「じつはしおりんも世界征服の野望を抱いていたりして?!」

2000/04/12/(水) 午前03:25:18に藤岡健一郎さんがご投稿なさったこの一文が、全ての発端でございました。
藤崎詩織というのは非常にエゴに従順な一面を持っております。
受け取る人によっては傲慢とさえ取られかねない彼女の自意識の強さ。
その「業」故に彼女は、ある決断を下すのであります。

「噂になると恥ずかしいから」世界征服はやらないでしょうけど(笑)
前に詩織が伝説の樹の下に来なかったらどうなるか、倶零舎さんが考察なさっていたが
ひょっとしたら人間嫌いになって研究室に篭りきり…
自分にふさわしい、完璧なアンドロイドを造り出すかもしれません。」

04/12/(水) 午前11:43:08 

この投稿に対し、倶零舎さんがストーリー的なレス付け(多分マルチのお話ですね・笑)をなさり、
壮大(?)なSF風リレー小説へと発展していったのです。
以下、「しおりんの野望」本編のみを掲示いたします。
なお、投稿者名は倶零舎さんが「倶」、私が「し」で表示させていただきました。



〜しおりんの野望(前半部)〜


倶=

しかし本物とは違いまったく成長しないアンドロイドに、詩織は飽きてしまう。
 とうとう詩織はアンドロイドをサーカスに売り払ってしまい……。

04/12/(水) 午後10:55:21 


し=

思ったより高値で売れたのに気を良くした詩織は アンドロイドの大量生産に着手する。
これが当りに当って詩織は一躍大会社の社長に☆
一方詩織に振られた主人公は 一念発起してベンチャー企業を設立し
いまや日本の陰の支配者と化した藤崎コンツェルンを打倒せんものと…
04/13/(木) 午後02:20:01 


倶=

>藤崎コンツェルン
 ふたりの争いは熾烈を極め、しかしその決着はそれぞれのつくったアンドロイドに託された。
 だが詩織は知らない。
彼のつくったアンドロイドが、実は詩織が最初に捨てた機体を改造したものだったことなど……。
「ハハハ、詩織サマガオツクリニナッタ俺二、パチモンノ貴様ガカナウモノカ!」
「違ウ! 量産型ノオ前ニハ、決定的ニ欠ケテイルモノガアル!」
「フン、自分ノ姿ヲ見テミロ。スデニボロボロデハナイカ。
 あんどろいどノクセニ事態ヲ客観視デキナイ貴様ハ欠陥品ダ」

 その様子を遠くから見守る二つの影。
 あろうことかそれは、紐緒結奈と『等身大世界征服ロボ』だった。
 04/15/(土) 午前11:10:03 


し=

〜しおりんの野望・逆襲の紐緒篇〜
果てしなく続くアンドロイド達の血みどろの戦闘に ネオトキオは廃墟と化す。
事態を重視した日本連邦政府はついに国軍の出動を発令。
第十七機甲師団を先頭に首都への侵攻を開始するが…
世界征服を目論む紐緒結奈がこの事態を見逃すはずもない。
世界征服ロボを連邦のモビルスーツに偽装し司令本部にもぐりこませる。
一方、劣勢に追い込まれた我らがしおりんは事態の打開を図って
新型アンドロイド「ニジイロ・コンジョウver.1.02」を投入。
対する主人公は情報参謀・早乙女好雄の助言に従いインファント島に眠る古代怪獣「モスラ」を復活させる。
巨大化した虹野さんとモスラの手に汗握る死闘…。
そのころ連邦軍司令部の占拠に成功した紐緒結奈は
クーデターを起こし、一挙に日本政府の実権を握らんと…
04/15/(土) 午後09:26:52 


倶=

紐緒結奈の決起を察知した伊集院家私設軍は、いち早く帝都防衛網を布陣。
 優れた科学力をもってしても、消耗した量産型世界征服ロボでは苦戦すること必至。

 いっぽう虹野ロボは、モデルに忠実で根性はあるが体がついてゆかず。
 竹槍攻撃ではモスラを倒すことはできず、あえなく敗北。作戦負けだ。
 それは藤崎詩織の人生において、初めての敗北だった……。
04/17/(月) 午前01:58:19 


し=

〜しおりんの野望・復活篇〜
竹槍じゃなくてせめて銅の剣(+1)だったなら…と
しおりんがほぞを噛んでいるころ…
さらなる悲劇が彼女に襲い掛からんとしていた。
結奈軍を圧倒的戦力で蹴散らした伊集院が 詩織を反乱の首謀者と誤解し
ゴルゴ13を雇って暗殺しようと図ったのだ。
M−16の非情な銃弾が、まさに彼女を貫こうとした時…
「詩織ちゃん・危ないっ!」
間一髪、一人の少女が飛び込んできた。
「メグ…!」
「私が来たからもう安心よ。
む〜んぷりずむぱわ===!めーくあっぷ!!」
華麗に変身を遂げる美樹原愛。
そう、彼女こそ史上最強の戦士…
セーラー・メグリンであったのだ!!
04/17/(月) 午前11:04:13 


倶=

 誰もが予想しなかった、美樹原の変身。
 意外にもゴルゴは、セーラーメグリンの前に敗れ去る。
「ムーンヘルメットアクション!」
「……」←ゴルゴなので無口
 実はこのゴルゴ、某社のアーケードゲームによって遠隔操作されていた
「バーチャゴルゴロイド」だったのだ。

「詩織ちゃん、大丈夫?」
 そう問い掛ける美樹原は、かつてない充足感に包まれていた。
(これまでは詩織ちゃんのおまけみたいに言われてきた私だけど、
今は違う。なにしろ私は詩織ちゃんを救ったんだから……)
「あ、ありがとうメグ」
 礼を言う詩織の態度に、しかし美樹原は違和感を覚えた。なんだろう?
(まさか詩織ちゃん「なに、その変なカッコ?」って思ってるんじゃ……
私、詩織ちゃんのためにとっても恥ずかしい格好を我慢しているのに!)

 ふたりの仲に密かな危機が訪れていたそのころ、主人公は有頂天に。
「モスラさえあれば俺の勝ちだ。詩織、もうすぐ君は俺のものだよ……」
 それを聞いたザ・ピーナッツは
「なんや、痴情のもつれかいな。あんさんにはつきあってられまへんわ」
 突如、島への帰途につくモスラの幼虫たち。
「ま、待ってくれーっ!」(声:立花ナオキ)

4/18/(火) 午前12:32:23


し=

〜しおりんの野望・第三回「狙われた女子高生」篇〜

「詩織ちゃんなんて大ッ嫌いっ!!」
泣きながら駆け去る美樹原愛。
唯一の味方を失って一瞬「しまった!」と思った詩織だったが…
ふと振り返ると主人公もまたモスラに逃げられて呆然としている。
(な〜んだ。あいこじゃない)
いくぶん安堵感を催しつつ、私達ってひょっとしたら似た者同志なのかしら…
などと訳のわからぬほのぼの感に彼女が浸っていた頃…。
事態は一挙に急転した。
政権の奪取に失敗した紐緒結奈が都市ゲリラと化し
目障りなしおりんを抹殺しようと襲撃してきたのだ!
「行け! 戦闘員!」
「ギッ!」
明らかにやられ役とわかる弱そうな戦闘員達の攻撃をかわし
しおりんは紐緒結奈を睨みつけた。
「何のつもり! 紐緒さん?」
「知れたこと。藤崎詩織…あなたを抹殺するわ!」
「へそが茶を沸かすわね。やれるもんなら…」
そこまで詩織が言った時だった。
ニヤリ、と不適に笑った紐緒さんが四次元ポケットより取り出したのは…
「これがお分かり? 藤崎さん」
「そ、それは…次元波動砲!!」
「これであなたを異次元の彼方に吹っ飛ばしてあげるわ。
覚悟なさいっ!!」
紐緒結奈の絶叫が辺りにこだました。
次元波動砲の砲口より迸る閃光が詩織に襲い掛かる!

「きゃあーーーっ!?」

04/18/(火) 午後02:56:36 


倶=

『しおりんの野望』第四節

>「きゃあーーーっ!?」

 そのとき、月並みで恐縮だが詩織をかばうように飛び込むひとつの影。
 しかし次元波動砲の威力は凄まじく、ふたり仲良く時空の彼方に……。

「いたたたた……メグ、大丈夫?」
 そこにいたのは、再び友情に燃えた美樹原……ではなかった。
「あ、あなたは……」
 詩織をかばって見えたのは、仇敵であるはずの主人公。
「へへ、詩織を倒すのは俺の役目だからな」
「あら、そうなの」
 もう、素直じゃないんだから……とお互いに思ってはいたものの、
決してそれを口には出せないふたり。
「ここを出るまでは一次休戦だ」
「それにしても、ここはどこかしら?」

 そのころ紐緒は……。
「わかったでしょう、美樹原さん。あなたがその力を発揮すべきなのは、
誰の下かということを」
 疲弊した部下を目の前にした紐緒結奈にとって、たとえヘンテコで
あっても戦力の増強は急務だった。
「はい……」
(四六時中白衣を着て、前髪で片目を隠してるなんて……この人になら、
「ヘンなカッコ」って言われる心配はないわ)
 美樹原は、なんだかよく分からない理屈で納得した。
04/20/(木) 午前01:19:37 


し=

〜しおりんの野望第五部・望郷篇〜

いきなり時空の彼方に飛ばされてしまった二人だが
落ち着いて辺りを見回してみると…
「…なんか今まで居た場所と違わないわね…」
「ホントだ。あそこに虹野さんの残骸がある」
「や〜ね。せめてスクラップって言ってよ」
片仮名で言えば何でも上品になると思い込んでいる詩織など無視して
主人公は歩き出した。
「ど、何処へ行くの?」
「とりあえず家に帰ろう。俺、腹へった」
「…」
そう言えば私もペコペコ…。
泣く子と腹の虫には勝てぬということわざ通り、二人は仲良く家路につく。
(今日の晩御飯なにかしら?)
またイワシの塩焼きだったら嫌だな〜…
などと学園一の美少女らしからぬ詠嘆を洩らすしおりん。
「せめてサンマにして欲しい…」
「お前、サンマ好きだからな」
「や〜ね。マグロのぶつ切りだって好きだわよ」
おいおい…

お互いの家に帰り着いてみて、二人は「ハテナ?」と首を捻った。
「あれ? 私の家って向かって右だよね?」
「俺んちは左だ」
「じゃあ…」
二人は真っ青になって顔を見合わせた。
「家が逆になっている!!」
「つまりここは…」
「反宇宙の世界!!」
さすが理系パラメータ130を遥かに越える二人である。
瞬時に事態を把握した。
「た・大変だわ! すぐ戻らないと!」

04/20/(木) 午後02:05:14 


倶=

『しおりんの野望』第6幕・冷たいおとぎばなし

 左右が逆の世界……主人公は言った。
「そうだシオリ、フリーマーケットで姿見を買ってくれば元の世界に返れるぞ」
「フリーマーケット? 姿見? なに考えてるのよ。
 それに、なんでわたしの名前がカタカナなの!?」

※某ゲームをやっていないと分からないネタなので、仕切り直し

 左右が逆の世界……早くもとの世界に戻らないと、時空の歪みからどんな弊害が
出てしまうか、予想がつかなかった。
 詩織がふと、ポンと柏手を打つ。
「そうだ、この世界の紐緒さんを探しましょう。そして次元波動砲を使って……」
「うっ。腹が減って動けない」
「緊急事態でしょ! 男の子なんだから我慢して」
「で、電池〜」
「……え?」

 お隣りの彼だと思っていたそれは、よく見るとアンドロイドではないか。
「もう、仕方ないわね」
 ひとりで紐緒から次元波動砲を奪うのは無理だと踏んだ詩織は、仕方なく彼(?)の
ために単三乾電池を買ってくる。
「ほらぁ。今取り替えてあげるから、おとなしくなさい……?」
 電池蓋を開けた詩織の顔が青ざめる。外観からは分からなかったが、次元波動砲の
電磁パルスは彼の回路に大きなダメージを与えていたのだ……。

04/21/(金) 午前01:41:45 


し=

〜しおりんの野望第七章「アンドロイドは電気ウナギの夢を見るか?」篇〜

しおりんは無言のままアンドロイドのスイッチを切った。
壊れた制御回路を稼動させつづければ、
正常な他の部分にまで悪影響が及んでしまう。
「何とか直さなくては…」
自分の作ったものだから材料さえあれば修理はできる。
しかしその材料は…
(フリーマーケットに)
などと考えるはずもなく、詩織は普通のジャンク屋に向かった。
だがそこにいたのは…
「ひ、紐緒さん!」
「あら藤崎さん、お久しぶりね」
詩織の狼狽とは裏腹に落ち着いて答える紐緒結奈。
どうやらこっちの世界の彼女は詩織の敵ではないらしい。
(多少パラレルワールド的構造も入ってるみたいね、この反宇宙は)
などとSFファンにしか判らぬ感想を胸に秘め、しおりんは用心深く問い掛ける。
「紐緒さん、あなたオリハルコンを持ってる?」
「オリハルコン…? そんなもの何に使うの?」
まさか、あなたのところへ盗みに入る相棒を直す為…
などと言えるはずもなく詩織は嘘をついた。
「ちょっと火星探査ロケットでも作ってみようかと思って」
「…ちっとも『ちょっと』じゃないわね」
「それの制御パネルに必要なの」
ようやく納得した紐緒さんはオリハルコンを譲ってくれた。
「バミューダで採れた本場ものよ。大事に使いなさい」
「ありがとう」
思わず出しかけた舌を慌てて引っ込めて、詩織は丁寧にお礼を言った。
そそくさとその場を立ち去る。
(よし。これで何とかなるわ)
あとはアンドロイドを直すだけ。
だが、急いで元の場所に戻ってきた詩織が見たものは…
「あ…!」
「え?」
詩織の驚きの声に振り返る一人の女子校生。
それは、今まさに我が家の門前に帰り着いた「この世界の」藤崎詩織だった!
04/21/(金) 午後01:01:46 


倶=

『しおりんの野望』第8象現・別離ふたたび

「嘘!?」
 自分と同じ姿の人間。そして、お隣りの彼……?
 とうてい理解できない事態だったが、辛うじて彼が大変な状態であることはわかった。
 次の行動に移る気力を示したことこそ、彼女の藤崎詩織たるゆえんだろう。
「きゅ、救急車を……」
「待って! お医者様じゃ駄目」
 しばしの沈黙。
「……訳を、聞かせてもらえる?」
 彼の姿をした人形は、ふたりの藤崎詩織に肩を借り、藤崎家に運ばれていった。

「そう、そんなことがあったの。とても信じられないけど」
 そう言う部屋の主は、若干興奮した様子だったが、疑ったり蔑んだりすることはなかった。
「ええ、私たちだって信じたくはないもの」
 詩織と、修理を終えたアンドロイドは、ひとまずの安堵についた。
「大変だったわね。お風呂お使いになります、詩織さん?」
「え……あ、お言葉に甘えて」
 言われて気付いたが、今の詩織は埃まみれのシンデレラ同然だった。
「じゃ俺も……」
「あなたは駄目!」
 詩織の声がステレオになった。

「ねえ、あなたこの世界に残る気はない?」
 人形の主が消えるのを待って、部屋の主は人形に擦り寄った。
 その声はかすかに震えている。
「え、どうして?」
「だって、あなたは向こうの世界の私と対立しているんだし、こっちの世界に飛ばされた
ショックで死にかけたんでしょ。わざわざ壊れに帰ることなんてないわ」
「でも俺は向こうの世界で造られたわけだし」
「でも、だって……だって……私の前から二度もいなくならないで!」
 彼女は、その場に崩れ落ちた。
「どういうこと? よかったら詳しく話してよ」
「ご、ごめんなさい。取り乱して。
実は、この世界のあなたは――本物の人間だけど――去年の夏に飛行機事故に遭って」
「そうだったのか」
「わがままなお願いなのは分かってる。でも、その方があなたにとっても……」
「ありがとう。でもごめん、俺行くよ」
04/23/(日) 午前12:08:59 


し=

しおりんの野望Part9「胎動」

「あなたたち、ちょっと待って!」
二人の会話を聞いて思わず部屋へ飛び込んでしまったしおりん。
「話は全部聞いたわ」
「詩織…」
「彼女があなたに残って欲しい…って気持ち、わかるよ私」
「そりゃ、お前本人みたいなもんだからな…この詩織も」
「みたい、じゃなくて…」
しおりんはジッとアンドロイドを見詰めた。
「私だと…思って欲しいの」
「え…?」
「つまり、この人を愛してあげて欲しいってこと」
「詩織…」
「私、今はじめて判ったの。
私が…。あなたを…いや、彼を…。
幼馴染のあの人を、心のそこから愛してるって事。
あの人がいなければ私は生きていけないわ。だから当然…」
この人も…。
後は言葉にならなかった。
涙と…そして低い嗚咽の声が洩れるのみ。
アンドロイドは、じっとそれを見詰めている。

「完璧だわ…」
紐緒結奈の自己陶酔しきった声が響く。
こちらは「元の世界」の紐緒結奈だ。
「水も洩らさぬ完璧なプラン。
邪魔者になりそうな奴は次元の彼方に吹き飛ばしたし…。
しかも…」
傍らの美樹原愛をちらりと眺めた。
「最強の戦士・セーラーメグリンまで味方についている。
これで世界は私の物よ!」
「あのう…」
目を吊り上げて叫ぶ紐緒さんをおずおずと見上げ、美樹原さんはつぶやいた。
「詩織ちゃん、どこに行っちゃったんでしょう?」
「私が知るわけないでしょ」
「そんな、無責任な…」
「まあ、どっかで生きてるわよ。
何しろゴキブリ並にしぶといんだから…あの『藤崎詩織』は」
美樹原さんはグッと詰まった。
今は喧嘩しているとは言え元親友がゴキブリ呼ばわりされるのは、あまりにも悲しい。
(せめてカマキリとか…)
「よし」
紐緒結奈は、すっくと立ち上がった。
「いよいよ決行よ!
世界征服第一弾・プロジェクトAを発動するわ!」
そして美樹原さんを睨みつける。
「セーラーメグリン! お前はこれから帝都に侵入し、破壊の限りを尽くすのだ!」
04/23/(日) 午後10:20:01 


倶=

『しおりんの野望』第10巻・帰還

 紐緒結奈は満を持して叫ぶ。
「薙ぎ払え!」
「え、ええっ!? どうやって?」
 たじろぐのは美樹原……いや、セーラーメグリンと読ぶのが正しいだろう。
「安心なさい。あなたの頭部を改造してメガ粒子砲を装備したわ」
「か、改造? それじゃ私の頭は……」
「細かいことは気にしないで、さっさと発射なさい」
「なんだかよくわからないけど……えいっ!」
 脳改造によって細かいことを気にしなくなったメグリンは、迷うことなく
メガ粒子砲にエネルギーを充填した。数瞬の後、目を覆わんばかりの閃光が
東京タワーの脚部を融解させていた。蝋人形たちもすべてガスと化している
ことだろう。
「ふふふ、戦力として申し分ないわ。次は東京パレッ○タウンよ!」
「あの、なんで虎ノ門からお台場へ移動するんですか?」
「脳改造に失敗したのかしら? 観覧車を壊せばいかにも破壊者っぽいでしょ」
「そうですね……」
 ふたりは徒歩で埋め立て地へ移動した……そのめんど臭さも考えずに。

 そのころの詩織。
「それじゃ、この世界の紐緒さんから次元波動砲を拝借しなくちゃ」
「その必要はないわ。ほら」
 もうひとりの詩織がタンスの引き出しを開けると、そこには。
「次元波動砲!?」「ど、どうして?」
 呆然とするふたりを前に、部屋の主が説明する。
「科学部でつくったの。文化祭では好評だったのよ」
「……それじゃもうお別れね。もとの世界が大変なことになってるから」
 そういう詩織を、『彼』が切なそうに見つめる。
「気をつけてな、詩織」
「あなたこそ、もう『私』を泣かせるようなことをしちゃだめよ」
「うっ、大丈夫だよ……たぶん」
 決して口には出せないが、それこそ『彼』がこの世界を去ろうとしていた理由。
「たぶんじゃ駄目よ。じゃあお願い、撃って」
 部屋の主が次元波動砲を構えようとすると、『彼』が割って入る。
「俺に撃たせてくれ」
「うん、私からもお願い」
「……あなたたち、なんでケンカしていたの?」
 やがて藤崎詩織は、再びまばゆい光に包まれた。
04/24/(月) 午前01:06:57 


以上が前半部分です。
これより物語は藤崎詩織と紐尾結奈との最終決戦へと雪崩れ込むわけですが…。
ここから先の展開は私と倶零舎さんの趣味の違いが色濃く出てきて別の意味で面白かったです。
(当人達だけかもしれませんがね・笑)

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