〔両洋の目展〕95.2.5


 洋画・日本画の区別なく、現代の画家たちの作品をあつめた絵画展。自分と同世代の画家が多く、興味深い展覧会であった。おもしろかった作品をいくつかあげる。

1)「ルソーの花」─靉嘔(1937年生まれ)─

 遠くから見た時は普通の絵のように見えるのだが、近づいて見ると、版画である。アクリル絵具の面が何層にも重なっていて、不思議な立体感を絵に与えている。

2)「夢」─カジ・ギャスティン(1951年)─

 まるで、大理石などの石の表面のようなツルツルとした画面。そこに子供のいたずらのようなひっかき傷。それが絵なのである。おもしろい。

3)「わたる(天回)」─奥山民枝(1946)─

 まるで光の渦。波(?)のようにも見えるキラキラと輝く光の渦(筆のあとがそう見える)。油絵なのだが、ほとんど日本画の雰囲気である点がおもしろい。

4)「S氏像」─野村義照(1945年生まれ)─

 暗い画像である。画面に深い静寂が漂う。まるで墨絵を見ているようである。

5)「石舞台輪舞」─金森良泰(1946年)─

 やけに立体的な絵だと思ったら、フレスコ画であった。漆喰で岩も飛天も立体的につくっており、色も美しい。フレスコ画というより、色彩は日本画的であり、古代寺院の壁画のようでもある。

6)「記念碑」─牛島義弘(1957年生まれ)─

 巨大な鉄製のアンモナイトが、赤錆びて緑の丘の上に立つ。現代文明を象徴しているかのような絵。しかし、雰囲気は牧歌的。

7)「SANDPLAY9412F」─金昌永(1957)─

 濡れた砂で地面に渦をつくった。ほとんど本物のように見えるが、油絵である。砂の一粒一粒の陰影がしっかりと描かれており、本物の砂絵のよう。周辺に糊付けされた、本物の砂が、その効果を倍増しているようだ。


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