季刊午前24号

(扉の詩)土用うなぎ

        宮本一宏
土用うなぎの 季節でごじゃる
照りあう花どき 恋の闇
魚籠に うなぎ身 絡みあい
三日おもいの 真水を浴びる
垢ぬき 泥ぬき 焦がれぬき
可愛さ燃えたつ 口 目 鰭
互いの肌に メス走りぬけ
はらわた抱えて ちゆっと鳴け
火床ゆらゆら 身は灸られて
じんわり滴る 秘伝たれ
甘だれの匂い たちこめる        
旬のうなぎの とろ身でごじゃれ
蒲焼き照り焼き 秘伝たれ
照りあう夕どき 恋食われ


季刊午前24号目次



扉の詩 − 宮本一宏 座談会 小説を書く行為の現在 − 片山恭一/丹生秋彦/吉貝甚蔵 小説 藺草 − 諸藤成信 冬ざれ − 波佐間義之 島へ吹く風 − 野見山潔子 東唐津駅まで − 僑本明 運河 − 鹿野至 逃げる − 脇川郁也 立ち往生するヒトの内部 − 杉眞理子 エッセイ 「弁護士の眼ざし」浮気の結未 − 湯川久子 「フリートーク」川眺めの不思議 − 宇崎史人 マイ・フェィバリット・シアター 「十五才 学校「」〜大衆に依拠する作家山田洋次 − 大江高弘 表紙・カット 田部光子 季刊午前トップへ