〔大正・昭和の水彩画ー蒼原会の画家を中心に〕95.8.24
明治から戦後にかけての、水彩画の動向を、大正時代に創立された「蒼原会」の作家たちの作品を中心にしてふりかえってみたという展覧会。
いつも油絵を見慣れた目で見ると、水彩画はとても新鮮である。何といっても、色の透明な明るさが(もちろん透明水彩を用いてのことだが)際立っている。いくつか心に残った作品をあげる。
○古賀春江「無題」
幻想的なとてもかわいい雰囲気の小品。油絵であったら、こんな軽い淡い美しさは出せただろうか。シュールレアリスムの作家だが、あまり作為的ではなく、童話の世界のようである。(1930年のもの)
○小堀進「朝陽(霞ヶ浦)」
戦後の1955年の作品。水彩ならではの美しい作品。あらの透明な太陽の光に輝く空と湖面。清々しく美しい。
また、透明水彩に不透明水彩を加えて、重量感を出した、素晴らしい作品もある。
○中西利雄「優駿出場」
重厚な絵である。画用紙ではなくカンバスに描いたことにもより、遠目には油絵と見える。しかし、空の色など、油絵には出せない透明さがある。1934年の作品。
○中西利雄「彫刻と女」
さらっとした美しい絵。不透明水彩で輪郭を描いた上に透明水彩を塗ったのか、不思議な立体感のある作品。女性の着物の黄色と着物の柄との透明感が印象的。
ほかに面白かったのは、次の作品。
○萬鉄五郎の作品
フォーブ的な作品が、水彩によくなじんでいる。一筆書きのような荒々しい筆使いが油絵で描いた時以上に効果的である。