人の心が崩れるのは一瞬だ (一瞬にして、過去が崩れる)

  私たちはだれでも程度の差こそあれ、目標を持って毎日を過ごしているはずです。 そしてその目標の実現に向かって努力しています。 その目標は非常に高い目標であったり、達成するのがそんなに困難でなかったりと、人さまざまな目標があります。 同じ目標であっても、達成するのに人によっては比較的短期間で達成できたり、また何年かかってもなかなか達成できないこともあります。 なかなか達成できないと、人は無力感や劣等感にさいなまれて、自らの手で人生を台無しにしてしまう人もでてきてしまいます。

  私たちはときとして他人の心ない悪口や中傷で、心が大きくぐらつくことがあります。 いくら信念を持っているつもりでも、やっぱり心がぐらついてしまうのです。 このようなことが直接的な原因となって、次のように考えてしまうことがあるはずです。

自分は相手のことをこんなに考えてつくしてきたのに、相手に分かってもらえないなら自分は一体なんのために努力してきたのだろう
なんであの人を信じてしまったのだろう
今までの苦労はいったいなんだったのだろう
だとしたら、これからも努力しても無駄ではないか
もうばからしいから、努力したり、あの人を信じるのはやめよう

  長い人生の中で、このような場面に幾度となく遭遇し、そのたびに悩んだり、苦しんだりすることがあるはずです。 いや、もうなんども経験している人の方が多いと思います。 そして人生を苦しみの人生に変えてしまった人(苦しみの人生に変えたのは相手ではなく自分自身なのですよ)、その悩みを乗り越えて新たな生き方を見つけた人とさまざまでしょう。 このように他人の心ない一言で、それまでのどんな努力や苦労でも一瞬のうちに崩れてしまうことがあるのです。 そんなときは感情的になっているので、冷静なことはなにを言われても感情が受け付けなくなっているから、始末に負えなくなってしまうのです。 

 こうなるといままでの努力や苦労が一瞬のうちに、水の泡となってしまいます。 後に残るのは、後悔と自責、恨み、つらみ念だけです。

なぜあんなことを言われなければならないのだろう
なぜあんな人を信じてしまったのだろう
なぜ自分には人を見る目がないのだろう
こんなことになるなら、今後はもうなにもしてあげたくない
自分はあの人の一体なになんだろう

  と。 とてもやっかいなことは、人は努力するためには、大変な忍耐と時間と強固な意志を必要とするのに、ふてくされるのにはなにも必要とせず、簡単にふてくされるということです。 そして人を恨んだり、憎んだりすることくらい簡単なことはないのです。 
 

 いったんこのような状態に陥ってしまうと、そこはあり地獄のようなものでもがけばもがくほど深みにはまっていき、抜け出すことは容易なことではありません。 少なくとも自分の経験からは、そう断言できます。 悪循環を繰り返すようになってしまいます。 これではいけないと分かっていても、そこから抜け出せなくなるのです。 そこから抜け出すためには大変な努力と強固な意志と、そしてなにか偶然の機会でもなければ抜け出せないと思います。 これは、それほどの深みだと思います。 そしてその深みにはまるのはとても簡単なことなのです。

 他人の心ない悪口や中傷というものが、自分にとって自分の人生を地獄に落とすくらい大事なものでしょうか。 考えればすぐに分かることなのですが、感情的になってしまうと簡単なことが分からなくなるのです。 他人に自分を理解してもらうということは、そんなに簡単なことなのでしょうか。 自分というものが他人に誤解なく理解されると思うことが、誤解や間違いやいざこざの最大の原因ではないでしょうか。 夫婦や恋人同士でもしょっちゅうすれ違いがあるのに、まして他人との間では誤解があって当然ではないでしょうか。 とくに日本人の特徴として、自分をあまり積極的に表現しないことが美徳だと考えている人々にとって、自分を誤解なく理解してもらうと言うことは不可能に近いと思います。

 熟慮の上行動するときは、他人の評価を気にしてはいけないのです。 世の中に自分とまったく同じの考えを持っている人はいないのですから。 似たような考え方をしている人は大勢いますが。 行動に移した以上は、他人の評価や結果は気にしてはならないのです。 準備や実行の過程に万全の準備と細心の注意をすることは必要ですが、結果にこだわってはならないのです。 結果はあくまでも結果なのです。 このことは、別のところで詳しく書きます。

 大切なことは、自分がこのような状況に遭遇したときに、自分の意志が崩れないように日頃から注意して訓練すること(人間を磨く)です。 他人のつまらない悪口や中傷に、自分の一生を左右されないようにすることです。 いまにも崩れそうな弱い自分の心と闘って、自分を成長させていく人が英雄だと思います。 英雄とは歴史上の有名な人ではなくて、弱い自分と戦って強い自分を創りあげた人や創りあげようとしている人を言うのだと思っています。

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