総合選択に向けて―1学年の取り組み 

      1999.7.26


                      (1学年の取り組みー学区探検と文化祭の取り組みを通じてー)  文責(川瀬)

 

1.総合学習についての考え方

   〔a〕今日では、環境・戦争と平和・人権の擁護と福祉など、政治・経済・社会のすべての在り方にかかわる深刻な問題が

      山積している。

     これらの問題を解決するためには、様々な取り組みが考えられるが、とりわけ教育の役割が重視されている(典型的には環境

     問題にたいする国連のとりくみ)。

      しかし、従来の教科の枠に縛られた、細分化された知識の断片を習得する学習によって得られた力では、問題を認識するこ

     とすらできない。

   〔b〕従来の教科学習・学校体系のいきづまり

    【1】急激な経済・社会・政治の再編、様々な地球規模の問題に対応する力のないエリート。

    【2】先端産業分野での基礎技術開発の遅れとこの分野でのアメリカの覇権。

    【3】小学校〜大学までの「学校の崩壊」ともいえる状況−学力の低下、学習意欲の低下、不登校・中途退学の増加など…―

    【4】学習することの意味と過程のとらえかえし

        ○学習の根本は、学習する者の意欲と関心。

        ○意欲と関心を生み出す原動力はその学習の意味付け

            −こういうことが分かる。こういう力がつく。こういうことに役立つ。−

        ○学習者自身が、自己の既得の知識や経験を総動員して課題にとりくみ、その知識や経験の総合や揺さぶり・再編成す

         ることなくして、生きた力の獲得としての学習はない。

            −おもしろい。発見。はじめての挑戦などー

        ○要は学習するものが「知りたい」「身につけたい」と思う要因が、学習課題やその学習の方法や過程に備わってお

         り、学習の指導者がそれを明確に意識し、学習者に説明できること。

    【5】教科枠の統合と再編

        ○従来の細分化した学問分野に依拠した教科の枠の限界ととらえかえし。

        ○教科にかわる「学習系」の登場と教科の総合化

    ※「総合学習」は今の学習体系から出てきたのではない。その行き詰まりを打破するための新しい学習のありかたをめざす。しかし従来の教

      科学習の枠に固執する人々との妥協により生まれたという中間的性格あり。本来は教科の枠そのものを再編し統合化することが必要

2.1学年の総合学習にむけての考え方

    @:環境…身近な環境問題に取り組むことを基礎に、自分たちの生き方の問題として、環境をとらえていくことは、21世紀に

         生きていくとき不可欠であろう。その際、自然の豊さに触れ、豊かな感受性を育てることは、問題を捉えていく認識

         力を育てるにも大事である。そしてそのような活動を基礎に、人間活動が環境を壊している現実に直面し、考える活

         動をしていきたい。

    A:福祉・人権…自分のまわりには自分とは異なった他者がおり、この人々との共生関係によって自分たちは生かされていると

         いう認識は、これからの社会生活に不可欠である。自己と他者の相互関係を認識するとき、自分のまわりの障害者・

         老人・子どもとのふれあいの経験は、不可欠であろう。これらの人々との具体的な交流の場を設けることを通じて、

         様々なことを考えていきたい。

    B:国際…あらゆる問題が一国の枠では解決できなくなった今日、ものの考え方も狭い民族や国家の枠に縛られるのではなく、

         真の意味での「地球人」的感覚を持つことが不可欠である。現実的に私たちの生活は諸外国の人々とのつながりなく

         して成り立たない。様々な国や地域の言語や文化を体験的に学ぶことを通じてこの事実に気がつき、この問題を考え

         ていく場を設けたい。

    @:1年次…地域を調査したり地域の人々との関わりを通じて、興味関心を呼び起こし、課題を設定する。校外学習をきっかけ

          とし、文化祭への取り組みで具体化し、3学期の総合選択で、本格的にコース設定をしたい。その際、各自の活動

          を学年全体で発表する機会を設け、認識を全体化したい。

    A:2年次…1年次の取り組みを基礎に、できれば週1時間の総合の時間を通年で設定し、学んでいきたい。

3.学区探検ウォークラリーのねらいと成果

       〔b〕生徒たちの既得の知識の程度を探る。

       〔c〕学区の自然・歴史・文化・福祉に関心を持たせる。

 ○実施日:1999年5月29日午前8時30分から12時30分まで

資料1(ラーリー地図:溝の口Aコース)

       全班共通ポイント:多摩川での水質検査(底生生物の採取による)

                七面山(学区全体を見渡す)

                緑ヶ丘霊園(稲荷塚古墳・作延城あとを探す)

       コース別ポイント:(全部で26ポイント)

地域名 使用したポイント○・● ポイント候補名
溝の口
             ○
             ○

             ○
             ○

             ○




             ○
             ○

             ○

             ○
溝の口神社(歴史)
宗隆寺(歴史・文学)芭蕉句碑
二ヶ領用水大石橋(環境)
高津子供文化センター(歴史・福祉)八景図・慰霊碑
亀屋(文化)国木田独歩の碑
総合教育センター(環境)日時計
大和屋(産業・文化)古い菓子店、浜田庄司父宅
田中屋(産業・文化)江戸からの呉服店、古い建物
灰吹屋薬局(産業・文化)古い建物
稲毛屋金物店(産業・文化)古い建物
岩堀履物店(産業・文化)古い建物
高津図書館(福祉)
川崎乳児院(福祉)
西高津保育園(福祉)
北部身障者福祉会館(福祉)
大山街道ふるさと館(歴史・文化)道標
栄橋(歴史)
片町の庚申塚(文化)
久地              ○
             ○
             ○

             ○

             ○


             ○
             ○


             ○
             ○
鷹匠橋(歴史)
龍厳寺(歴史・文化)最古の大黒天像
氷川神社(歴史)宇奈根は昔は東京都
養周院(歴史)地域で一番古い墓
横土手(歴史・産業)
久地梅林(環境)
子育て地蔵(歴史・文化)
久地神社(歴史)
久地不動尊(歴史・文化)不動尊・龍の池
円筒分水(歴史)
横堤(歴史・環境)桜並木
梅園幼稚園(福祉)
久地老人憩いの家(福祉)
わかたけ作業所(福祉)
グロリアアーツ(星野富弘美術館)(文化・福祉)
下作延           共通●
             ○

          共通●
緑ケ丘霊園(歴史・環境)稲荷塚古墳、作延城
上之橋(歴史)
神明神社(歴史・環境)
七面山(環境)
二子              ○
             ○
             ○


             ○
             ○

             ○
             ○

          共通●
二子神社(歴史・文化・環境)岡本かの子碑、岡本太郎作品、楠の木
料亭やよい(歴史・文化・産業)
二子の渡し入り口(歴史)つるや横レリーフ
諏訪の一本松(歴史)
光明寺(歴史・文化・環境)大楠の木、二子学舎、親鸞像、大釜
大貫病院(歴史・文化)ヒマラヤスギ
電車とバスの博物館(産業・文化)
飯島金物店(産業・文化)大釜
第六天神社あと(歴史・環境)大銀杏
二子塚あと(歴史)二子の名の由来
二子老人憩いの家(歴史・福祉)旧二ヶ領用水
多摩川(環境)水質調査

       各ポイントで問題に答える。

      −多摩川に入って生物を探したこと。住んでいる地域で知らない所を発見―

     ☆全コースを回れなかった班が半数をこし、特に多摩川には半数しか行けなかったことで、多摩川に入りたいとの希望が多く

      出された。

     ☆生徒の関心の傾向がつかめたこと。

  1組 2組 3組 4組 5組 6組 合計
地域の自然 14人 12人 14人 19人 18人 22人 99人
地域の歴史 12人 11人  9人 7人 4人  7人 50人
地域の産業  1人  2人  2人 2人 2人  1人 10人
地域の文化  2人  4人  5人 0人 0人  2人 13人
地域の福祉  2人  2人  0人 1人 1人  1人 7人
無回答  5人  5人  6人 9人 11人  3人 39人

4.多摩川自然観察・クリーン作戦

 ○実施日:1999年7月17日8時30分から12時30分。

 ○取り組みの内容:@水質検査(底生生物による)
          A石(すずり石・火打石)を集める。
          Bガラス(流れで削られたもの)を集める。
          C石(おもしろい形や色のもの)を集める。
          D木(流れに削られたおもしろい形のもの)を集める。
          E河原のごみひろい。

 ○活動ローテーション表

  9:15〜9:45 9:45〜10:15 10:15〜10:45 10:45〜11:15 11:15〜11:45 11:45〜12:15
1組 水質検査 クリーン作戦 木(形面白い) 石(形・色面白い) ガラス 石(すずり・火打石)
2組 石(すずり・火打石) 水質検査 クリーン作戦 木(形面白い) 石(形・色面白い) ガラス
3組 ガラス 石(すずり・火打石) 水質検査 クリーン作戦 木(形面白い) 石(形・色面白い)
4組 石(形・色面白い) ガラス 石(すずり・火打石) 水質検査 クリーン作戦 木(形面白い)
5組 木(形面白い) 石(形・色面白い) ガラス 石(すずり・火打石) 水質検査 クリーン作戦
6組 クリーン作戦 木(形面白い) 石(形・色面白い) ガラス 石(すずり・火打石) 水質検査
★活動場所の地図

 ○成果:残念ながら大雨のあとだったので、石やガラスや流木は大部分流され、採集量はきわめて少なかった。また水質検査も水が

      にごっており、生物も前回ほどにはおらず、ヒルのみ多かった。しかし生徒たちは半日川で遊んで楽しかったようだし、採

      集量は少なかったとはいえ、面白い形の石やガラスをみつけ、おおいに興味をそそられたようだ。

5.文化祭の取り組み

  ○取り組みの内容:以下のようなコースを設け、今後人数調整をして、9月の体育祭終了後から準備する。

担当の先生 コース名 内容の概略 人数     
自然系 張替ほか 多摩川水質検査 多摩川にすむ水生生物を調べ、川の水質を調べる。上流や下流も調べ、水生生物の標本なども展示する。 42人
多摩川の石調査 河原にある石の中には、すずりにできる石や火打石にできる石などいろいろある。それを探していろいろなものを作る。 51人
芸術文化系 片山ほか ガラス工芸 多摩川の河原にあるガラスをひろって、それを加工して何か作品をつくる。色々な色や素材のガラスが落ちています 46人
石工芸 河原の石にはおもしろい形をしたものがある。石の形を生かして、鳥や魚や色々なものを作ってみよう 37人
木工細工 河原にはたくさんの流木があり、これも面白い形をしている。木をつかって何か作品をつくろう  9人
歴史系 川瀬ほか 地域の歴史探索コース この地域の歴史から何かテーマを決め、それを地域の人にインタビューしてしらべてみよう  1人
電車・鉄道の歴史コース 電車とバスの博物館などを使い、田園都市線やその沿線の歴史などを調べてみよう  7人
福祉系 白木ほか 点字コース 眼の見えない人のための点字。その基礎を学んで手紙を書いたりできるようにしよう 17人
国際系 安川ほか 蔡ハンベク君のやさしい韓国語コース 川崎にはたくさんの韓国・朝鮮系の人がいます。韓国語の日常会話を学んできみもバイリンガルになろう  3人        

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