ジャック・テイタム

 この写真を見ただけで、古くからのRaidersファンは胸が熱くなることだろう。スーパーボウル]Tでジャック・テイタムがミネソタWRホワイトをフォロータックルで吹き飛ばしたシーンだ。ホワイトはヘルメットを吹き飛ばされ、約10秒間何も見えなかったと言う。

 この場面はタック牧田さんが撮影し、AFM誌「PRO ACTION」という雑誌に掲載された。地面に叩きつけられたホワイトを上から見下ろすテイタムの雰囲気がたまらない。多くのRaidersファンはこんなシーンに目を細めるはずだ。

 当時、フットボールを始めたばかりの私は、QBやRBに目を奪われ、ディフェンスのハードヒットといったフットボールの醍醐味にはあまり興味が無かった。雑誌が出た時もこの写真を観たはずなのだが、あまり印象に無い。この写真に興味を持ったのはHPを始めてしばらく経ってからのことで、実家にあった古いAFM誌を引っ張り出してからだった。当時のTD誌はこの時のシーンを次のように記述している。

 ”押せ押せムードでパスを乱発するミネソタQBの度肝を抜いたのは第4Q3分過ぎ。ミネソタ38ydの3&11ydに、ターケントンからWRホワイトへパスが飛ぶ。18ydのパス成功、同時にオークランドDBスキップ・トーマスのタックル。と一時遅れてオークランドのハードヒッターFSジャック・テイタムが強烈なフォロータックル。ヘルメットがホワイトのフェイスガードに食い込む。パチーンとヘルメットが宙に飛ぶ、チンストラップがグルグルと空に舞い上がった。失神したようにクタッとホワイトが地面に倒れ込んだ。ローズボウル全体が一瞬沈黙したプロの迫力だった”

 このシーンを、昨シーズンにスカパーで放映されたスーパーボウル・ダイジェストでじっくりと観た。もの凄いハードヒットだった。ホワイトは正に吹き飛び、しばらくの間動くことが出来なかった。そして、その動けないホワイトを見下ろすテイタム。後にハードヒットで有名だったロニー・ロットとどちらがハードだっただろうか、とこのシーンを観て思った。

 AFM誌ではRaidersのDBのことを次のように紹介している。
”4人のDBはは性格が対照的である。CBのウイリー・ブラウンとスキップ・トーマスは紳士的。Sのジョージ・アトキンソンとジャック・テイタムは無法ものだ。あまりに激しいタックルで罰金を食うこともシバシバ。Raidersの名物と言える。”

 当時はまだ、無法者集団としてのRaidersではなく、QBステイブラー、WRブランチ、ビレトニコフ、TEキャスパーといった所に興味の中心があった。でも、今の自分だったらジョージ・アトキンソンとジャック・テイタムにワクワクしていたに違いない。

 Raidersは無法者でなければいけない。相手チームがRaidersと戦うことを恐れるような無法者集団でなければいけない。この伝統だけは、未来永遠に引き継がれなければいけないと思う。そして、その伝統の中にいたジャック・テイタムという選手のプレイ振りをオンタイムで観たかった。

2002.5.1