〔「絵画の今日」展1995〕95.9.03
現代日本を代表する70人の画家の作品展である。
この作品群を見ていると、心が暗くなる一方である。ほとんど混迷の状態。絵画が何かすら分からなくなっているのではないかとすら思う。
全体にテーマが暗い。描かれた対象も、形や色彩が歪められ、極めて陰鬱な雰囲気。現代の混迷状況をそのまま反映したかのようである。
絵に美しさがないのである。見る者にたいしてハッとさせるようなものがないばかりか、心の安らぎを与えてくれるものもない。
あるのはただ剥き出しの心の不安。画家の内面の苛立ちがそのまま画面にぶつけられたかのように感じる。
その中にあって、美しいと感じさせるものがいくつかあった。でもそれは、これが絵かと思わせるようなものばかり。それは写真と見間違えるようなもの。写真そのままに、風景、それも現代の都市風景をそもまま精密に描いたもの。おそらく目で見たのではなく写真を写したのであろうか。完全にレンズを通して見た風景である。
他の一つは、水面の波紋を描いたもの。波紋の一つ一つを精密に描き、キラキラ輝く水面の光も一つ一つ描いている。これならカラー写真のほうがどんなにか美しい。
絵ってなんだと言っているかのようであり、きっとここに、現代絵画の混迷状況が凝縮されているに違いない。