アリアゼイオンの戦い
アリアゼイオンの戦い
言葉ある諸種族の戦い
『Protector Returns 西方守護の帰還』ガイドブックより抜粋
2116年薄緑月5日、400隻の艦船に搭乗した大陸派遣総軍主力は、西方守護オスレヴェーグを先頭にアウロンの白浜に降り立った。上陸した派遣軍はディアリムイ・ベミオク元帥とドゥアゼンレメルウェ参謀長の統制の下、デュラの仮設港湾に向けて前進した。
アウロンに駐留するデュラ沿海戦域軍は、前年の本島遠征失敗による遠征艦隊の壊滅のため、補給の欠乏に苦しんでいた。残った小艦隊を利用して本国から物資を回送してはいたが、その大半は人口希薄なアウロンに分散を余儀なくされていた。このため沿岸部の仮設港湾群はさしたる抵抗もなく奪取された。
大陸派遣軍は方面軍別に進撃路を定め、分散したデュラ軍を内陸に追った。このような分進合撃は各個撃破される危険を孕んでいるが、騎兵戦力の優越と敵の補給難により、ストラディウム軍は順調に進撃した。
ディアリムイは個別の戦闘を避け、敵軍をラウ=アウロン南方に圧迫していった。アウロンでの戦闘を長期化させないため、一挙に包囲殲滅することを策したのである。
一方、デュラ沿海戦域軍のガムダドゥルディ元帥も反撃の機会をうかがっていた。崩壊しつつあったとは言え、沿海戦域軍はまだ多数の兵を残していた。大陸派遣軍に打撃を与えれば北方への脱出路が開けるだけでなく、ローダニゾン方面の戦況を有利に運ぶことができる。つまり両軍共に決戦を欲していたのだ。
ベミオク元帥の進言によりオスレヴェーグが総攻撃を決めたのは蒔種祭の日であった。この日、東方のナルシオン山脈に龍が飛翔するのが目撃されたという。
明くる薄緑月18日、ストラディウム軍はアムウ村(といっても戦乱により廃虚と化していた)付近に集結するデュラ軍に北から迫った。大陸派遣総軍の総兵力12万、デュラ沿海戦域軍15万。これは大旗戦争における最大規模の会戦であった。
オスレヴェーグの下には本国部隊以外にもあらゆる援軍が集まっていた。ラムザスの遊牧戦士やギュノロンの騎士がニセイ元帥の騎兵予備軍に加わっていた。またモラムスの髭小人やマキットノイルの丘小人、南西海から来た妖精族なども第4方面軍の傘下にあった。まさに「言葉ある諸種族」の連合軍であった。
ディアリムイは各方面軍を三方向から進撃させ、デュラ軍を釣り出して機動包囲する計画を立てていた。しかしガムダドゥルディ元帥もその危険性を察知していた。彼は兵力を集中したまま慎重に前進し、敵の片翼を一気に粉砕しようとした。
デュラ軍は大陸派遣軍左翼に襲いかかった。縦隊を組んだ軍団が次々とアリアゼイオンの丘に突撃していった。アリアゼイオンの丘に陣する第4方面軍は、比較的弱体な混成部隊であった。彼らは果敢に抵抗したもののデュラ軍の人海戦術に圧倒され、敗走を余儀なくされた。この時、セルトーグ元帥の近衛軍が側面から反撃を加えた。縦隊突撃は人海戦術による衝撃力を絶大なものとするが柔軟性に欠け、側面は脆い。デュラ軍はアリアゼイオン丘陵から追い落とされたものの、さらに近衛国民兵軍団に矛先を向けた。
この頃、ファストディウムから出撃した第3方面軍と北西方面軍が南から戦場に到着し、デュラ軍左翼に迫った。ストラディウム軍右翼の突破を狙ったガムダドゥルディの攻勢は、今や裏目に出つつあった。
ガムダドゥルディは最後の予備兵力である騎兵部隊を投入して第3方面軍に向かわせた。これこそディアリムイの狙う勝機であった。ニセイ元帥を先頭にした騎兵予備軍12,000騎が、轡を並べてデュラ軍右翼に襲いかかる。既に全戦力を前線に投入していたデュラ軍はこれに対応する余力は無かった。騎兵予備軍はデュラ軍右翼を崩壊させると退路を遮断した。
恐慌をきたすデュラ軍に、近衛軍が最後の突撃を敢行した。その後は一方的な殺戮が続き、夕刻までにガムダドゥルディはじめ十万を越える敵兵が屍を横たえ、包囲の輪を抜け出たデュラ兵はごく僅かであった。
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