〔特別展ー花ー日本人の美意識を誇りに思う〕95.11.10
絵や彫刻などに描かれた花を題材として、ここに込められた日本人の美意識を探ろうとする企画展。
@「信仰と花」
ここに描かれた花には、生きている花の面影はない。「供養」としての花があるだけか。
A「文学と花」
江戸時代に多くの屏風絵が描かれ、数々の名場面ー多くは花のあるーが描かれる。このころ、家庭での趣味としての花の栽培が行われる。花の美しさを楽しんでいる。
B「花の名所」
江戸時代、各地に花の名所が作られる。都市防衛の拠点であった寺院や社の境内や丘が市民の憩い集う花の名所となる。室町時代からはじまっ華道が、一般庶民のものともなった時代。
C「四季の花」
なんと多くの美術品や日用品の中に、花をモチーフとした文様の生きていることか。江戸時代に最も栄える。江戸文化というのは、とても洗練された都市の大衆文化であったことがわかる。ヨーロッパ近代に影響を与えたわけである。
D「花に迫る」
江戸中期、博物学が盛んになるとともに写生画が出てきて、ヨーロッパ的な写実の様が窺える。
野の花、栽培種の花を問わず、日本人の生活の中に花が生きていくことがよくわかる企画である。しかし、もうすこし説明版を分かりやすくしてほしいし、江戸の文化が、ヨーロッパ近代以上に自然と調和した大衆文化であったことを、作品群で示して欲しかった。