。 なぜ、過保護な親やモンスターペアレントと呼ばれるような親たちが多くなってきたのでしょうか。 このことは、口が酸っぱくなるほど書いてきました。

 過保護な親が多くなった最大の理由は、親自身が現実への対応能力が低下したことがあげられるのではないでしょうか。 「子供を守るため」と言いながら、本当は親自身が苦労しないため、傷つことを恐れて、あるいは世間体を気にして、家庭などの小さな社会に閉じこもってしまったことがあげられるのではないでしょうか。

 親が自信を失えば、子供が現実の荒波のなかで傷ついたのを助けることはできません。 親が傷つくことを避けるには、子供が傷つくことをまっ先に避けなければなりません。 と言うことは、子供を現実の荒波にさらさなければいいのです。 そのためには、本来は子供自身がなすべきことまで取り上げて、代わりに親がしてあげれば親子共々傷つく可能性が低くなります。 このことが、子供の自立心を奪い、親も成長することを妨げてしまっているのではないでしょうか。

 子供が傷つかなければ、親も傷つかない。 これで親は安心していられるようになったのです。 問題のすり替えが、実に巧妙に集団的に行われてしまったのです。 「かわいい子には旅をさせろ」ということわざがあるのですが、いまの社会では「かわいい子供にはなにもさせるな。 勉強だけさせろ」となってしまったのです。 子供をそのような状態におくためには、親は子供に代わってどんなことでもしてあげるのです。 たとえ、モンスターペアレントと呼ばれても。 勉強して知識さえ身に付けば、知恵は自ずと身に付くと考えるようになったのではないでしょうか。

 人生にとって最大のリスクはなにもしないことなのですが、子供になにもさせないで勉強だけさせてしまうから、子供は成長できないし、判断能力が身に付いていないから短絡的に事件を起こしてしまうのではないでしょうか。 親にしてみれば、子供はかわいい存在です。 でも、かわいいからといって過保護にすることは、子供を不幸にするだけなのです。 子供がかわいいなら、年相応の経験を積ませなければならないのです。 それが、子供を保護するということの真の意味ではないでしょうか。

 知識を詰め込んだ、頭でっかちの人間を必死になって製造しているのです。 知識だけで、この世の中を渡れないことは何度も書いてあります。

 子供が人生という旅の途中で悩み、苦しむのを見ることに耐えられない親が過保護になってしまうのではないでしょうか。 子供はなにもさせられなかったから、問題を解決できないで悩む。 だから、見るに見かねて親が代わりにやってあげる。 この繰り返しが、子供を不幸にしているのだと思います。 モンスターペアレントと呼ばれるような親たちは、自分の子供だけが優遇されないと気が済まないわがままさを持ち合わせ、子供が優遇されれば心が和む、そんな利己的な心の持ち主なのです。 いま何より必要なことは、子供の義務教育ではなくて、親の再義務教育だと敢えて言わせてもらいます。

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