〔ミューゼアムコレクション展〕94.11.20

 鎌倉近代美術館の収蔵作品による連続常設展示。「近代日本美術の名作」のパートIIIを見た。ほぼ戦後の代表的な日本画家の作品が展示されている。
 人によって様々な傾向がありながらも、日本画がその独自の領域からふみ出して、洋画の世界と融合しつつある事がよくわかる展示であった。
 
 最も印象に残った作品は、高山辰雄の「夜」と題する作品である。
 全面に暗い青色を基調として描かれた、夜の帳の降りた静かな村。ほのかに浮かび上がったシルエットから判断すると、中近東のオアシスの村か。その暗闇の中に、ほのかな月明かりによって浮かび輝く様々な事物の色合いの美しさと、事物の暗いシルエットが見事に対比されていて、とても幻想的な美しい絵であった。
 
 この展示会にはほかにいくつかの彫刻も並べられていた。一緒に見ていたのが美術科の高野さんだったので、いろいろと解説してくれた。
 おもしろかったのは向井良吉の「背の高いオブジェ」。金属の塊なのだが、よく見るとそれは発泡スチロールの箱の形をしており、発泡スチロールの箱をちぎって、それをつなぎあわせた形に見える。高野さんの解説によると、砂の中に発泡スチロールの箱を埋めて、その中にドロドロに溶けたアルミニウムを流しこむと、箱とそっくりの形をした金属の塊ができるとのこと。指でしめされた所をよく見ると、金属なのに、発泡スチロールの特徴的な地肌が、そのままに再現されていた。

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