1年「総合」実践のまとめ

2000年1〜3月


全体のまとめ

 1年の総合選択は3学期の実施に先だって1学期から準備を進めた。5月の「学区探検ウオ―クラリー」  や「7月の多摩川自然観察」、そして10月の文化祭にむけた活動など、3学期の総合選択を実施する観点に基づいて準備を進めてきた。
 その観点は、これらの活動を通じて、授業の中でだけでは得られない認識を深めることである。
 各行事と3学期のコースは下の3つの柱にそって設定されている。

@環境:
 人間の生き方の問題として自然と人間とが共生するためにはどうしたら良いか。このことを身近な環境に触れる中で学び取って行く。

A福祉・人権:
 さまざまな障害を持った人々やお年寄りなどと共に生きていける社会をつくる必要があることを実践を通じて学び取って行く。

B国際理解:
 さまざまな国の人々と共に生きていくことの大切さを、それぞれの文化や習慣の違いを体験したり考えかたの違いを体験したりする中で学び取って行く。

 これらの観点をさまざまな体験学習を通じて学んで欲しいと考えて今回の総合選択のコースは設定された。各コースの成果と反省については以下の各コース担当の記述に譲るが、ここでは全体としての成果と課題をまとめておきたい。

 8時間という短い時間ではあったが、生徒たちは全体としては熱心に学習に取り組んでいた。座学ではなく比較的体験的学習が多く設定されたことがこの背景にはあると思われるし、また各自の希望に基づいてコースわけがなされていることもその要因であろう。そして生徒たちはその各自が選んだコースの学習を通じてさまざまな興味や関心を育てたようである。
 さらに生徒のアンケートによると、多くの生徒が今後学びたいことを具体的に持っていることも、大きな成果といえよう。
 この3学期の総合選択だけではなく、特に文化祭において総計15時間ほどの「総合学習」を設けたこともあいまち、生徒たちはそれぞれ、様々な興味・関心を深め、いろいろなコースを体験したことにより何が自分にとって大切であり、何を自分は学んでみたいのかを掴み取って行ったようである。
 この意味で1年間同じコースで学習するよりも1年生の入門時期において半年を単位として2学期制とし、複数のコースを選択できるようにすることで、何を自分がしたいのかを見つけることを促し、そのことを足がかりとして、次の年度にはその興味・関心を深める機会を設けることが有効であると思う。
 しかし、問題点もいくつかある。
 一つは、全てのコースが第1希望で組めなかったことである。1コースに50名以上の希望者が集まったことで指導の側の限界が見えたのでやむなく再度希望をとって調整した。その結果不本意なコースへ行かざるを得ない生徒がでてしまい、この中に最後まで学習に乗れない生徒が出たことである。やはり希望を取った時点で、人数の多いコースは担当者を増やしコース内を二つのグループに分けるなどの措置を出来る限りとるべきであったろう(しかし、限られた教員数では小人数のコースがつぶれてしまうのでどこまでこの措置をとれるか疑問である)。
 二つ目は、活動時間が1時間(45分)と短くどのコースも充分に活動できなかったことである。やむなく昼休みや清掃の時間にも延長して行ったが、生徒には負担となったようである。できれば週に1回2時間を単位として実施できればありがたい。
 三つ目は、外部の講師を招くことの難しさである。当該のコースのところに詳しくは記述されているが、講師の想いと学校の担当者の想いとが食い違ったときに指導に困難が生ずる。特にプロの講師を招いたときにはプロの講師は「積極的にそのコースを選んだ生徒を専門的に指導したい」と言う想いが強く、こちらの「興味・関心を生み出す、きっかけになれば」という思いとの落差が大きく、この部分の事前の調整が不可欠だと思われる。もちろん、専門的な講師に教えてもらえることは生徒にとっても貴重であり、意欲のある生徒にとっては大きな刺激となり励みとなったようである。
 外部の専門的な講師の力を借りることは今後総合学習を進めて行くとき不可欠の問題であるので、生徒の意欲を高めるための事前の取り組みやコース設定の仕方の工夫が大切であるが、講師との充分な事前協議がコースを設定する過程でじっくり行う必要があると思う。

 以上成果と課題を大雑把に整理してみた。これは学年全体の討論の結果ではなくまとめを行った川瀬の個人的見解であることを付記しておく。
                                川瀬まとめ(2000.4.1)

コースごとのまとめ

(1).環境系多摩川水質・岩石調査コース                  指導者:張替秀夫

1.コース設定のねらい

 「身のまわりの自然を調査する方法を身につけよう!」をねらいとして、コースを設定した。具体的には

@多摩川の汚れ具合をどうやって調べるか。
A多摩川にみられる石の名前をどうやって言い当てるか。

の二つのコースに分けて実施した。

2.学習活動計画と学習内容

<活動計画>

 

@水質調査班

A岩石調査班

1時限目 水質検査器具の使い方 堆積岩の見分け方
2時限目 多摩川の水質調査 火成岩の見分け方
3時限目 前時と同じ場所での水質調査 多摩川河原での実習と採集
4時限目 前時と同じ場所での水質調査 採集してきた岩石の研磨の練習
5時限目 二ヶ領用水の水質調査 岩石研磨実習@
6時限目 前時と同じ場所での水質調査 岩石研磨実習A
7時限目 前時と同じ場所での水質調査 岩石研磨実習B
8時限目 多摩川と二ヶ領用水の水質調査 研磨した岩石の仕上げ
まとめ

<学習内容>

@多摩川の水質調査で調べたこと。

A:CODによる汚染調査。
B:リン酸による有機洗剤の流入量。
C:ph測定器による水の酸性・アルカリ性の度合い。

A岩石調査班で行ったこと。

  まず、資料と標本を使って、岩石の見分け方の方法を学習し、実際に多摩川の河原に出かけてどんな岩石が見られるかを実習した。途中から生徒が岩石の研磨に興味をかなり示したため、研磨の実習を中心に展開した。

3.生徒の反応

@水質調査班

ア.出かけて調べたのでよかった。
イ.調べ方がわかってよかった。
ウ.他の場所でも調べてみたかった。
エ.自分で調査できるようになれたのでよかった。

A岩石調査班

ア.石を削るのが大変だった。
イ.石を削る内に,ピカピカになっていく様子がとても面白かった。
ウ.もう少し時間が欲しかった。
エ.石灰岩とチャートの区別に塩酸を使うのが面白かった。
オ.石にはいろいろな種類があることがわかった。

  【生徒の感想文】

 授業をうけて石の名前がわかった。感じたことは、石がこんなに削れるのかと思った。考えたことは,石はどうやって出来ているのかなと思った。石の名前を覚えていると,歩いているときにチャートなどが分かるようになったからうれしかった。  思ったより川は汚く,その原因が人が川に汚れた水を流しているからです。そんなに汚れているのに,生き物がいてすごいと思いました。もっと川をきれいにする方法はあるんじゃないかと思いました。

4.成果と今後の課題

@多摩川の水質調査について

 大きな成果としては,一人一人が興味を持って水質検査の方法を学習する姿勢が身についたことである。ただし課題としては、「検査結果からどのようなことが言えるか」というまとめがしっかりと出来なかったことが残る。

A岩石調査について

 大きな成果としては,岩石研磨の仕方が一人一人身についたことにある。ただし,岩石の見分け方についての現地での実習が少なかったため,見分け方があまり身につかなかったことが課題として残った。

 

(2).自然系・環境芸術コース                      指導者:井上弥生

1.コース設定のねらい

 ・多摩川に落ちているガラスを拾う行動と,そのままではゴミとなってしまうものから作品をつくり出していく活動から,環境問題(ゴミ問題)に目を向ける機会とする。
 ・二つと同じ形のない拾ったガラスを組み合わせて,立体のランプシェードを作る活動を通じて,図形についての直感的な見方を伸ばす。

2.学習計画と学習内容

1時限目 オリエンテーション,グループ作り
2時限目 イメージ図、設計図作り 作りたいランプシェードの完成図をイメージし,図に書く。平面の組み合わせで作るものは,各面の方を厚紙で作る。
3時限目
4時限目 作品作り 実際にガラスを組み合わせセメダインで接着して行く。

※作品作りはC〜Fプラス放課後3日間取った。

5時限目
6時限目
7時限目
  ※@とA、AとB、BとCの間に、河原でガラス拾い。ガラスは各自家で洗ってくる。

3.生徒の反応

○ガラス拾いは意欲的に参加し,落ちているゴミの多さに驚いたり考えさせられた生徒が多かった。しかし根気強くガラス拾いをすることは出来なかった。(30分で飽きてしまった)

 多摩川にガラスを拾いに行って,たくさん落ちていました。作品を作る私には良いことだけど,たくさん拾うだけポイ捨てをしている人がたくさんいると言うことだから,ちょっと残念だった。  私の班は,星形のランプを造ることに決まって,決めたのは良いけどなかなか難しくて先に進めませんでした。でも組み合わせるガラスを探すのはパズルみたいで面白かったです。
 川に落ちてきたガラスが,少し人間の手でつけたりくっつけたりすると、また違ったようなものになった。僕たちが作ったのに火をつけるとすごくきれいになるかもしれない。最初くっつけるのが大変ですごくいやだった。でも完成したらすごくうれしかった。  

○完成図はシンプルな直方体や立方体、四角錐を考えたのは各数班ずつで、円柱が三班,星型一班,角柱に十字を組み合わせたものが一班だった。発想の豊かさと難しいものを作ってみようという意欲はよかったが,バラバラな形から合うものを探して行く,根気の要る作業に身の入らないものが多く,騒がしかったりふざけてガラスやセメダインを散らかして教室や机を汚したりすることも続き,指導しずらかった。組み合わせる面白さが分かり始めると,ようやく創作意欲が沸いたようだ。星型,角柱プラス十字の班は,まじめに作っていたが完成のめどが立たず,途中で形を変更した。

【生徒の感想文】

 私たちは,三角形のローソク立てを作るために多摩川にガラスを拾いに行きました。そこでは歩いて下を向けばガラスが落ちているというものでした。この河原に落ちているガラスは,はじめはきっとビールビンやワインのビンなどいろいろ役立っていたものだったと思います。でも割られてしまっている。けど今回のようなコースがあると又,ガラスを使えると思います。  多摩川には思った以上にガラスが落ちていて,作るときにはとてもうれしいけど,普通に考えるとすごく悲しいことだと思う。ガラスだけではなく。ビデオテープや本,などが落ちていて、多摩川が汚くなっていたから,ゴミは川に流さない方がよいと思った。
 形の違うガラスをセメダインで組み合わせて行くのは,すごく大変だった。  

4.成果と今後の課題

○文化祭のときよりも学習に対する意欲が低い生徒が多く集まったにもかかわらず,文化祭のときと同じ準備をしてしまったため,問題が多く起こってしまった。
○「自由な発想」の文化祭と違い,数学に結びつける中で作品を限定したが,漠然としたイメージで何かを作ってみたいと思っていたらしい生徒たちに,活動の意識付けをはっきりさせるのに時間がかかった。
○活動時間が充分でなく(仲良しグループでおしゃべりが多い)片付けの時間が充分にとれず,担当者として十分目を配ったり指導することも出来ず,使った教室を汚してしまった。接着剤の匂いもきつく、特別教室の方がよい。
○各グループで保管させ,教室に置いたものが壊された。(文化祭のときはなかった)はじめから保管場所を確保するべきだった。
○アンケートをみると、授業態度とは裏腹に,面白みや充実感を感じた生徒が多くいた。

 

(3).環境系・地域を詠うコース                  指導者:小松隆之

1.コース設定のねらい

 自分自身でも初めての西高津中学校で、この地域を歩いて何が目に入ってくるかということを生徒と一緒に感じることをねらいとした。

2.学習活動計画と学習内容

 西高津中学校を中心に、古くからあるもの(多摩川・円筒分水・梅林など)と新しいもの(ノクティー・トイザラスなど)を比較し、そのギャップを感じる。

 詩・俳句・短歌に感じたことを表現する。

3.生徒の反応

 この地域を詠うのコースに入ってから,日常でもすぐに俳句が思いつくようになりました。  俳句を残しておくと、その時の景色や状況がわかるのですごいなと思いました。
 思ったより、自分の知っているところをじっと見ていると、自分の知らない所を感じました。多摩川に来た事は何回もあるのに、「いっぱい鳥がいるんだな−」とか思ったり、うめ林に行って見ると、自転車で見たのとすぐ近くでじっと見るのとぜんぜん違う気がした。それで出来たことは,予想以上に一生懸命取り組めたことです。  

 この地域に住んでいながら「知らなかった」「こんな気持ちで風景を見たことがなかった」という声が聞かれました。生の声が出ているのですが…作品的には今一つ。

 普段よく見る多摩川や、丸井の「ひらりデッキ」も、俳句にしてみようと思うと、何にも知らなかったんだと思いました。も面白かったです。  自然を見てさわって感じ取ったことを句や詩にして書くことを出来た。でも失敗作もあったことがくやしかった。
 自然を感じ取ることがむずかしかったけど、句や詩を書くことができてとてもうれしかった。  

【生徒の作品】

 @

  ぱたぱたと

  とりたちのみち

  どこまでも

  大人のみちを

  かけのぼる

 A

  つりしてる

  多摩川で

  鳥むらがってる

  たまがわで

  犬とさんぽしてる

  たまがわで

  魚いる

  たまがわに

  ごみの山がある

  たまがわに

 B

  しあわせ

   しあわせ

   しあわせで

   しあわせと

   みんなしあわせ

   花の世界

 C 

   円筒分水

   江戸時代からある

     円筒分水

     今でも水を分けている

     円筒分水

     このままずっと

     水を分けていてくれ

     たのむぞ

     円筒分水

 D

多摩川が 

   飛ぶ鳥映す

        水の空

 E

川にうく

   ゴミが時代を

       わからせる

4.成果と今後の課題

 もう少し時間が欲しかった。もっといろいろな所へ行きたかったと言う声がありました。行く場所や表現の工夫、さし絵の工夫などを一緒に考えて行ければと思います。

 

(4).福祉系・手話コース                      指導者:白木由紀枝

1.コース設定のねらい

 ろう者とのふれあいや、ろう者とのコミュニケーションのための手話を学ぶことにより、ろう者理解・障害者理解を図る

2・学習活動計画と学習内容

月日

内容

1/12   「聞こえないってどう言うこと? パートT」
実技 基本単語(あいさつなど)
1/19   「聞こえないってどう言うこと? パートU」
実技 復習・自己紹介(名前など)
2/2   「聞こえないってどう言うこと? パートV」
実技 復習・自己紹介(感情表現など)
2/9 実技 復習
「つたえあってみましょう! パート1」
2/16 実技 復習
自己紹介(住所・学校など)
3/1 実技 復習
自己紹介(家族・数など)
3/8 実技 総復習
「会話してみましょう!」
3/15   ミニ講演
「つたえあってみましょう! パート2」
歌の発表

3.生徒の反応

 はじめは慣れないためどうしたら良いかわからなかったり手話を行うことをはずかしがったりしたが、回を重ねる内に、やる気も出て,熱心に取り組む生徒が主だった。
 ただ最後まで態度が悪く,やる気のない生徒が一人いた。ろう者理解については、きっかけにはなったが、充分に理解するには話が難しかったようだ。

【生徒の感想】

 前に点字のとき少し手話をやったけど,もっと知りたくてこのコースを選びました。耳を聞こえない人はけっこういるみたいだけど、わたしたちと外見がちがうわけではないので、やる機会はないと思いますが,覚えて良かったと思います。使わなくても知っておくとなんだかいいような気がします。  耳が聞こえない人ってすごくつらいと思います。私ははじめこんなのらくだなーと思っていたけど、やっているうちにすごくむずかしくなっておぼえきれないくらいたいへんでした。障害を持っている人の気になってもっと学びたかった。もっと覚えたかったです。
 ぼくたちは、耳の聞こえない人たちに手話を教わりました。そして思ったんですけど、ほんとうに耳の聞こえない人は大変と思いました。まず一つ目は、他の人と話をするときにはいつもペンや用紙を持ち歩かなければならないし、あと手話を覚えたとしても相手が知らない場合が多いと言うことです。二つ目は人に誤解されたりすることです。後ろから声をかけられたのだけど聞こえずそのまま歩いていたら石を投げられたそうです。  私は手話を習い、聴覚障害を持つ人たちと共に歩むための小さいようで大きな1歩を出せたと思います。そして、もし聴覚障害を持つ人がどれだけ身近なことに困っているかと言うことに考えさせられました。でも障害を持っている講師の方の顔を見て、けしてかわいそうだとか思ってはいけないと,そう感じました。

4.成果と今後の課題

 講師の思いと、こちらのねらいに食い違いが生じ,手話の実践をしてくれた4人(ろう者2名、健聴者2名)はこちらのねらいを最終的には理解してくれたが,聴覚障害者協会の方には理解してもらえなかった。講師を招くときの難しさを感じた。

 

(5).福祉系・救急法入門コース                    指導者:野村裕子

1.コース設定のねらい

 救急法を身につけることにより、災害時等地域の一員として自覚を持ち、少しでも貢献できるきっかけになればよいと考え、設定した。

2.学習活動計画と学習内容

1. 1/12 救急法入門 どのようなことを知り、身につけたいか
2. 1/19 テーピング講習 (市川氏)による実技研修
3. 2/2 テーピング講習 (市川氏)による実技研修
4. 2/9 テーピングの復習 資料などによる復習
5. 2/16 心肺蘇生法 ビデオによる心肺蘇生法入門
6. 3/1 心肺蘇生法講習 ダミー人形による実技研修
7. 3/8 心肺蘇生法の復習 資料を参考に実技復習
8. 3/15 ほう帯法講習 ほう帯法・止血法の実技研修,全体反省

3.生徒の反応

 実技講習など、真剣に熱心に取り組み活動した。実践で活用できるように繰り返し実習し,又積極的に質問等しながら学習した。

【生徒の感想文】

 心肺蘇生法のやり方が下手ながらもなんとなくわかった。初めは楽しみだったけど,まんか本番になってちょっといやだなあと思ったのをおぼえているけど,いざやってみると面白いって気持ちもあったけど,これで人間が助かる可能性があるんだと思うと緊張した。たくさん息を吹き込まないとダメ!強く押しすぎたり弱くてもダメと,とってもむずかしかった。でももう1度やってみたいと最後に思った。   ケガをした時の応急手当といえば、消毒してバンソウコウを張るしかできなかったけれど、このコースを選んで、ホウタイをまくことや、テーピングのまき方や、ヒモや三角巾でできるかんたんな固定の仕方、それにふつうでは体験できないような人工呼吸法や心臓マッサージのやり方など,貴重な体験が出来ました。もしも本当にけが人を発見したときに,きちんと習ったとおりにできるかどうかは自信がありませんが、いろいろなところで習ったことを活用したいと思います。
 救急法でいろんなことがわかってよかった。特に人工呼吸や心臓マッサージなど人の命を助けられることがわかってすごく良かった。でも私はすごいけがをした人がいても,とっさに出来ないなあと思いました。  人工呼吸のやり方,ほうたいの巻き方、止血法などを学習しました。一番身近な止血法やほうたいの巻き方も意外と難しく,勉強して将来使えそうなものもあったので良かったです。生命って大事だなと思いました。

4.成果と今後の課題

 救急法に対する意識が高まった。また,テーピングなどすぐに実践できるものは積極的に活用していた。1単位時間がもう少し長くとれると良いと思います。

 

(6).国際系・韓国語入門コース            授業者(講師):塚本 亨                                                  学校側担当 ;竹澤 武

1.コース設定のねらい

 「関心のある外国はどこですか」と聞くと、多くの生徒は欧米諸国をあげる。それだけに、生徒たちにとって外国は遠いと言ったイメージが強い。
 私たちにとって最も身近な国の一つである韓国のことばを学習することで、「外国」をより身近なものとしてとらえられるきっかけとする。

2.学習活動計画と学習内容

 (1)韓国語の基本となる文字(ハングル)の読み方が理解できるようにする。

 (2)ハングルを充分に読みこなせるようにする。

 (3)韓国語の会話,特に簡単なあいさつが出来るようにする。

3.生徒の反応

【生徒の感想文】

 韓国語は,日本にはない母音や音があることが分かった。難しくて良く分からなかったけれど,やらないより韓国語がわかってよかった。  このコースをやって、ちょっとまだ詳しいことまではぜんぜん分からなかったし,韓国語の「ク」と言う発音もぜんぜんわからなかった。でも文字はだいたい覚えることが出来てけっこう勉強になりました。韓国語もいろいろと深くて意味がさっぱりだったけど,色々な単語も覚えられたのでうれしかった。
 韓国語の発音や文字などは初めはぜんぜんわからなかったけどそのうちにだんだんわかるようになったので面白かった。  日本語では1行5音の50音だけど、韓国語は1行8音の文字で出来ていた。口の開き方で言葉の意味がぜんぜん変わっていた。ちがう国の言葉は覚えにくかった。話を聞いているうちに韓国に行ってみたくなった。韓国のことをもっと調べてみたくなった。
 授業を受けてみて、ハングル文字がいろいろあってよくわからなかった。少し読めるけど、意味がわからないので、もうちょっと勉強しておけば良かったし、もっと文字も覚えて読めるようにしたい。もっとがんばって将来にいかせるようにしたいです。  初めは,ぜんぜん意味がわからなかったけど、自分でメモをとっていくとだんだん覚えられた。自分の名前が書けるようになって良かった。

 学習を終えてからのアンケートには、上記のような感想が寄せられていた。韓国語で簡単なあいさつを交わせるようになれたらいいなーと言う気持ちで,このコースを選択した生徒がほとんどであったが、実際には、その基礎となる文法や発音の学習がかなり難しく感じられたようで,楽しく学習すると言った雰囲気には,なかなかなれなかったようだ。生徒たちにとって、韓国と言う国に関心を持つきっかけにはなったように思う。

4.成果と今後の課題

 プロの先生の指導を通して、韓国語の基礎・基本に触れることが出来たことは生徒にとって大きな経験だったと思うが,かなりハードで,いくぶん無理があったような気がする。
 視点を変え,よりグローバルな意味で国際理解学習と言うことで考えるなら,いろいろな国での生活体験を持つ方々と交流しながら,その国について学ぶと言うようなコースの設定が出来ればと思う。

 

(7).国際系・韓国の食文化コース          講師:光田花子・李恩正                                                  担当:高見理絵

1.コース設定のねらい

 近くにある国というだけではなく、私たちの食卓にも良く並ぶ外国料理の一つに韓国料理がある。韓国の方(保護者の協力)を講師としてお迎えし、本場の作り方,試食による味の比較をすることで,より韓国への関心,興味を持つきっかけになると良いと思い,コースを設定した。

2.学習活動と学習内容

 できるだけ多く実習が出来るように計画をした。また、実習後の反省の中で分かったことや気づいたことを確認するようにした。

1回目 韓国の歴史(日本との関係含む)・講師紹介・内容説明・班作り・チヂミ実習の説明
2回目 チヂミ実習
3回目 チヂミ反省・ビビンバ説明
4回目 ビビンバ実習
5回目 ビビンバ反省・キムチ説明
6回目 キムチ実習
7回目 キムチ反省・もち菓子説明
8回目 モチ菓子実習

3.生徒の反応

 実習が多く、“食”に対する興味関心は強いため、生徒は意欲的に行うことが出来た。講師の方2名をお願いしていたが、生徒もやさしくていねいに教えてもらえ、満足していたようである。
 実習後の試食は和やかに行い、個々に発見があったようである。
 この授業がきっかけとなり、他の国の料理について知りたいと思う生徒が出たことも、良いと思う。

 韓国の料理を作るのに、日本とは違った料理で、今まで食べたことのない料理もあって,いろいろ食べれて良かった。日本と韓国のちがいが、料理についてなんとなくわかった。   韓国の食べ物がよくわかった。(どんなものを食べているか)韓国の料理を作るのも楽しかったし,おいしかった。おかげで家でもつくってみたら,とても評判が良かったので,食文化のコースに入って良かったなと思う。
 唐辛子を使った料理が多いことが分かりました。日本の料理に韓国のお料理の味付けをアレンジしてみるとおいしそうだと思いました。にんにくが入っていたので少しにおいが気になったけど,一つの料理にたくさんの材料やかくし味があって驚きました。キムチにはその家によって味付けが違うので,韓国の人は近所の人との交流を、お料理を通じて持つことが出来ると思った。日本では今コンビニ弁当やパンが増えているから少しさびしい気がしました。  韓国の食べ物を作ってみたりしてみると簡単で,身近なもので作れるので,家でも試してみようと思ったのがあった。それと韓国の食べ物は思っていたのと違って,日本の食べ物に近いものがあった。

4.成果と今後の課題

 体を動かす(実習)の授業は、生徒たちにとって楽しめる授業の一つである。1時間の授業での実習はどうしても内容が限られたり、全過程が出来なかったりしてしまいがちである。できれば、2時間続きもあればより充実した内容のものもできるように思う。生徒からの要望にも同じ意見が見られた。

 

(8).国際系・韓国伝来の陶磁器をつくろうコース          授業者:片山 真

1.コース設定のねらい

 陶器づくりを通じて、美を理解する態度を身に着けさせると共に、身近な陶磁器が韓国の文化が移入された結果できたものであることなど、日本と韓国との関係についても気づかせたい。

2.学習活動計画と学習内容

1. 本物の陶磁器をさわりながら陶磁器の特徴や違いをつかむ。
2. 焼き物の各部の名称や見方を練習する。
3. 陶器づくり
4. 博物館での陶磁器鑑賞(実現せず

3.生徒の反応

 つくる喜びをぞんぶんに味わっており、とても良かったと思う。

 陶磁器は陶器と磁器にわかれているなんて知らなかった。その二つは土などがちがうということが分かった。作っていて形がけっこううまくいかなかったし、われたりかけたり大変だった。うまくいかないので作り方をかえてみた。粘土をひもみたいにして底に巻きつけて行くやりかただ。そしたらつぼが出来た。それに色をつけるとき釉薬をつけるけど、その色と焼き終わった色が違うと聞いたのでびっくりした。 陶磁器はどうやったら見分けられるかが分かった。陶磁器を作るのは大変だと思った。粘土を練ったり形を作ったり,形を整えたりするのが大変だった。特に形を作るのがむずかしかった。でも思った以上に楽しかった。形を作ったり,普段では体験できないことが出来た。またの機会があったらやりたい。 
 陶磁器のいろいろの場所の名前や種類などがわかった。作るのに気をつけるところやうわ薬の作り方などが分かった。前に作ったときと少し作り方が違っていて、形がおかしくなったり乾いてもかけてしまったりしたので,自分が気に入る陶磁器を作るのはとても難しいことだと思いました。でも形を作ったりするのがすごく楽しかったです。また陶磁器とか自分で何かを作るようなことをしてみたいと思いました。  感想は、今までにやったことがない分野にチャレンジしたから,充分に満足している。陶磁器が割れてしまったから,自分のものがないのが少し残念でした。あとから一つもらったけど,やっぱり自分のものが一つは欲しいと思った。陶磁器を作るには集中力や力加減がすごく難しいものだと言うのが分かった。

4.成果と今後の課題

 1時間区切りでは作品をつくったり、乾燥させたりなどの作業を連続して出来ないため都合が悪い。   時間の設定を何とかして欲しい。
 指導の反省としては、もっとつくりかたの例を示してやれば良かったと思う。
 焼き物と言う美を理解して味わうきっかけぐらいにはなったと思う。自分の手を使って作るという人間にとって根本的な楽しさを体験できたのではないだろうか。

 

(9).国際系・韓国の音楽コース                     指導者:齋藤健司

1.コース設定のねらい

 日本が古墳時代から影響を受けてきた韓国の音楽を体験することによって、日本の伝統音楽の良さを再確認させると共に,異文化に触れることにより,韓国,朝鮮人を初めとして川崎に多く居住する外国人との友好の精神を育む。

2.学習活動計画と学習内容

楽器の準備 タイヤ切り 1時間
韓国の音楽を知る 韓国のさまざまな音楽と楽器について 1時間
音楽を体験する チャンゴとプクのリズムを知る 3時間
踊りをつけて農楽の演奏をする 2時間

3.生徒の反応

 生徒は音楽以前にタイヤ切りが印象に残ったようだった。
 チャンゴのリズムはなるべく簡単なものにしたが,初めはなかなかうまく行かず,右側と左側をそれぞれ分担して練習させた。本物の演奏をビデオで視聴させ,踊りを付けさせたら,踊りはすぐに覚えできるようになった。衣装や楽器は本物を使いたいと言う希望が多かったが,かなえることが出来なかった。

【生徒の感想文】

 韓国ではどんな音楽があるのかということと,タイヤの中身が分かりました。  たかがリズムと思っていたのが,意外と難しくて大変でした。パートを分かれてやって,合わせてやったときにつられたりして大変でした。でも,リズムが出来たときは達成感がありました。
 韓国の音楽を聴けて良かった。パートリーダーとして頑張れました。踊りをやっていて,何かの儀式みたいに感じた。  最初タイヤを切っているときは,何でこんなことをやっているんだろうと思ったけど,後で分かりました。タイヤのワイヤーを切るのは大変でした。チャンゴのかわりに切ったタイヤをたたいて練習しました。チャンゴをたたけると信じてました。楽しかったです。

4.成果と今後の課題

 農楽を体験することによって,日本の伝統音楽のよさをわかってもらいたかったのだが,リズムうちに時間がかかりすぎてしまい,このねらいは達成できなかった。しかしこの活動を通じて,異文化を尊重し,外国人と共生していこうとする気持ちは持てたのではないかと思う。
 反省点としては,発表の時間が取れないと言うことで,当初計画していた衣装や楽器の借用をしなかったため,本物を使えず,活動や生徒の気持ちが中途半端なまま終わってしまったことがあげられる。

 

(10).国際系・日本と韓国、朝鮮の歴史探索コース        指導者:川瀬健一

1.コース設定のねらい

 とても深いつながりがあるのに意外と知らない韓国・朝鮮。日本の歴史をマンガで読み解くことを通じて両国の関係に気づかせ,共に生きることの大切さをつかませたい。

2.学習活動計画と学習内容

マンガ日本の歴史の調査分担。調査方法の説明。 1時間
分担した本の中の韓国・朝鮮に関係したところを抜き出す。 3時間
抜き出したところをまとめて印刷し通読してみる。 1時間
通読して分かったところを各自でまとめる。 1時間
各自の分かったところを発表しあい、深めて行く。 1時間
まとめを書く 1時間

3.生徒の反応

 とてもまじめにマンガ日本の歴史を読み解いていた。しかし韓国の国名が時代によって様々に変化するため、どれがそうなのかが混乱し、抜書きするのに苦労していた。

【生徒の感想文】

 総合選択では日本と韓国朝鮮との関係について勉強した。分かったことは日本と韓国は貿易は江戸時代くらいで,それからは戦争が多く対立していたと言うことが分かった。  一番最後の時間に先生が休んでしまったので、本を読んだだけで終わってしまったのが残念だった。
 昔の朝鮮・韓国の歴史や,日本の歴史の様子が良くわかって良かったです。授業でやっている以上にわかってよかったです。歴史の本を読むといろいろなことがわかってよかったです。でも本しか読まなかったのが残念です。  

4.成果と今後の課題

 日本の歴史については良くわかったようだが日本と韓国・朝鮮との関係については、マンガ日本の歴史そのものがほんの一部しか記述しておらず充分には分からなかった。教材としては韓国の側の視点で書かれたマンガ韓国の歴史と併用すればもっとよかったのではないだろうか。

 

(11).国際系・英会話入門コース                    指導者:安川千景

1.コース設定のねらい

 できるだけ多く英語を話す時間をとることで,英語を話すことへの抵抗をなくす。また、英語を通じて,外国の文化や習慣を学ぶ。

2.学習活動計画と学習内容

自己紹介(英語でできるだけ多くの人と自己紹介をし合う)
TV番組 決められたテーマについて,英語で質問しあい,相手の答えを記録カードに記入して行く。 会話ゲーム(無記名で自分について書かれた用紙が誰のものかを探し当てる)
food ファーストフード店での会話
@お金の数え方。サイズ・メニューの言い方と会話の練習。
AB会話練習と発表(実際に支払う練習も含む)  おつりの渡し方(アメリカの)を学ぶ
color
family
TVstars アイスクリームショップでの会話
@注文の仕方の練習
A応用練習と発表
animals
hobby 今までに得たクラスメートについての情報をクラス全体で発表し合う

3.生徒の反応

 毎回Warm-upとして、テーマについてQ&Aで話す時間を15分程度設けた。1年生は既習の文法だけでは質問できる内容が限られるため、未習の表現を提示するようにした。活動形式がワンパターンであったため、「毎回おなじことの繰り返しでつまらない」との反応もあったが、その分質問のしかたや答え方は、だいぶ定着したように思う。自由に教室内を動きまわり、パートナーを見つけて会話する形式をとったため、意欲のある生徒は多くのヒトと話すことが出来たようだ。
 ファーストフード店やアイスクリームショップといった場面を設定しての会話では、実際に海外に行った際に役立つ表現を学習した。店員役・お客さん役に分かれて、実際にマクドナルドの店員の帽子などの小道具を使用したり、アメリカのお金で支払ったりすることで、興味を持って学習した。

【生徒の感想文】

 マクドナルドの注文を取るのがとても楽しかった。値段を言うのが難しかったけど,みんなの前で発表することが出来ました。まだすらすら喋ることはできないが、単語などもたくさん覚えることが出来て良かったです。  とても楽しかった。友達と話す機会も多かったし、アメリカの文化とかもわかって良かったです。
 最初いきなり先生が英語でしゃべり出すのでわけがわかんなかった。けどだんだんやって行く内に自分でも意味がわかって喋れるようになった。少し英語で喋れるようになったのは良かったです。  私は英語が苦手だったけれど英会話に入って授業で分からなかった問題がわかったし,普段知らない外国のこともいろいろ分かりました。一番自分にとって役に立ったことは外国のお金の数え方です。外国は日本とは違ってお釣りの数え方が難しくて大変だったけど、将来外国に行ったら便利なので良かったです。

4.成果と今後の課題

 できるだけ英語を使う時間と場面を作るように心がけたことで,少しずつ英語で話すことへの抵抗感は減ってきたのではないかと思う。また、実際に使えそうな表現を学ぶことを生徒は望んでいるようだ。その点、今回の場面設定は良かったと思う。
 形式がワンパターンになってしまったので,もう少しゲーム的要素を取り入れたり,形式を変化させたほうが良かったのではないかと思う。また教育ボランティアの瀬崎先生と一緒に担当したが,会話を実際に聞かせるときに,スムーズに入れたことと,生きた会話を聞かせられたのが良かった。


総合topへ hptopへ