〔成川美術館─常設展示〕  1993.3.14


 現代日本画の傑作を集めた、箱根芦ノ湖畔の美術館。当日は「関口雄揮展」と「吉田善彦展」とが開かれていた。

 見て、とても興味深かったのは、関口雄揮の作品である。

 なぜかと言うと、伝統的な日本画の色彩と違い、黒─灰色を基調とした、とても重い感じの絵が中心であったからだ。

 とても引かれた作品が3つ。「雨のメトロ広場」「路地」「凩」という作品だ。

 どれも暗い色調ながら、その中に様々な色彩が渾然一体となっており、とても味わい深い。特に「路地」という作品は、パリのモンマルトルの風景を描いているのだが、二つの古びた建物に挟まれた暗い路地の向こうの明るい空と建物をバックに浮かぶ恋人らしき二人と、手前の路地に面した窓から、風になびく明るい色のレースのカーテン。そして路地の壁に書かれた様々な色の文字。これらのものが、暗い色調の中にくっきりと浮かんでいる。しかも、作品が縦1m80cm、横90cmと大きく、丁度見る人の視線の先に、実際の風景が広がっているかのような錯覚を起こすようにつくられているのである。

 花蝶風月を主題とする傾向の強い日本画にあって、このような心象風景は、とても新鮮であり、一緒にいた猪俣さんと二人で、しばし見惚れていた次第である。       (西高津中3学年職員旅行にて)


美術批評topへ HPTOPへ