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薬剤師と薬学のページ
001 単発コラム
鉄道薬剤師?(2006-11-26)
鉄道薬剤師」なる職業が,日本には存在していたらしい.

これは,「鉄道医」とセットとなっている概念で,JRがまだ国鉄だった頃,国鉄に所属していた医師や薬剤師について法律上与えられた官職名らしい.

で,「何で鉄道に医者や薬剤師が?」と思われるかもしれないけれど,これは主に国鉄職員やその家族を対象とした「鉄道病院」があった影響.1970年代までは,各地にある鉄道病院は一般の患者は取り扱わない病院だったのです.

同じように,郵政省(戦前は逓信省)の職員がかかっていたのは逓信病院で,そこの医者と薬剤師は「逓信医」「逓信薬剤師」とそれぞれ呼ばれていた模様.

「鉄道病院」「逓信病院」はある程度の大都市には両方あると思われますが,それぞれそんな来歴があったんですねえ.

さらにマイナーどころでは「造幣医」「印刷医」「専売医官」「交通医・交通薬剤師・交通看護長(朝鮮総督府交通局)」などもあったみたい….それぞれ別個に法律作ってたんだろうなあ.これらはみんな国家公務員にあたるので,法律とか条例とか規則で俸給について定めとく必要があったのでしょう.

ちなみに近年では国家公務員(およびみなし公務員)にあたる医師は人事院が勧告する「俸給表」に基づいて給料が決まっております.医師に適用される俸給表は「医療職俸給表(一)」です.決して高くありません.勤務医の仕事はハードで,全然割に合っていない収入だと(はたから見ていても)思います.
薬剤師は「医療職俸給表(二)」です.これは医師と看護師などを除く多くの医療職に適用されます.看護職は「医療職俸給表(三)」です.ただし看護助手は「行政職俸給表(二)」などに基づいているようです.

話がそれましたが,今でも法律で「○○医」というのが出てくるのは「産業医」とか「警察医」「監査医」「学校医」などがあります.「保険医」というのもそうですね,「保険医」といっても特別な存在ではなく,健康保険などが効く治療を行うためには医師は「保険医」である必要があります.つまり,普通病院で出会うお医者さんというのはみんな「保険医」だと思ってほぼ差し支えないでしょう.薬剤師についても「学校薬剤師」「保険薬剤師」はあります(「警察薬剤師」などはありません).

いや,さんざん語りましたが,単に言いたかったのは「鉄道薬剤師って響き,いいよね」ということだけです.お付き合いいただきありがとうございました.


「かんじゃさん」or「かんじゃさま」(2005-05-26)
薬剤師の世界にいると,どういうときに患者に対して「さん」づけにすべきか,「様」をつけるべきかで大いに悩んだりするわけで.

「患者様のニーズにこたえる」というな言い方だと,どうも医療をお金儲けのためのサービス業ととらえている(患者=金づる)ようでどうもなじめないんだよな….だからといって常に「患者」or「患者さん」という言い方しか出てこないのもまた,自分は患者を「治してやっている」という傲慢さがあるようで,いいことのようには思えなくて.
やっぱりここはTPOによって繊細に使い分けたいものだ.

具体的な人間を指していないときの集合名詞としての「患者」にまで様をつけるのはうやうやしすぎるだろうし.具体的な特定の患者を指す場合,たとえば症例報告などで「この患者さんは…」と使えば敬意と親しみがこもっていてよいと思う.
ただ,患者の心を扱う議論を除いた,たとえば病気や薬についての学術的な議論の際に「患者様」が出てくるのには違和感を感じる.そもそも理詰めのディスカッションにおいて「敬語」自体が扱いにくい存在でしかない.立場関係が議論に影響してしまい,正しい認識がゆがめられてしまう.日本人がディスカッションが下手なのは敬語表現という日本語独特の「足かせ」のせいだという意見もある.

「患者様」が使われていても違和感がないのは「書かれたもの」とかだろうか.「○○錠服用の患者様へ」とか.患者さんを目の前にして呼びかけるのにはちょっと使いづらい気がする….

そこらへんの使い方について会社や研究室単位で統一見解を持っているところってあるんでしょうかね?