大木の下によい木は育たない
自然界を見れば一目瞭然なのですが、大木の下に育つ植物を見ると
太くて丈夫な木になれない | |
なんとなく色つやがよくない | |
日陰を好む植物が多い | |
病気に弱い | |
大木の影響を受けやすい | |
木の幹や葉がやわらかい |
こんなような植物が多いはずです。
このことを人間に当てはめて考えると、現代社会の問題点がよく見えると思います。 この場合の大木とは親であり、その下に育つ植物とは子供のことです。 これから書くことはよくない(必ずしも悪いという意味ではなく)面ばかりになることを、あらかじめお断りしておきます。
子供にとって好ましくない親とは、
親の価値観を子供に押しつけようとする親 | |
知識偏重で、知恵を軽んじる親 ・ 学歴偏重など |
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他人との比較でばかり、子供を評価する親 | |
周囲の評判ばかり気にしている親 | |
見栄を張っている親 | |
過保護な親 ・ 保護と束縛を勘違いしている |
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子供を親の心の葛藤の道具にしている親 ・ 親の不安を隠すために、束縛を愛情と勘違いしている (これだけでは分かりにくいかも) |
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結果的に子供の自立心を妨げている親 ・ 親は本気になって子供の将来のためと思って育てているはずですが |
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ことなかれ主義や八方美人の親 | |
完全主義者の親 | |
利己的な親 | |
感情をすなおに表現できない親 | |
たてまえしか言えない親 | |
優劣ばかりでものごとを考える親 | |
なにごとも否定的に考える親 | |
いつも他人を見下している親 | |
自己主張できない親 | |
自分に自信を持てない親 (依存心の強い親) |
ほかにも色々とあるでしょうが、このような親が多いから子供の非行が問題になるのだと思います。
このような親に育てられた子供は
どことなくおどおどしている | |
自分で自分のことを決められない | |
学歴のないものは価値がない人だと思う | |
他人に優越していなければ、自分には価値がないと思う | |
我慢を知らない | |
協調することができない | |
自己主張ができない ・ 結果として感情を心の底にため込むことになる |
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感情が鬱積しているのでいつも心が晴れ晴れせず、いつ爆発してもおかしくない | |
相手を思いやることができない | |
依存心が強くなる | |
自分の感情の表現ができなくなる | |
親と同じように周囲の評価を非常に気にしてしまう | |
自分より弱いものをいじめることによってしか、心の葛藤を処理できない | |
社会と接触することが極端に億劫になる ・ 閉じこもりがちになる |
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暴力によってしか問題を解決できない ・ 力以外に問題解決の方法があるということが分からない |
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自分勝手なくせに、常にだれかに依存しないと生きていけない | |
ひとりではなにもできない ・ 集団になればどんな悪いことでも平気でできる |
いまの親子関係、家庭内暴力、閉じこもり、登校拒否、非行、凶悪犯罪、いじめ、学級崩壊、援助交際、虚脱感、その他の様々な問題の根底にはこのような原因があると思います。 子供を変えることももちろん重要なことなのですが、それ以前に大人としての親の在り方を変えることが必要だと思います。 子供の非行は大人に反省を求めているのです。 子供の非行は大人の考えの反映だと言ったら言いすぎになるでしょうか。 私は言いすぎではないと思っています。
著作権違反になる恐れがありますので詳しくは欠けませんが、本日(2000/6/14 )付けの朝日新聞の「声」欄にある18才の匿名による投書を読んでみてください。 本当に考えさせられるものがあります。 もし手元に今日の朝刊がない人は、図書館に行ってでも読んで欲しいと思います。 いまの子供たちがなにを考え、なにを言いたいのかが分かると思います。
このことは何度も言ってきたことなのですが、親が子供かわいさのあまり過保護にしてしまったことに、いまの子供の非行問題の原因の多くががあると思います。 親は本当は子供がかわいいというより、親自身が自分に自信がないので、親の心の葛藤を処理するために子供を犠牲にしたと言った方が適切ではないでしょうか。 束縛を愛情と勘違いしたことです。 親は子供を愛しているつもりで、束縛してしまっているのではないでしょうか。 だから親も本気になって怒ることができないし、子供は子供で親の自信のないことを見抜いているから、親がいくら注意しても反発するのではないでしょうか。 子供は子供心にも親の本心を見抜いているのだと思います。 親が自分の子供が自分で責任をとれるようにしつけなかったことの「つけ」が、いま回ってきているのだと思います。
過保護のしつけからは、親の期待するような明るくて、積極的で、自立心があって、思いやりのある子供は育たないのです。 大木の下に育つ植物は、日光を嫌い、環境の変化に弱いなんとなくたくましさに欠けた植物しか育たないのです。 たくましくなるためには日光に当たり、雨風にさらされ、寒さや、排気ガスにも負けないことです。 人間で言えば現実のつらさにさらされることが必要なのです。
だから、子供を責めてばかりいても問題はなにひとつ解決しないのです。 大人が自分たちのしてきたことを反省することから、改革が始まるのではないでしょうか。