平成9年6月の日記

- diary: June 1997 -


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6月30日

 いよいよ明日は香港返還。

 今後、香港はどうなるだろう。食い潰されてしまうか、あるいは過保護にされて力を失ってゆくか。
 いままである種のアナーキズムによって発展してきた香港が、今後も経済成長を続けるだろうか?


 昨日の日曜洋画劇場『ネイビー・シールズ』。ビデオに撮り損ねて大後悔の俺。

 なんかバーレットM82A1ぶっ放していたし。敵をコンクリ壁ごと吹っ飛ばしてましたぜ。まあ実際に装甲車を撃破する威力があるというけど、壁にどでかい穴が開くっていうのは映画的誇張かもね。
 それとも炸裂弾でも使っているのでしょうか?

 あと吹き替えで、堀内賢雄と田中秀幸のやり取りっていうのが、非常に渋くて良かったっす。男惚れ。

 ほんとに後悔だぜ。放送始まってから15分ぐらいで、気付いてテレビつけたから。


6月29日

 神戸市須磨区で発生した、小学生猟奇殺人の被疑者が逮捕された。
 被疑者は中学生で、しかも犯行を自供しているという。

 胸が詰まる気持ちになった。
 もちろんそれは、少年犯罪の台頭がここまで来たか、という思いによるのだが、それだけではない。
 筆者がもっとも危惧するのは、こういった少年犯罪の本質から目を背けようとする動きが、社会に根差していることだ。

 テレビに露出して、もっともらしいことをのたまわる、凡百の学者さんたち。「現実と仮想の区別がつかない子供たち」などと能天気なことをおっしゃるが、ではこの無茶苦茶な社会を創製した大人たちは、現実と仮想の区別がついているのか?

 犯行声明の中にあった、「なぜ自分が殺人を好きなのかわからない」という言葉。これを「漫画やビデオゲームの中に描かれている暴力に触発されたものだ」と解釈する意見がある。意外と思われるかもしれないが、筆者はこの意見を全否定するつもりはない。
 だが待ってくれ。それでは、何故「漫画やゲームでは暴力が頻繁にテーマとなる」のだ? 人間が暴力に魅力を感じてしまうという事実・人間の狩猟本能から目を背けることによって、漫画やゲームをスケープゴートにしているのではないか?

 仮想を安直に批判する人間。彼らこそ、仮想に溺れている。

 この報道を聞く直前に、NHKでマイクル・クライトンと村上龍との対談を見ていた。
 小説『ロスト・ワールド』に描かれる、秩序を失ったヴェロキラプトルは……。
 後略。気になる人は、自分で文庫を読んでくれ。


 今月の月刊Gunに、タナカ製ガスガン、ブローニング・ハイパワーの試作品が載っていた。

 欲しい。
 マグナ・ブローバックのおかげで、モデルガンよりも実銃に近いメカニズム再現をしている。
 発売はいつなのだっ! ついでにいうと、是非プラクティカル・モデルが欲しいぞ!


6月28日

 約束破り、第二段。
 NHK番組『トップランナー 飯野賢治・ゲームを芸術にする男』見ました。

 今さら言うのは何だけど、あの場で彼が言ったことのほとんどはわかるし、正しいと思います。
 けれども同時に、何で俺がE野のことを毛嫌いするのかも、あらためてわかりました。

 人間の弱い部分を、脚色という手段で美化するのが、嫌なんです。
 自分の弱い部分を認めるというのは、精神的な成長のために重要な事なんだけれども、それを美化してさもすばらしいことのように描いたら、歩みはそこで止まってしまう。

(わからない人は、『エネミー・ゼロ』のキャストを、以下のように考えてくれ。

 ローラが物語の終盤でカッコ悪いのは、別にかまわない。でもそれは、相対的にデヴィッドを美化するためのお膳立てに過ぎないのではないか? デヴィッドはローラを助けたことで満足して、そこで終わってしまったのではないか?)

 だから、飯野賢治は表現方法においてはプログレッシヴだけれども、人間関係では口先に頼ってしまっている。
 表現をどんなにリアルにしても、その先にあるはずのリアリティはない。


6月26日

 某新聞をめくっていたら、今流行のパソコン用ゲーム機エミュレータに関する話題があった。

 98で動くドラクエエミュレータをネット上にアップロードしていた連中が、『コンピュータソフトウェア著作権協会』から警告を受けたそうだ。

 草の根で創られる性質上、エミュレータは著作権侵害の問題をはらんでいる。だがその一方、エミュレーションの対象となるゲーム機の市場はほとんど枯れていて、プレイヤー本物を買いたくても買えない状態にある。

 メーカーは、中古ゲーム市場には法的根拠がないので経済的圧力をかけ、エミュレータには法的根拠をもって駆除する。

 売り手にとっては、正当な権利の行使に見える。一方オールドゲームファンにとっては、モダンゲームビジネスをユーザーに押し付けているようにしか見えない。

 うーん、難しいなあ。昔なら、オリジナルのメーカーがエミュレータの権利を買い取るなどしたのだろうけど。
 任天堂が生んだハードメーカー主導形式の今では、ねえ。

 あっ、ひょっとして! 今までメーカーはエミュレータを黙認して普及を待ち、これから取り締まって権利を主張し、最後に自分が発売して儲けるつもりでは? うーん。


6月19日

 ある男が言った。
 「約束は守るときより、破るときの方が楽しい。」
 俺も楽しい。

 今朝のゲームカタログIIがあまりにも面白かったので、約束破ります。

* * *

 「『エネミー・ゼロ』58万本売れたとき、国立競技場(の観客席)12杯分なんですよ。日韓戦を観にいったとき、『こんなに人がいるんだ』と思ったけれど、その12倍の人数が『E野〜』とか『エネミー・ゼロ〜』とか、歌ったりウェーブしたりしたら、すごいなあ。」

 あのぉ、すみません。
 その58万本のうち、店先で寝てたり、倉庫で寝てたり、買われたけれど封を切ってなかったり、「難しい!」といって途中で投げられたり、クリアしたけれど「つまらん!」といわれたものは、しめて何万本ぐらいなんでしょう。

* * *

 悪口だけではなんなんで、放送で紹介していた『リアルサウンド』サンプルCDの感想。

 すごいわ。
 なにがって、演技の『つくり』度バランス。もしもあれ以上つくったら、あんなにさりげない臨場感は出ない。逆にリアルすぎれば、まるで他人の会話を盗み聞きしているみたいで、気分が悪いだろう(盗聴マニアの人を除く)。
 すごいぞ菅野美穂。(柏原はどうした。)

 ただ、やはりシナリオをつくりすぎている気がする。通しでプレイしなければわからないけど、ね。


6月16日

 過去に書き溜めた『邪道高達』の原稿を、最近整理している。が、書いてから時間のたった原稿というものは、どうも手直しを入れたくなる。
 しまった、これでは書き下ろしと変わらないではないか。

 今ごろ、焦る。


6月9日

 ああちくしょ、昨日はコナミマガジンもらいそこねたよ、とか思っていたら職場の人間がくれやがんの。ありがとよ。

 んで読んだら『幻想水滸伝』『ヴァンダルハーツ』『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』が、立て続けにサターン移植決定!!
 この調子で『ソリッド』と『ときメモ2』も頼むぜ(気ぃ早)。

 まあ、今書いたモノ全部は買わんだろうけど。
 俺は別にサターン信者ではないんだけれど、どうせプレイするなら良いマシンの方が良いでしょ? ハード的には、ごり押しの整数座標演算とADPCM以外では勝っているわけだし。特にロード時間とデータセーブの時間て、俺ダメです。リーサラになると我慢できません。

 あと、立石流牙氏の復帰記念(?)インタビューもあったな。うわさでは『ブルーブレイカー』で限界を見て出戻り、とかも言われているけど、まあ……あくまでうわさはうわさなんで、個人的には頑張っていただきたい。
 でもサターンの『ブルーブレイカー』やるのがちょっと怖いな(馬鹿)。


6月6日

 今日歯医者さんで、生まれて初めて歯を削られた。
 (初診は先週で、X線を撮ってもらった。)

 「どれぐらい痛いのかな?」 「どんな機械を使うのかな?」 なんぞと考えつつ、麻酔を打たれる。
 しばらくすると頬片側がしびれてくる。腫れに似た感覚だ。

 するとドリルで歯を削られ、削りカスはバキュームで吸い取られて行く。

 目は閉じていた。怖いからではない。
 どんな様子で削っているのかは気になったが、視線をキョロキョロさせて、歯医者さんの手元が狂う可能性を考えると、恐ろしい(あ、やっぱり怖いのか)。

 なんか、意外と面白い。麻酔のおかげで痛みはないし、ドリルの音と振動がサイバネティックな感じだ。
 「ピアスは体を変にいじるようで嫌い」とか言っていた俺がこう思うんだから、無責任なもんだ。

 「神経イってますんで、神経取りますねー。」

 ああ、すぐに歯医者へ行かなかった不精者への罰だ。なにせ普通の子供と違って、幼少時に歯医者へ行ったことなどない。
 子供のときに歯医者へ行く必要のなかったことが、歯の健康に対する考えをナメたものにしてしまっていたのだ。

 なんか測定器の針らしきものを突き立てられ(目は依然閉じている……神経がどれだけ生きているかを測っているのか?)、そして少しずつ、歯は根本の方へ向かって削られて行く。時折ヤスリを使われたりしたときに、明らかに歯茎を削られたような感触があったりする。

 「先生先生、擦っているよ。」なんて言えるはずもない。そこを擦られたときだけ、ハッキリとした痛みを知覚できた。

 その瞬間、俺はその痛みに感謝した。「口腔内をいじられている」ということを示す、まともな感触だったからだ。と同時に、今まで歯を削られていることを「面白い」と感じていた自分に嫌悪を感じた。
 なんのことはない、俺はラリっていただけなのだ。

 やっぱりクスリの物理的な快楽って、好きになれない。やめよう薬物乱用。


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