前期旧石器ねつ造事件

 これは考古学と言う学問の根幹を揺るがしかねない問題です。考古学とは何か。考古学とは何を何のために明らかにするものなのかなど、根本的な問いがつきつけられます。また考古学をやっている学者・研究者たちの集団の質も根本的に問い直されます。ねつ造に使われたという石器の多くに縄文時代の石器の特徴が見て取れます。どうしてこんな明らかな事が、新聞記者のはりこみという異常な方法によってしか明らかに出来なかったのでしょうか。考古学会の内部体質が問題にされます。そしてもう一つ、報道のありかた、マスメディアのありかたが問題になります。今回の捏造事件をスクープしたのは毎日新聞です。でもその毎日新聞こそ先頭を切って学会内でも有力は批判があった前期旧石器の「発見」を全て確定した事実のようにして報道してきた当事者です。検証されていないことをまるで確定した事実であるかのように報道し、前期旧石器論争を歪めてきた張本人。その毎日新聞がそのことの根本的な反省なしに、藤村氏を待ち伏せしてスクープ映像をものにし、前期旧石器に止めを刺した無責任さ。これも問題です。

関連するサイト
石器の考古学 石器の研究を生業としているアルカという会社のHP。2000年7月にすでに前期旧石器はおかしいことを、石器をつくる技術・文化の観点から批判していた。「石亭秘話第4回」を見よ
考古学系サイト掲示板情報 考古学系サイトの掲示板における討論状況を集めたもの。NEW!01.1.27
考古学者の批判@ 宮城県の旧石器および『前期旧石器』時代研究批判」:86年に人類学雑誌に掲載された批判論文の抄録。(小田静夫氏・C.T.キーリ氏の論文)
火山学者の意見@ 火山灰の層序により今回の一連の前期旧石器の遺跡は年代が判定されていた。その火山噴出物による火山の歴史の専門研究者の目から見た石器ねつ造事件。群馬大早川氏の意見。
火山学者の意見A 「火山灰編年学からみた前期旧石器発掘捏造事件」:群馬大早川氏の上の考察をさらに精緻に展開されたもの。             NEW!01.6.22
考古学者たちの意見@ 南河内考古学研究所の掲示板。専門家たちのこの問題に関する議論が掲載され、この事件がはらむ問題が良く整理されている。
考古学者たちの意見A 高知縄文探訪・考古学日誌。前期旧石器ピルトダウン事件。縄文研究者の立場からの意見。サイト廃止か?
ここ
考古学者たちの意見B 「青森遺跡探訪」:三内丸山遺跡を500人・1500年の村と誇大に宣伝する「学説」を批判するために設けられたサイト。※残念ながら閉鎖されてしまった。(この掲示板での論争や『捏造問題関連論争』での議論の過去ログ・およびその後の論争は・・・・”神の手”事件情報局を参照のことここ
考古学者の意見C 今度は考古学のスキャンダル:予備的レポート」:C.T.キーリ氏の捏造事件に対する意見@(原文は英文)の日本語訳
考古学者の意見D いかに2ヶ所の前期旧石器遺跡の偽造が日本考古学全体にダメージを与えたか」:C.T.キーリ氏の捏造事件に対する意見A(原文は英文)の日本語訳
考古学者の意見E 前期旧石器捏造事件の背景」:國學院大學教授小林達雄氏のコラム(新潟県立博物館報掲載)NEW!01.1.27
考古学者の意見F 『自壊する考古学・成長しない集落論』:旧石器捏造の背景を、日本考古学の体質にまで及んで考察したもの。縄文集落論における三内丸山の「特異性=歴史捏造」にも言及。考古学者の佐々木藤雄氏の論考。 ※この論文が掲載される「こまきのいせき」のHPの「迷い込んだ大人のためのとっておきコーナー」も貴重。   NEW!01.8.15
考古学者の意見G 「土と前期旧石器の捏造」:前期旧石器は単一地層面から「発見」され、通常なら自然の力によって受けているはずの上下移動をなしていない。これがおかしいと気づかなかった所に、前期旧石器研究者たちが捏造を見抜けなかった原因があると指摘する論文。C.T.キーリ氏の捏造事件に対する意見B(原文は英文)の日本語訳。NEW!02.5.05
考古学関係者の意見 八ヶ岳旧石器通信の掲示板。専門家だけではなくマスメディアの記者なども発言。
問題の関係資料 邪馬台国大研究・旧石器捏造。今回の事件関連の遺跡や遺物の情報や写真など整理されている。
新聞記事のインデックス 閼 伽 出 甕(アカデミカ)第12版。特集「旧石器発掘捏造事件」。関係の新聞記事が全国的に網羅
され整理されてリンクされている。
書評:(私の意見) 書評「背信の科学者たち」:20世紀のアメリカにおける科学者たちのデータ捏造事件の背景を分析した書物だが、今回の旧石器事件を考えるのに格好の参考書。本の紹介を兼ねて私の意見の概略をのべたもの。

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