AOU1999アミューズメント・エキスポ
- AOU 1999 Amusement Expo -
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1999年2月18日、AOUが主催するビデオゲームの展示会に行ってまいりました。
AOUとはゲーム場の経営者が集まった団体で、ゲーム機メーカーの団体であるJAMMAとは対極の立場にあります。
しばらく業務用ゲーム機のショーはご無沙汰だったのですが、なんとも一時の狂乱時代に比べれば混雑しなくなりました。無論それなりに人は入っており、展示会の類としては混雑している部類に入るのですが、今日は業者だけではなく一般にも入場が許されている日なので、すし詰め状態の会場を予想していたのです。
業界の危機ですか? それとも数年前のポリゴンゲーム黎明期が、異常な狂乱の中にあっただけでしょうか?
では、ブースを回った順に紹介していきます。バイヤーズガイドみたいな語り口になってはしまいましたが、個人の趣味で書いておりますので、扱うタイトルやコメント内容の偏りに関してはご容赦を。
テクモ:システム基板に揺れて
ビデオゲームやエレメカ・プライズマシンなどをこまごまと展示していましたが、それ以上に目立っていたのが開発中のビデオゲーム映像でした。この映像はTPS(テクモ製PS互換基板)用が5本と、NAOMI(セガ製DC互換基板)用が1本の計6本。
以前テクモは、ST-V(セガ製サターン互換基板)用に予定していた『デッド
オア アライブ+』を反故にし、TPS用『デッド オア アライブ++』として発売した経緯があるため、この布陣を見ると複雑な心境となります。
『デッド オア アライブ2』(テクモ/NAOMI:映像参考出品)
映像のみの参考出品ですが、NAOMI実機を使っているようです。テクモの出品としては最大の関心を集めていました。NAOMIを使っているため、ハイレゾかつなめらかなモデリングです。
現在のところドリームキャストへの移植は発表されていませんが、これはビジネス上堅実な選択でしょう。アーケードとコンシューマで同タイトルを出す場合、双方にそれぞれのメリットがなければ同時に商売が成り立ちません。バーチャファイターシリーズのように、「アーケード版は対戦専用、コンシューマ版は練習専用」と割り切れる味付けならばともかく、本シリーズは違う売れかたをしておりますので。
ところで、かすみ(全裸、ただし乳首なし)を飲み込んでいるスライムは何者ですか?
『ライジング・ザン・ザ・サムライガンマン』(ウェップシステム/TPS:映像参考出品)
『サムライガン』ではありません念のため。なんか知りませんが、影山ヒロノブの歌に合わせてテンガロンハットかぶったガンマンがカタナ振り回してます。
内容については、今週のファミ通に載った広告記事をご覧あれ。
『とんでもクライシス』(製作会社不明/TPS:映像参考出品)
これ……徳間がPS用に発売を予定している、ただのオヤジが鉄球に追い回されたりビルから飛び降りたり、かーちゃんが巨大ネコ怪獣と戦ったりするゲームですか?
というわけで、TPSのゲームはアーケードとコンシューマがよくわからん連携を見せており、妙ちくりんな興味を掻き立ててくれます。
サミー:パチスロ屋の威厳?
なにしろゲームメーカーとしてよりも、パチスロメーカーとしての知名度が高いサミー。遊戯用パチスロマシンがメインの展示です。とはいえビデオゲームやエレメカも負けていません。
『セクシーリアクション2』(サミー)
出玉率操作がミエミエなのに、ついついやってしまう脱ぎパチンコゲームの続編。キャラデザがなんと、遠藤正二郎ファンにはおなじみの木下崇氏だそうで。
『ナインフープス2』(サミー:実機参考出品)
TV番組『筋肉番付』のコーナーを、TBSから権利を得てエレメカ化したものですが……。
『ストラックナイン』(サミー)
こちらは『ストラックアウト』のパクリ。なんかチグハグです。
ところで『ギルティギア2』はチェックしそこねました。
アトラス:プリクラ屋の悲劇
どうしてもプリクラおよびその関連商品が目立ってしまうアトラス。プリクラ美白バージョンには笑えました(色モノとして)が、商品寿命は短いと思います。このままコミュニケーションツールメーカーとしての方向性を維持するか、ビデオゲームメーカーに戻るのか、気になるところです。
『ネイルモア(仮称)』(アトラス:参考出品)
ネイルアート製造機だそうで。客層の流行とは合致するのでしょうが、コミュニケーションツールではないことから『アロマ倶楽部』(これはセガね)と同じ運命を歩んでしまうのではないか、という危惧もあります。
『バスト ア ムーブ』(アトラス・ナムコ/システム12?)
大した説明は要らないでしょう、エニックスがプレイステーションに発売したアレです。アトラスブースとナムコブースの間・両岸にズラリと並んでいました。
一般的に、コンシューマゲームをアーケードに移植した場合、市場の特性から受け入れがたく、ヒットした例はほとんどありません。しかし幸運なことに(?)、本作には有効なニッチ商品としての可能性があります。
それはもちろん『ダンスダンスレボリューション』(コナミ、以下DDR)を主としたときの隙間です。しかもこの隙間は結構大きいかもしれません。DDRは「ゲームを口実に公衆の面前で踊ることが許された」ためにヒットした商品です。しかし実際には、華麗に踊れる人間は限られています。いっぽう本作はプレイヤーにダンスのスキルがなくても、ボタンとペダルの操作だけで画面中のキャラが華麗に舞っています。また、DDRに比べて設置面積が圧倒的に小さいため、より多くのゲームセンターに置かれるでしょう。
ナムコ:エレメカ屋健在
もっとも目立って展示されていたのは『バスト ア ムーブ』(前項参照)と『500GP』でした。しかしこのメーカーが持つ最大の魅力は、やはりエレメカにあると実感しました。
『500GP』(ナムコ/スーパー23)
リアリティを第一に考えてつくられたバイクレーシングゲームだそうですが……個人的には魅力を感じませんでした。
実在スポーツでリアリティを求めると、操作難度および知名度の問題が生じるため、特定のコアプレイヤー以外には見向きされない傾向があります。
もうひとつ思うのは、ゲーセンに来る人がバイクに求めるものは、リアリティよりも迫力ではないかということです。そのためバイクゲームは粗削りな画面や挙動で迫力重視の味付けにした方が良いと考えているのですが、なぜかそういうゲームはほとんどありません。強いて言えばWGP(タイトーが10年ほど前に出したゲーム)ぐらいです。
ただ、市場がバイクゲームに飢えている時期ではあるので、閑古鳥が鳴くような事態にはならないでしょう。
『恋愛QUIZ ハイスクールエンジェル』(ナムコ/システム12)
『子育てQUIZ マイエンジェル』の学園ラブコメ版。
キャラクターデザインが窪岡俊之氏なので、「ルナ?」とか思ってしまうこと必至。
パンフレットには美少女ゲームファン+クイズゲームファンをキャッチ、と書いてありますがこれは社交辞令でありましょうなあ。
『ナイス・ピッチ』(ナムコ)
あろうことか、ナムコまで『ストラックアウト』のパチモンです。「アルペンレーサーをパクるな」という意見広告を出したナムコは、一体どこへ行ってしまったのでしょうか?
とはいえ、ナムコが古くから投球的当てエレメカを出していたことも、また事実なのですが……。
『ジャンピング グルーヴ』(ナムコ)
ナムコブース個人的最大ヒット。両足をステップに載せておき、前から迫ってくる光(左右2系統)をジャンプしてよけるだけのものですが、暗記もなにも要らんので、気軽に挑戦したくなります。ただ、1コインのプレイ時間が短いかも?
コナミ:ビーマニ伝説
もう何も説明は要らないでしょう。BEMANIブランドのミュージックゲームを多種類ずらりとそろえたコナミブース。
しかし、それだけで終わるはずがありません。
『ダンスダンスレボリューション クラブキット』(コナミ)
新作の"DDR 2ndMIX"と"beatmania II DX"をセッション(?)させてしまおうという機能拡張キットです。BEMANIシリーズをリズムゲームと考えると奇妙な取り合わせですが、クラブゲームと考えれば合点が行くのかも知れません。
会場では当然大混雑でプレイする気になりませんでしたが、"LUV
TO ME"[eurobeat]のリミックス版が人気だったようです。オリジナル曲はコナミ的ユーロビートという感じでしたが、今度はモロにavex系のノリです。個人的にはこういう開き直りはOKです。
『サイレントスコープ』(コナミ)
ゲーム史初! なぜ今までなかった! 狙撃ゲームの登場だ!
あなたの敵はテロリスト集団です。ライフル型コントローラを使い、敵を撃ってください。ところがどうして、画面の敵は米粒みたいに小さくて狙えません。そこでライフルのスコープを覗くと、ハッキリ敵の姿が!
イヤほんと、ここ10年ぐらいのガンシューティング(スティールガンナー2以降な!)は敵キャラインフレ傾向でいけませんでしたが、これでじっくり狙えます。とはいえ時間制限+ライフ制なのですが。
あと、「スコープにセクシー美女の姿を捕えるとライフ回復」というバカ要素もあるので、バカゲマニアもレッツプレイ!
#逆に体力減りませんか?<コラコラコラ
タイトー:さらば『電車でGO!』
さすがに『電車でGO!』ブームが永続的なものではないことを理解してか、このシリーズを続けることはもうないようです。とはいえ、タイトーが『電車でGO!』ヒットの所以をまるで理解していないことを浮き彫りにする形となりました。
(タイトーが、というよりは京セラが、かも知れませんが。)
『RCでGO!』(タイトー)
ラジコン操縦シミュレーションゲーム。失礼ながら、ハッキリ言って売れないでしょう。
『電車でGO!』は、どうあっても運転席に座ることのかなわない鉄ちゃん(鉄道マニア)の願望をかなえたことで売れたゲームです。最初からラジコンを持っているラジコンマニアにラジコンゲームを見せても、売れるはずがありません。
※ただし、自分のマシンでは決して出来ない破壊的な操縦を楽しむゲームとして位置づけるなら、話は別かもしれませんが。
『バトルギア』(タイトー)
ナムコ・セガ・コナミに続き、ついにタイトーも、60fpsのレーシングゲームに参入です。
挙動のリアルさを売りにしている本作ですが……運転歴のない私はコメントを控えさせていただきます。
アーケードゲームで純リアル指向のレースゲームがヒットしたことはありませんが、PSで『グランツーリスモ』が大ヒットし、反面アーケードで『スカッドレース』や『レーシングジャム』のように「実在車種を使っていながらインチキ臭い挙動のゲーム」がスカンを食らった経緯があるので、注目の一作です。
カプコン:アイツが帰ってくる
堅実にお家芸を守る雰囲気のカプコンですが……。
『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』(カプコン/CPシステム3)
あまりにも固定的対戦格闘ファンに的を絞りすぎたため売れていない『ストIII』シリーズですが、その流れを変えようという雰囲気は見て取れます。が、正直それが結実するとは思えません。
まず、勝敗とは別に闘いの美しさを評価するという「グレードジャッジシステム」ですが、プレイヤーは何よりもプレイ権を賭けて戦っているので、残念ながらこれを真に受けてくれる(意識してプレイしてくれる)プレイヤーは少ないでしょう。(こういう客観評価がチキンプレイ防止に役立つのなら、すでにギャラリーの主観評価がその役目を果たしているはず)
また色モノキャラクターの登場は、プレイヤーに混乱を与えることが危惧されます。春麗はともかくとして、ロボット刑事もどきの「Q」や、量産型エヴァ+スペル星人もどきの「TWELVE」といったキャラクターは、『ストZERO』とは別に『ストIII』シリーズをリリースしていることの意味を根底から揺るがしてしまうおそれのあるものです。
『パワーストーン』(カプコン/NAOMI)
フィールド自由移動型3D対戦格闘。『エアガイツ』の二の鉄を踏まないように、極力シンプルな操作系となっています。
ただ問題はとして、『エアガイツ』不振の理由が操作の複雑さだけだったのか? という疑問が残ります。
TVアニメも始まるそうなので、大いにキャラを立てていただきたいものです。
『ギガウィング』(カプコン)
横画面・縦スクロールのシューティングゲーム。家庭用ゲームの隆盛を受けてか、この組み合わせのシューティングも増えました。(『ゴーストパイロット』を見たときには「気が変になったか?」と思ってしまったものですが)
個人的には、敵機のデザインがハチロク(F86Fセイバー)に似ている時点で戦闘意欲ゼロです。おわり。
……では清まされないので。東亜系シューティングにおけるボムの代わりに、敵弾を跳ね返して敵にダメージを与える「リフレクトフォース」があります。ボムより戦術性があり、コアなシューティングゲーマーには歓迎されると思いますが、それ以外のゲーマーに訴える何かが足りない気がします。
『ストライダー飛竜(仮)』(カプコン:映像参考出品)
なんと、アクションゲームプレイヤーの間では伝説的存在である『ストライダー飛竜』が、キャラクターはスプライト、背景や大型の敵はポリゴンといった画面構成で再登場。
独特な挙動のゲームゆえ一般ウケは望めませんが、個人的には今回のカプコンブースで一番の収穫です。
セガ:NAOMI本格始動ッ!
ビデオゲームに関してはNAOMI一色といった感のあるセガブース。MODEL2と食い合って失敗したST-Vとは異なり、統一感のある布陣となっています。
『クレイジータクシー』(セガ/NAOMI)
「こんなタクシー乗りたくない!」オープンカーのイカレたタクシーが、パンクのビートにに乗って街中を爆走。
システム上は、ほとんど同社の『ハーレーダビッドソン』と同様で、道路以外のムチャな場所も走れます。客を乗せては目的地まで突っ走る。芝生も公園も無関係に吹き飛ばす、『スリルドライブ』とは違った意味でインモラルなゲーム、ということで期待。
ただ、ありふれたタクシーを運転する『イエローキャブ3D』とかも観てみたい気がします。市場を考えれば、そっちの方が食いつきやすいとも思えますし。
『エアラインパイロッツ』(セガ/NAOMI)
旅客機操縦シミュレーション。日航のボーイング777で、羽田上空を離陸・旋回・着陸します。
要するに『トップランディング』(タイトー)みたいなものですが、三つの画面が効果的に配置されているため、東京湾の風景を存分に楽しむことができます。
問題は地味な割に設置面積を食うことで、置いてくれる店が少なそうな点です。
『ゾンビリベンジ』(セガ/NAOMI)
ブラッドバレット→ゾンビゾーン→ゾンビリベンジ、とタイトルが二転した本作。
サクサク遊べる『スパイクアウト』、あるいは移動方向の多彩な『ダイナマイト刑事』といった感じです。でも「バイオのパクリだ」って言う奴はいるんだろうなあ……そういう人向けの商品にも思えるけど。
『パイロットキッズ』(彩京/MODEL2)
NAOMI攻勢をかけているとはいえ、それだけでは旧システム基板を持っている店舗は困る、という声に応えたものでしょうか。確かに下手な他社製システム基板よりはパワーのある(しかもイニシャルコストは高かった)基板ですから、そのまま眠らせてしまうのは惜しい。
複数の敵にマーキングつけると大ダメージを与えられるというシステムは分かりやすく、キャラクターデザインとあいまって、固定客以外を相手に細く長く売って行くには良いかも知れません。
その他のブース:
『スーパーギャルズパニックS2』(カネコ)
脱ぎクイックスの最新作。個人的には、シルエットを囲むというルールがクイックス本来の「追いつめる」というテイストを殺している感じがしてならないのですけどね。
敵キャラのインチキ加減が前作以上に増しており、チャレンジャブルなプレイヤーを待ち構えています。
『アイドル雀士スーチーパイIII』(ジャレコ/NAOMI)
高解像度だと思ったら、なんとNAOMIですかいな。人気作だからできる真似です。
#いや、NAOMIがもう少し安ければ、こんな心配は要らんのですが。
『スーパーリアル麻雀VS』(セタ・ビスコ/アレック64)
ビデオシステム・彩京につづいての対戦麻雀。ビスコとビデオシステムがもともとひとつの会社であったことを考えると、ムズムズした気分になりますな。
ロクヨン互換基板って、ポリゴンゲームは少ないような……。
『むでんくん』(バンプレスト)
すっかりプライズベンダーとなり、コアランド時代の面影はまったくないこの会社。本品は電源不用のカプセル式プライズマシン。きわめて簡単なピンボールの体裁をとっており、ちとなつかしい匂いがします。
どんな小規模な店舗にも売ってゆく、親会社のガシャポンをもライバル視する意欲(?)が見られます。
気になったこと:
アタリとミッドウェイは、いいかげん日本での販売代理店を絞った方がいいような気が……。今回、何ヶ所のブースに展示されていたか分かりません。
マイベストコンパニオンは、シグマブースのお姉様方に決定。さわやかな水色を基調とし、変に露出度も多くない制服がポイント。
メダルゲームの展示が、若干少なくなったような気が。固定客は、あまり台を入れ替えなくても遊んでくれるというジャンルなのでしょうか?
プリクラとゲットバスの後追いは、一時期に比べれば減りましたが、それでも根強く根絶されずにいるようです。
まとめもどき:
ある程度予想はしていたことですが、発明の少ないショーでした。
もっとも「発明」よりは「発掘」の方が業界活性化に役立つこともあります。この会場のどこかで、忘れていた何かが発掘されていたかもしれません。
娯楽産業の多くがそうですが、遊戯・競技の面よりもコミュニケーションツールとしての比重を大きく、かつ他ジャンルとの差別化をハッキリさせていかないと、ビデオゲームは生き残れないかも知れません。
(プリクラはゲームじゃないもんなぁ。)
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