〔TAMAうるおい美術展〕1992.2.8
月館さんの作品、「彼方へ」が入選。
この作品は、昨年の神奈川県美術展に入選した作品と同じモチーフのもの。コンクリートジャングルの中にたつ若い女性が一人。その目ははるか彼方を見ている。そしてその心の中を象徴するようなものが二つ。一つは、高速道路の彼方に広がる、美しい山並。そして他の一つは、コンクリートジャングルの中に続くトンネルの先の風景。明るい陽光を全身に浴び、優しい風に長い髪をなびかせた、若い女性のシルエット。
神奈川県美術展の作品とよく似ている。違うところは、作品の大きさと、人物の数。そして、トンネルの先の風景のみ。少し暗い色調の町並みと、トンネルの先の明るい風景の対比。そして彼方を見つめる若い女性の美しい目。訴えているものは、どちらも共通していた。
美術展全体の印象は、どの絵にも、画家の主張が明確に見られるということ。モチーフの選択や技法の選択は違っていても、そこに画家の主張がはっきり出ていること。見る者に、感性でせまって来るという点に、やはり時代を見たおもいがした。