プロ写真家の矢野正善様にお願いして
お気に入りの植物をもう一歩進んで
綺麗に写したいのですが保存用として残るように・・・
機材の揃えかた、写し方をご指導下さい
のコメント頂きましたm(_ _)m



デジタルオート自前のストロボで写すのでしたら
記録写真としてはよいですが、美的静物写真としてはどうしても、
無理があると思います。わたしも色々やって見ましたが、
そのほうがもっと難しいし、テクニックと沢山のフィルムロスが出ます。
そこで必要なものが沢山欲しくなります。


カメラ

デジカメですが、PC上で見られるようでしたら221万画素
あれば十分ですが、プリントアウトをされるなら
画素数の大きい方がベストです。
いずれにしても、シャッターボタンを押してからの
秒数が短いことが大切なのです。
早いほど高価になります。
レンズ交換ができるほうが将来のためにはよいでしょう。
後は懐具合とのかけ引きです。
デジタルでしたらピントさえよければ
PCのソフトで修正する方がずっと楽です。

レンズ
マクロの付いたレンズで、焦点距離の長いものが欲しいです。
小さな花、冬芽の撮影にはブロクサー(接写用でレンズの前に
つけるレンズ)の必要があります。フードは絶対必要です。
カメラのレンズは長いほうが歪みを伴いません。
100ミリ以上がよいと考えます。最近300ミリを使っていますが、
後ろのボケ具合もいいし。前枝と後ろ枝が均等に移ります。
しかし焦点深度が浅いのでf22〜f32に絞ります。後ろ枝が
頃合にボケていい感じです。

照明器具
ストロボが一番安定します。カメラから離れた位置から
照らしますので、大きい方がよいです。
それを据え付けるスタンドが欲しいです。
ストロボですと1/200秒以上になりますのできりっとした
ピントになるのです。よい写真を写すには照明にお金をかけないとね。
蛍光ランプでもワット数が大きい方がよいでしょう。
できれば写真用天然色が一番よいですがね。
少なくとも100ワットぐらいをかためてつけます。
絞りがF16かF22で1/50秒より早く切れる明かりにしないと
幾ら三脚に据えてもピンとの甘い写真になります。

メーター
ストロボ測定できる露出計が必要です。目安と言うわけには
ゆきませんから。入射光用、反射光用がありますが、
近くのものを写すのでしたら入射光用が使いよいです。

物を正確な色に写そうとすれば照度計が欲しいです。
天気の日の日陰は6000ゲルビン以上になりますので
真っ青になります。空全体に薄雲がかかった状態が
一番フラットで綺麗に撮れるのです。
また、蛍光灯などで撮影のときでも測定すれば
どんなフィルターをかければよいか指示が出ます。

フィルター
ゼラチンフィルターというものがありまして照度計に指示
されたものを、用意しておくと綺麗に撮れます。

光線
光を如何にコントロールするかが写った写真の出来栄えを
左右します。正確な色を求めて、さらにやわらかく静物を写
す場合、明るい曇りの日が理想なんです。照明はそれに
近づけようと工夫をするわけです。
太陽がさんさんと照っているとき雲の変わりをすりものが
ディフュ-ザーです。
私は外国製の写真用ディフュ-ザーを使っております。
どんなときでも使います。高価ですが沢山巻かれていますので、
一生使えそうです。

反射板
照明光線を多灯して散らしますと、平均には光が回りますが、
どこかで光るものが一杯写りこみます。
電球は散らさないで一箇所に集めて照らし、反対側には白い
反射板を置きますと暗い部分も少し明るくなりますし立体感が
つきます。反射板は私の場合発泡スチロール板です。
倒れても被写体を傷つける事が無いからです。
私の持論ですが太陽は一つだから一点照明を心がけております。
写真機材専門店ですと丸く折りたためるものでレフ板として売って
いますがそんなに高くも無くあるはずです。

三脚
先に書かれていますが、絶対欲しいものの一つです。
これも出来るだけ確りとしたものを選ぶ必要があります。

バック
物の後ろがどのように写るかで写真の価値観が変わります。
物を確りと移す場合、余計なものがないほうがよいわけです。
そこでバックに色んなものを考えますが、一番安くて綺麗に
写せるのはラシャケント紙の色物の全紙がよいと思います。
布ですとシワの処理が大変です。
色は、黒、濃いクレー、淡いグレー、グレーでも色違いが無難
です。原色は避けたほうが、品よく写ります。
全紙でも紙は安いです。画材店に売ってます。
私は数百種類ぐらい持っていますが、使うのは数種類です。
白い花の場合淡いグレーの色違いを使います。
白い花に黒バックでは花が飛んでしまいますから。
濃い色の花の場合、黒とか黒に近い色物を使います。
あくまでもバックより花が明るく写るようにします。
艶なしデコラ板を使いますと写す前に盆栽に霧吹きで水分を
与えるとイキイキした状態で写せます。
そんな時濡れてもさっと拭けばいいので便利です。
バック紙に艶があると変に反射が写って心霊写真のようになります。
バックは後ろを上に持ち上げてなだらかなアールをつけます。
後ろバックと物との距離が離れている方がよろしい。バック紙は
ぎりぎりの紙ではダメで、大きくカバーしないと後ろの端が写りこみます。

撮影
三脚に取り付けて接写する場合でも、光量の大きいほうが早い
シャッターが切れると言う事です。デジカメで受光感度を高い方が
いいですが、デジタルでは荒れてゆきます。その辺は使う目的に
応じたdpiで逆算するとよいと思います。

私はバルカ5000を使っています。それにディフューザーを被写体との
間に入れますと柔らかな光線になります。もちろん発泡スチロールの
反射板を何枚も使っています。
求めれば切りがありません。その辺は臨機応変にて、
より高度に写すかがその時々のスリルでもあるのです。

姿勢
幾ら機材がよくても機材がすきでも、写す目的が確りしていないと
見る側も困ります。雰囲気を重視する場合はこんな大層な事を
やらなくてもいいかもしれませんが、花の色、斑の色、葉の色、形を
確りと人様に見てもらいたい場合どうしても入用な道具なのです。
カメラは道具なのです。早く使い慣れて意識せずに被写体の方に
全力で見てあげること。いくら静物でも写す瞬間があるのです。

シャッターチャンスを逃してはダメです。
失敗をすると日本人は駄目だと言われてきましたが、これは大きな
間違いで、失敗を恐れず多く経験した人は、後に成功者になってい
るのです。根気よくやってみてください。

 

以下デジカメの補足をさせて頂きます。
撮影段階では、まったく同じと考えてよいでしょう。
ただ、使う目的によって、カメラのクオリティーを変えなければなりません。
例えば、プリントアウト又は印刷物の中での写真の大きさによってクオリティーの
数値を大きくしないと出来栄えが悪くなります。
パソコン上で使うのでしたらそれ程大きくなくて済みますし、圧縮をかけると大きく
ても50Kbあれば十分なのです。
 
処理
ソフトによって処理方法が違いますので、一概に言えませんが、使用する前に、
必ず取り込んだ状態で1つ保存します。後に引っ張り出して、まずコントラスト、
色調を整えてから、寸法にあわせて、後でシャープをかけて見ます。かけると
ダメな場合もあります。そのときは解除してください。これで別名で保存します。
保存のときファイルの種類をjpg.にします。普通jpg..にしますと50%圧縮さ
れます。HPに使う場合30%か20%に下げても大丈夫見られます。
写真は縮小しますとピントが悪くなります。そのためシャープをかけるのです。
ソフト
最強は Adobe Photoshop です。これに勝るものはありません。
でも、そこまで必要かどうかは個人の考え方で判断されたし。
 
最小の道具類を揃えて最良の画像を得るには、技術と経験を積まなければなりません。
最大級の道具類を揃えれば、道具類に振り回されて最良の画像を得るまでに
疲れ果てる恐れがあります。
それでも、最高級のものを持ち揃えたい願望は誰しもあるでしょうね。
 
習得法
一つの提案ですが
一つの被写体を徹底的に写し続けること。レンズを変え、撮影角度を変え、
光線を変え、アップ、ロングと変え、バックを変え、露出を変え、絞り、シャッター
速度を変え、毎日毎日写す内に、どうして良いのか分からなくなりますが、
それを乗り越えた時、自分の得手、不得手、好き嫌い、くせなどが分かってきます。
有名なカメラマンのカルチィエ・ブレッソンは1年間、卵を撮りつづけたと聞きます。
プロカメラマン以上の写真が取れるかも知れませんね。

矢野正善

ありがとう御座いましたm(_ _)m