黒船来航メモ;本体機能編


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 プレイステーション2を実際に使っての第一印象、および雑感です。
※個人による調査の結果ですので、誤りの責に関してはご容赦ください。

[ 更新履歴 ]

まずは開梱:

 2000年3月4日、午前8時37分。佐川急便来訪。
 プレイステーション・ドットコム・ジャパンからの荷物でした。
(荷物の到着が早いのは、日頃のおこない……とは関係なく、佐川の営業所が近所ゆえ)

 発送用の段ボール箱を開けると、例の青箱と『リッジレーサーV』が登場。
 さらに青箱を開ける……旧プレステの箱を横に引き伸ばしたような形ですが、入れ方は旧プレステとだいたい同じです。
(ユーティリティディスクとメモリカードが追加されてます、ご注意)

 さーて御尊顔を拝みますかね……50ワット! 定格消費電力が50ワットもありますよ!
 これはドリームキャストの2倍以上、旧プレステの約5倍にも匹敵するものです。どおりで3DOみたいにどっしりと……げふっげふん。
 たしかに重い本体ですが、約2kgと見た目の割には控えめな重量です。
 

接続・起動:

 さて接続。
 私の場合はモニタの事情から、AVアダプタを介してRGBケーブルと市販のRCAケーブルを接続していますが、問題はありません。本体とモニタをつなぐケーブルは、旧プレステ用のものでも問題なく使用できるようです。
 電源ケーブルは旧プレステ用のものも使えるようですが……消費電力が増えているので、同梱されている太いケーブルをおすすめします。

 置き場所は……サターンの横に立てかける、という栄誉ある位置に決定。
 デュアルショック2は、旧デュアルショックと非常に似た形をしています。外観でわかる違いはネジ数、銘盤、そして"DUALSHOCK2"のシルク印刷。タケチャンマンとタケチャンマン7なみに見分けがつきません。

 電源スイッチは2つあります。ひとつは本体背面の電源入力端子そばにある主電源スイッチ。これはAC電源線を直接に切る一次切断片切りタイプです。長時間使わない場合はこちらをOFFにします。
 もうひとつは本体正面の電源兼リセットボタン。いわゆる二次切断の待機電源です。
 まずケーブル類を接続し、TVの電源を入れた後に主電源を入れます。赤ランプの点灯を確認したら、最後に正面のボタンを押せば、いよいよ本体起動です。
 

画像:

 機体の高性能化により、画面が高解像度になりました……が、これに対応する画像周波数が15kHzインターレースしかありません。このため画面を長時間見ていると疲れ目を起こしやすくなっています。
 15kHzインターレースは一般的なTV放送と同じ方式ですが、ゲームでそのまま行なうには多少の問題があります。

 インターレースとは、走査線を互い違いに描くことによって、見た目の垂直解像度を上げる方式です。ところがこの方法で画面を描くと走査線がチカチカと点滅するかのように見えてしまいます。これをフリッカーといいます。
 このフリッカー、自然画ではあまり気になりませんが、コンピュータ画面などエッジの立った(=輝度の変化が著しい)画像では目立ってしまい、さらには疲れ目の原因ともなってしまいます。
 このためパソコンやゲーム機ではインターレースを使うことはあまりありませんでした。しかし最近のゲーム機は解像度が高い割に、一般家庭のTV受像機に映すことを前提につくられているため、インターレースの画面を使うことが増えてきました。

 この対策として、FMタウンズマーティやドリームキャストでは、フリッカーコントロールという機能が付加されています。これは画像の輝度変化を控えめにして、フリッカーを目立たなくするものです。この場合は眼を疲れにくくするなどの効果がありますが、その代償として画面がシャープさにかける風合いとなってしまいます。
 プレイステーション2にもこのフリッカーコントロール機能が搭載されると思ったのですが、どうやらこの機能はないようで、現状のソフトではフリッカーが非常に目立つ状態です。この結果、パッと見のきれいさはあるのですが、長時間のプレイには耐えられない画面となってしまいました。

※ネット上の噂では「フリッカーコントロールをかけているソフトもあるが、多くのソフトではハード上の制約からかけることができない」とする記述がありましたが、当該ソフトについて当方の所有する体験版にて確認したところ「フリッカーコントロールなし」でした。この点については追って確認いたします。(3月10日追記)

 この点は個人的に、プレイステーション2の特性上もっとも問題とすべき点である、と考えます。
 

描画機能:

 座標演算・ポリゴンエフェクトともに現行機では最高水準のものを持っています。しかし今のところ、大半のソフトはこれを持て余しています。
『リッジレーサーV』に限って言えば、背景の奥行き表現は素晴らしいものとなっています。空気遠近法(フォグ)や限界深度(ピント)をさりげなく組み合わせ、今までにない遠近感を持った街の情景を描き出すことに成功しています。
 しかし、現在画像が発表されているソフトの大半は、その足許にも及びません。『グランツーリスモ2000』ですら、遠景の建物が異様にクッキリと描かれており、その手前に陽炎が重ねられているといった具合です。発売までの改善を期待します。
 また『劇空間プロ野球』は限界深度の使い方はうまいのに「ドーム球場の中に陽炎が立つ」という過剰演出ゆえ不自然さを感じさせます。

 本当の意味でプレイステーション2の描画力を目にするのは、もうしばらく先のことになるでしょう。
 

音声出力:

 従来どおりのアナログ2chに加え、光デジタル音声出力を備えています。
 光デジタル出力はサラウンドスピーカーシステムおよび対応ソフトがあればサラウンド出力が可能ですが、再生環境がないため略させていただきます。また、その音質はスピーカーおよびソフトの質に大きく依存すると思われます。
 

プレイステーション互換機能:

 プレイステーション2は、(コンピュータの常識から考えれば)高い下位互換性を有し、プレイステーション用ソフトおよび周辺機器の大半を使用することができます。ただし、いくつかの点で注意が必要です。

プレイステーション用ソフトに関する注意:

プレイステーション用周辺機器に関する注意:  また、オマケ機能として互換機能を若干パワーアップさせる「本体設定」メニューがあります。ただしこれによりソフトの動作に異常などがみられる場合があります。  なお、これらの設定はリセットや電源OFFによって失われてしまいます。ただし場合によっては設定が残ってしまう場合がありますので、「リセットすれば設定も元に戻る」と過信しないよう注意が必要です。(3月6日追記)
 

DVD再生機能:

 DVDビデオを鑑賞することができます。

 プレイヤーは本体同梱のメモリカードにインストールされており、DVDプレイヤーとして必要最低限以上の機能は備えているようです。
 このため、DVDを再生するときにはメモリカードを挿しておく必要があります。また、将来のバージョンアップも簡単に行なうことができます。コマンドの充実化やプログレッシブ再生への対応などが待たれます。
 個人的には時間指定によるジャンプやリピート、それとリモコン操作対応などの機能が欲しいところです。
 

デュアルショック2:

 あまり注目されていませんが大きく変わった機能として、コントローラボタンのアナログ化が挙げられます。
 スタートボタン・セレクトボタン以外の全操作系が8bit階調の感圧式センサとなっています……が、操作感覚が従来のラバーコンタクトと変わらないため、これを使ってアナログの制御を行なうには相当の熟練が必要でしょう。
 これを見越してか、『リッジレーサーV』のアクセルも(一応はアナログに対応していながら)特定の敷居値によるデジタル感の強いものとなっています。
 

内蔵時計と機能設定:

 プレステとしてはサターンに引け目を感じていた内蔵時計ですが、ようやく搭載されました。工場出荷時におおよそ合わされています。えらい。
 機能設定メニューでは時刻合わせのほか、映像・音声出力の設定をすることができ、これらは本体のバックアップメモリにセーブされます。(3月10日訂正)
 

メモリカード内システムファイル:

 メモリカード内を見ると、ゲームで使う以外のファイルが2〜3見られます。  メモリカードを抜いておくとこれらのファイルが本体に読み込まれませんが、かわりに電源投入時やリセット時の起動が早くなります。
 

とりあえずのまとめ:

 否定的な意見を多く書きましたが、これまで世間に肯定的意見ばかりが先行していたゆえですので、ご了承下さい。
 細かいことを色々書きましたが、個人的には画面のフリッカー以外に大きな不満はありません。ソフトも時間を追うごとに遊びたいものが増えていくでしょう。

 しかし世間のプレステ2を取り巻く雰囲気には一抹の不安を感じます。本命ソフトである『リッジレーサーV』ですら予想を下回る売れ行きで、売れるのは本体ばかりという話を聞きます。
 おそらく本体を投機目的で買ったり、あるいは業界の閉塞感から新ハードに手を出してみたものの実はゲームをやりたくない人々が多かった、ということなのでしょうか。
 はからずも新ハードはゲーム業界にとってのパラダイムシフトではないことが証明されたように思える、プレイステーション2発売騒動でした。本当の春はもう少し先のようです。
 

更新履歴:

3月 5日:公開
 同 6日:「プレイステーション互換機能」の項を修正
 同10日:「内蔵時計と機能設定」の項を修正
     「画像」の項に追記
     「メモリカード内システムファイル」の項を新設
 
(2000年3月10日)

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