ゲルトマイザーの小屋

Geltmeiser's cold cool boxoffice


 以下の文章はフィクションであり、実在の個人および法人とは一切関係ありません。
 あなたがこれを事実と混同し、あるいは実現を試みた場合に発生した全ての損害に対し、筆者は一切の責任を負いません。
 つーか、こんなの肖像権交渉が面倒ダニ。

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 いやー。大リーグ選手に端を発したトレカも、なんかそれとは違った方向で流行っておりますな。しかし、オタクだけを相手に商売しているのでは、縮小再生産の道を歩むのは必至。
 そこで、一般性が高く、かつ長い商品寿命が期待できる、こんなトレカはいかがでしょうか?

政治家トレーディングカード

Vol.1 自民党パック
Vol.2 共産党パック
Vol.3 社民党パック
Vol.4 民主党パック
Vol.5 自由党パック
Vol.6  公明パック



(以下続刊)

 世は選挙の話題でもちきり(ただしネガティブ)。本商品は政界にホットな話題を吹き込む力を持つものである、と確信しております。
 それぞれのパックには政治家カードの他に支持基盤カードや浮動票カード、コネカードなどが同梱されており、熱いカードバトルが楽しめます。
 もちろん純粋にコレクションを楽しむためのカードとしても、充実しております。
 通常シリーズのほかに、希少性の高い特殊メタリック仕様・地域限定販売の スペシャルパックも用意されております。

Vol.1-S1 新潟県限定販売 田中角栄派スペシャルパック
Vol.1-S2 群馬県限定販売 中曽根派スペシャルパック 
Vol.1-S3 国会議事堂限定販売 橋龍スペシャルパック 



(以下続刊)


ゲルトマイザー(以下「ゲ」):……とまあ、こんなもんでどうだろう。
煩悩一〇八号(以下「一」):なんか恐いなあ。世間から見向きもされないか、それともトラブルに巻き込まれるかの、どっちかだと思うぞ。」
ゲ:なに、心配するな。俺の手腕を持ってすれば、ポポポーンと順調に売りさばいてみせるゼ!
一:本当かよ……ところで、なんで橋龍だけ選挙区じゃなくて国会売りなの?
ゲ:橋龍のは、修学旅行に来た小学生をだまさないと売れないから。
一:……そりゃねえだろう。橋龍にも支持基盤ってもんがあるんだから。
ゲ:あるならあるで、話題に事欠くまい。メッカへの巡礼みたいでさ。
一:この男は……。
ゲ:それに人間は、過去の思い出を美化するものだ。古き良き時代の政治家の方が、人気があるに相違ないぞ。
一:もう勝手にしてください……。


ゲ:ハッハー、やったぜバカ売れだ!
一:な、なんと!?
ゲ:見ろよ、新聞記事にもなってるぜ!
一:あ!? 記者に袖の下でも渡したのか?
ゲ:バカ言え! 読むぞ……。

政治家カード 話題に
政治への関心取り戻す起爆剤?

 これまではマニア向けに作られていたトレーディングカードに、新たな旋風が巻き起こりつつある。実在の政治家を題材にしたカードが発売され、大きな話題を呼んでいる。

 トレーディングカードとは、スポーツ選手の写真などが印刷されたカードで、多くの種類を収集することを楽しむもの。最近では、アニメやゲームの登場キャラクターが印刷されたものや、カードを利用して収集家同士が対戦するゲーム形式のものが、若者の間で人気を呼んでいる。

一:若者……オタクの間違いじゃないのか?
ゲ:新聞記事にそんなディテイルを求めるな。えーと……。

 (株)ゲルトマイザーから発売された『政治家トレーディングカード』はこれらとは一風異なり、なんと実在の政治家を題材としている。カードは各政党ごとにパックして売られ、通常のトレーディングカードと同様に収集家同士が手持ちのカードを交換しながらコレクションを完成させてゆく。
 また、このカードを使って、選挙活動を模したカードゲームを楽しむこともできる。こうした動きから、選挙や政治への関心を失いがちな若者に、選挙に参加することの大切さを訴える道具として期待が高まっている。

一:こんなモンに期待しなければならないとは、日本の選挙って一体……。
ゲ:フッ、俺の読みが正しかったってコトだよ。

 このカードは若者だけでなく、当事者たる政党やその支持層の間でも大きな話題となっている。国会議員の間ではみずからの所属政党や派閥のカードを収集することが一種のステータスとなっている。
 しかし少数しか存在しない希少価値の高いカードが、パーティー券と同様に資金集めの手段として用いられている場合もあり、問題視されている。
 なお、警察庁および各地の選挙管理委員会は「候補者がみずからのカードを有権者に配ることは、公職選挙法違反にあたる」として、強い懸念を示している。

一:なんかヤバくない?
ゲ:ふん。マスコミは物事を大袈裟に書いて、世間の注目を集めようとする生き物なのだ。没有問題、気にしてはイカン。
一:……逃げよぅかな……。


 コンコン!

一:はーい、どなたですか?
太った男(以下「太」):おそれいります。ワタクシ、金権満三先生の後援会長を務めさせていただいております、銭金有也と申します。(声:茶風林)
一:は、はあ……なんかイカニモすぎる名前。
太:何かおっしゃいましたか?
一:い、いえ! それで、その銭金さんはどういったご用件で……。
太:実はですね、御社の発売されている『政治家トレーディングカード』なのですが……。
ゲ:あ、申し訳ありません。ただいま生産が追いつかない状態でして、皆様にはご迷惑をおかけいたしております。
太:いえいえ、そういったお話ではございませんで。
ゲ:はい?
太:どちらかと申しますとですね、カードの内容に関するお話なのですよ。
一:ま、まさか……。
太:この、金権先生のカードですが……バトルに用いるパラメーターの、カリスマ値4、指導力3というのは、実際の先生に比べてあまりにも貧弱に思えまして……。
一:うわー、やっぱり!
ゲ:いや、おっしゃることはごもっともですが、なにぶんこれはゲームでして……。
太:うむむ、そこをなんとか。本日はご無理を承知でご挨拶に上がったわけでして……これは、お近づきの印です。

 パラッ。

ゲ:あ、ああああっ!
一:た、た、た、束!
太:とりあえず一千万、ご用意させていただきました。


ゲ:へっへっへー、やったぜ。政治家はゴマンといるからな。この調子で行けば、帳簿に載らない収入で万々歳。累進課税クソ食らえだ!
一:まったく、金詰まれるたびに数値変えてるんじゃ、ゲームバランスもクソもあったもんじゃないな。そのうちマルサに踏み込まれるぞ……。
ゲ:ふん、表の売り上げだってデカい数字を計上しているんだ。そうそうバレはせん。
一:……なんか……こち亀みたいな展開になってきたなあ。

 ばきいっ!

一:な、なんだなんだ!?
ゲ:ああっ、ドアがっ!

893っぽい男(以下「ヤ」):ゲルトマイザーとかいう野郎はどこじゃあ!(声:若本規夫)

ゲ:お、俺は違うぞっ!
一:じゃ、誰だよ……。
ゲ:私は越後のちりめん問屋でございます……。
一:って、なぜ1マイクロ秒でバレるウソをつく!?
ヤ:ナメとんのかクラァ!(声:くどいようだが若本規夫)
ゲ:ワ、ワタクシはゲルマン魂と申しまして、ゲ、ゲルトマイザーと、な、名前は似ていますが、べ、別人なんでございましてございますよ……。
一:だからなんで、1ピコ秒でウソと分かる事を言うのだ?
ヤ:オラ貴様ァ、ヒトの話ァちゃんと聞けって、学校で教わらんかったんかい……。
ゲ:は、ははは……はい……。
ヤ:いいか? 俺ァ鬼瓦権三先生の世話になってる、三州瓦権助ってモンだ。
ゲ:は……はい?(涙目)
一:その三州瓦さんが、なんのご用でしょうか……。
ヤ:おう、よくぞ聞いた。
 最近オンドレが出しとる『政治家トレーデングカード』とかいうヤツ! パラメーターとかいうのが軒並み上がってるって話だが、鬼瓦先生のカードだけ数字が上がってないそうじゃネェか……不公平とは思わンか?
ゲ:いや、あの、その……弊社では品質改良のため、予告なく製品の仕様を変更する事が……。
ヤ:ンだとボゲェ!? 鬼瓦先生のカードがどんどん弱くなるンが、オドレの言う品質改良かェ!
ゲ:っつーか、あなたのトコも上納金払って……。(さらに涙目)
ヤ:ンなモンオドレが払えやァ!

 ガシャアアアン!

一:ぼ、木刀!? 暴力反対ぃぃぃ!
ゲ:このゲームはフィクションであり、街中での武器携帯は違法となる事がありますので……。
ヤ:ゲームはオドレの頭ン中じゃあ!

 どばきぃいっ!

ゲ:げふっ!
一:ひいいいいいい!


ゲ:いてて……ひどい目にあったぜ……。
一:言ったろう! トラブルになるって。
ゲ:こうなったら、三州瓦と対立する組の連中を焚き付けて、ヤツを潰すしか……。
一:あんたにそんなマネできるんかい。

 ドンドンドン!
 「国税庁だ! ここを開けろ!!」

ゲ:バカな! 本当に国税庁が……。

 トゥルルルル……ガチャ。
一:もしもし、こちらゲルトマイザー事務所です。申し訳ありませんが、ただいま立て込んでおりまして……。
ヤ:(当たり前だ。俺様がお前らの仕事を増やしてやったんだからなァ。)
ゲ:な、なんだと!?
ヤ:(俺と鬼瓦先生をナメてくれたお礼だァ。ガハハハハ!)
ゲ:お……おのーれおのれガッチャマン。
一:バカ言ってる場合じゃねーだろ。俺は新しい仕事探すから、追徴課税がんばってね。
ゲ:あ、コラ、薄情もん!
一:じゃ、さいなら。

 ガチャ。ドタドタドタ……。
 「国税庁査察部です。国税法違反の容疑で、この建物を家宅捜索します。」

ゲ:誰か助けてぇ〜!!


助かりません。


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