スティーブ・グローガン

 1980年に就職で名古屋に住み始めたばかりの頃、当時三重TVで毎週土曜日の午後に放映していたNFLの番組を見たくて、私は30万円の大金を叩いてソニーの最新式ビデオを買った(まさか、ソニーのベータがその他陣営のVHSに負けるなんて、当時は思っても見なかった)。この頃のテープは残念な事にスーパーボウルを残して消去してしまったが、非常に印象に残ったシーンを覚えている。

 ある日の放映でニューイングランドの試合が流れたのだが、その時QBだったグローガンが、ラインメンがつけるようなネックロールをしていた。大体QBは小さなショルダーで、ネックロールをしたQBなんて日本の大学でも見たことがなく、一体何なんだとその時びっくりした。

 その放送の中でちょっと空いた時間にグローガンがどれだけ怪我をした事があるのかが紹介されたが、全身の写真のあらゆる部分から線が引っ張られ、怪我の解説がされた。当時は丁度首を負傷している時で首には大きなネックロールをしてプレイしていたのだった。

 そのことがキッカケだったのか、あるいはもっと前からだったのかはハッキリ覚えていないが、グローガンというQBを何となく応援していた。記録を見てみると、最初は当時NFLでは珍しいランニングQBで、怪我も多かったのも分かる。あまり試合のビデオを沢山観た訳ではないが、印象としてはいいパスを投げていたとう印象の方が強い。

 グローガンのいた頃のニューイングランドは、1986年のスーパーボウルでシカゴと戦った。この試合は知ってのとおり、ニューイングランドが惨敗したが、スターターはトニー・イースンでグローガンは試合の決まった後半になって登場した。

 この頃私は静岡にいたが、静岡の放送局ではプレイオフの中継もなく、スーパーボウルの中継だけだった。このため、スーパーボウルまでニューイングランドが勝ちあがる試合を観ることが出来ず、スーパーボウルを観てだけの判断になるのだが、なぜ、この試合で若いトニー・イースンではなく、ベテランのグローガンを先発させなかったのかと思ったのを覚えている。

 試合がほぼ決まった後だったからかもしれないが、グローガンの方が落ちついた良いクォーターバッキングをしていた(2本もインター食らっていたが)。物置の中からベータの古いテープを出してきて、確かめる意味で流して観たが、肩も衰えてはいないし、ステップも軽くまだまだスターター充分という気がした。

 ところで、私は何時の頃からだったか忘れたが(確か名古屋にいた頃から)、少しずつDEのポジションにも入るようになり、必要に迫られネックロールをつけるようになった。QBに入ったりDEに入ったりしていたが、QBをプレイする時に、いちいちネックロールを外すのも面倒くさく、以来ズーッとネックロールをつけたままである。

 ここ10年以上、静岡Falconsでプレイしているが、チームの連中から「QBのくせに何でネックロール着けてんだよー」と言われた時に「じゃかあしいやい。NFLでも昔、スティーブ・グローガンってQBが俺のよりもっと厚いネックロール着けてたんだぜ」と言い返したのを思い出す。

 スティーブ・グローガン。結構若いうちから頭は薄かったが、背が高くてヘルメットをかぶるとカッコイイQBだった(テリー・ブラッドショーもそうだったが)。ペイトリオッツがセンターのように構えた昔のチームロゴのヘルメットと赤いユニフォームが良く似合っていた。

2001.6.8