意識的に良好な人間関係を築こうとするから、逆につらくなることがある

 だれでも「人に好かれたい、そのためにはどうすればいいのか。」と日夜頭を悩ましていると思います。 人間としては、当然の心情ですね。 自信を持てない人ほど、自分自身を好きになれない人ほど、この傾向が強いと思います。 でも、ここに自分を苦しめている大きな要因があるとしたら、どうでしょうか。 「人に好かれたいと努力しているのに、そのことが自分を苦しめているなんて。 そんなバカな。」と思われるでしょう。 

 みなさんの周りを見て、友達や上司などで好きな人が、必ずしも信頼できる人とは限らないのではないでしょうか。 好きな人同士は考え方や生き方が似ているので、付き合っては楽しいのですが、だからといって信頼できる人とは限らないのではないでしょうか。 人間的には好きなのだけれども、付き合っては楽しいのだけれども、信頼できない、頼りにならないという人も多いのではないでしょうか。

 とくに、自信を持てない人が相手に好かれようとすると、どうしても相手に迎合することでしか相手に取り入ることができません。 自分の本心や心を隠して、ウソを言ったり、おべんちゃらを並べたり、八方美人になることで相手に好かれようとしてしまいます。 自分の本心を隠して相手に気に入られようとすることは、自分を苦しめます。 「なんで、こんなことをしてまであいつに気に入られなければならないのだ」と、そんな自分が情けなくなり、ますます自信を失っていくからです。

 では、良好な人間関係を築くにはどうすればいいのでしょうか。 口で言うことは簡単ですがち、実行するとなるとむずかしいことです。 それなりの覚悟が必要だからです。

 それは「好かれよう」とするのではなく、「信頼されるよう」に努力することです。 みなさんの周りを見渡せば、「どうしても好きになれないけれども、信頼できる」という人もいるはずです。 逆に、「あいつは好きだけれども、どうしても信頼できない」という人もいると思います。 むしろ、好きだけれども信頼できない友達の方が多いのではないでしょうか。

 信頼されるには、自分の考え方や生き方を明確に相手に伝える必要があります。 なにを考えているのか分からない人を、信用する人はいませんから。 そのためには、言うこととやることができるだけ一致していることが、なによりも必要です。 口先だけで行動の伴わない人を信用する人はいません。 人に好かれようとして、言うこととやることが一致しなければ嫌われるだけで、ますます自己嫌悪に陥ってしまいます。

 本当に人に好かれることは、冷たい言い方なのですが自分が努力した結果でしかないのです。 どんなに好かれようと思って行動しても、そのような気持ちは相手に敏感にキャッチされ、ますます好かれなくなっていくのです。 自分を率直に表現し、八方美人にならず、思いやりを持って接した結果、人に信頼され、好かれるのです。 「人に好かれることは結果論」とは、このような意味です。 心の弱い人は相手に利用されることはあっても、好かれることはないのです。 自分は利用されているのか、好かれているのかを知ることが大切です。

 相手に好かれようとして、好きになってもらっても、そのような状況が長く続くことはないのです。 信頼関係だけが、人間観を良くするポイントだと思います。

 良好な人間関係は、意識的につくろうとしてつくれるものではないのです。 自分なりに努力した結果が、良好な人間関係を維持できる人と、そうでない人に別れるのだと思います。

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