理論とはなにか
私は若いときには、「みんなとうまくやっていくためには自分の意見をあまりはっきりと言わないことだ」と、とんでもない勘違いをしていました。 自分の意見を言わなければ、相手と衝突していやな思いをすることもないと信じていました。 でもとんでもない間違いでした。 自分の意見を言わないことは、相手から見れば
勉強していないから言えない | |
なにを考えているかさっぱり分からない | |
なにを考えているか分からないから信用もできない | |
やる気がない | |
八方美人だ | |
なにを考えているか分からないやつに、大事にことは任せられない |
ということになり、自分にとっていいことは何一つないのです。
私は先輩によく理論武装が足りないと言われましたが、そのときはその意味がよく理解できませんでした。 理論武装するということは、大変重要なことでもあるし、有益なことでもあるのです。 「理論」という言葉の意味をいろいろな辞書で探しましたが、納得のいく説明がなかなか見つかりませんでした。 そして、ついに見つけましたのでここにご披露いたします。 皆さんもこの意味をよく記憶にとどめて欲しいと思います。 すでに知っている方には無用のことですが。
理論とは 個々の事実や認識を、ある原理・原則によって統一的に、だれにでも納得できるように説明し、しかも実践の指針となりうるもの 漢語林 (大修館書店) |
このことを知っただけでも、この辞書を買った意味がありました。 別に出版社の宣伝をしているわけではありませんよ。 念のため、申し添えておきます。 この言葉の意味は、すべての人が頭に刻みつけておく必要があるくらい重要なことだと思っています。
自分なりに解説すると
事実や仮説をある原理や原則によって、すべて矛盾なく説明が付くこと | |
だれにでも納得してもらえなければならないこと | |
そして他の人が研究したり、実行するときにはそれが基本となり、手助けにならなければならないこと |
これが「理論」の本当の意味だと思います。
ですから、次のようなことは理論と言わずに、屁理屈と言います。
自分や特定の人にしか通用しないこと | |
適用する原理・原則がその都度異なるとき | |
他の人が実践したときに役に立たないとか、理論通りの結果のでないもの | |
自己満足の範囲をでないようなこと | |
自分に都合のいいことばかりを並べ立てるのは、理論でもなければ、屁理屈でもありません |
自分を理論的に守っていないと
人に何か言われても反論できない | |
相手の言いなりにならざるを得ない | |
自分ばかりが相手の都合のいいように利用されて、利用価値がなくなればすぐに見捨てられる ・ 見捨てても反発されないから、見捨てやすい |
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自分の負うべきでない責任までも押しつけられる | |
自分の意見が正論であっても正論が通らず、横車を押したものが勝つ | |
詭弁で言い負かされる | |
すべての面で論理的な思考ができず、感覚的な思考になり、仕事などでは相手にされなくなる | |
いつ相手に負かされるかも知れないので、自然と卑屈になる |
理論的に武装することは、社会人として必須条件になります。 あなたの周りにも理論武装していない人がいると思いますが、その人達を見てください。 そうすれば、理論武装の必要性を理解できると思います。 ただし、理論武装すると言うことと、理屈っぽいということは似ているようで違うことです。 理屈っぽいと言うことは、非現実的なことばかり話したりしている人のことです。 理屈っぽくなってはいけません。 理論武装することが必要なのです。
理論武装のできない人は、相手に利用されるだけ、自分の言いたいことも言えなくなります。 そして相手を恨むようになってしまいます。
なんのために理論武装する必要があるのかを忘れてしまっては、理論武装の意味がなくなります。 相手と議論で勝つために理論武装するのではありません。 自分が苦しい生き方をしないために、理論武装が必要なのです。 仕事を円滑に進めるために理論武装が必要なのです。 よけいな責任をとらせられないために、自分の身を守るために必要なことなのです。
ただし、理論武装しすぎても嫌われますよ。 バランス感覚が大切。