〔第17回想展〕96.5.26
月館さんの、昨年の県展入賞作品にいたる一連の作品をも見せていただいた。
●昨年の入賞作品:
もともとは左右が逆とのこと。木陰で眠る人が左で女神は右とのこと。面白いものである。構図を元に戻してみると、絵全体が一つに流れていた雰囲気がなくなり、こじんまりとした絵になる。左右を逆にしたことで、絵に幻想的な雰囲気が出ているようだ。
女神の抱える花束から花が飛んでいる様は構図が逆の最初の構想の時はなかった(女神の髪も今のように長く伸びてはいなかった)。作者としては、時の流れを表現したものらしい。
画面の中央にいるネコは、左右の構図を逆にした時に、絵をつなげるためと、絵にポイントをつけるために置いたとのこと。動物を抽象化するのは苦手なので、絵の他の部分と違ってそのまま描いてしまったとのことだが、現実感があることで、夢を冷静に見ている作者の存在を際立たせていることなど、作者が意図せざる効果を呼んでいることは面白いものである。
総じて、絵を書き始めた時の構想と、描いている途中でそれがどんどん変わっていくのが面白いのと、絵というのは感性で描くもので、意図せざるものになるというのが興味深い。
●今描いてい途中の作品:
花を抽象的にではなく、より具象的に描こうとした作品だとのこと。ただなんとも色のバランスが悪く、その花が際立ってこない。人物の服やバックの青・群青色系の面が強すぎるためか。作者としては、最初はオレンジ系でまとめていたのが、書いている途中で青を入れたら、ゴチャゴチャになってしまったとのこと。ここでも構想はどんどん変化していることがわかり、とても面白かった。