8月30日「ユタと不思議な仲間たち」

はじめて見た「ユタ」。評判は聞いていたのだけど、多分私の好みではないなぁと漠然と思っていました。ところが、心の中にぐさっと突き刺さるなにかがあったのです。

LKの様に、ロングランをやってくれたら、きっと何回も通ってしまうと思います。

 

キャスト

ユタ:田邊 真也

ペドロ:光枝 明彦

ダンジャ:坂本 里咲

ゴンゾ:吉原 光夫

モンゼ:高城 信江

ヒノデロ:道口 瑞之

小夜子:相川 忍

くるみ先生:丹 靖子

寅吉:吉谷 昭雄

 

第一幕

先ず、舞台装置に驚きました。

すごく、凝ってます。なんたって回転舞台。

ユタが登場した途端、一緒に行った友達と

「アッ、白かばん…」大受けでした。(わかってくれますね、わかる人は)

田舎の子のシンボルなんて…

 

村のいじめっこのリーゼントと裏地に柄の入った学ラン、吉本新喜劇にも似たような方がいらっしゃいましたね。

いじめのシーンは、かなり迫力でした。

細いユタをあんなにいじめたら死んでしまいますよ。

あれは、いじめではなく集団リンチというものです。

 

狛犬が吠えたり、階段が消えたり…

舞台のからくりがとても面白かったです。

ユタの汗が、ぽたぽた床の上に落ちて、たまってるのが見えました。

 

座敷ワラシ登場

あちこちから、お面をかぶったワラシが登場します。

レーザー光線で、どこまでも世界が続いているような効果。

わらし達のご挨拶。

どれも悲しい話しです。

間引きというと「木枯らし紋次郎」が、上州新田群三日月村(こういうことは良く覚えているのです)で、鼻と口にこんにゃくをつめて殺されそうになった話を思い出しました。

ペドロが「子供を殺すということは今も昔もあるけれど、今のように母親のエゴイズムで子供を殺すのとはわけが違う。」…本当にそうですね。

わらし達の格好、すごい、きたない〜〜

歯も生えないうちに死んだので、みんなお歯黒です。

オムツのお尻もぷっくりで。

 

光枝ペドロの面白いこと!!

ワラシの悲しさ、回りに対する優しさをいっぱい持っているペドロ一家の兄貴分。

小夜ちゃんに密かな恋心を抱いているが、それは決して伝えられないこと。

「一度生きて見たかった…」という彼の気持ちが伝わってきて、ジーンとしました。

 

坂本ダンジャ

生きていたら、さぞ頭脳明晰に育っただろうと思います。

 

高城モンゼ

ちっちゃくて、泣き虫。

生命力の弱そうなワラシ。

 

道口ヒノデロ

遊郭で生まれたヒノデロ、おしろいが大好きな女形。

 

吉原ゴンゾ

唯一名前を持つワラシです。

捨てられたわけではないけれど、飢饉のとき飢え死にしたのでいつもおなかをすかせ怒りっぽいやんちゃもの。

 

この5人の個性的?なワラシとユタが知り合って、友達になったところで一幕終了。

 

第二幕

青空教室での授業と、ワラシたちのいたずら。

丹先生のかわいいこと!

田舎の分教場には、きっといるだろうおばちゃん先生。

このシーンは、笑いっぱなしです。

特にゴンゾにからかわれて、綿の塊を思いっきり投げてしまうところは、笑いすぎて涙が出ました。丹さんも吉原さんもとても楽しそうでした。

天気予報をあてて悪ガキたちに驚かれたり、小夜ちゃんの泥棒疑惑をかばったり…

ワラシたちに助けられながら少しずつ自分をアピールし始めたユタ。

 

梅雨が明けて、洗濯をするワラシたち。

それを干しにユタとともに山頂にフライング。

とても素敵なシーンでした。

ゴンゾとダンジャのくるくるまわりにびっくり!

そのあと、みんなでユタを鍛えるところではゴンゾの一人舞台といってもいいくらいゴンゾが男らしくてかっこ良かったです。

 

最後の悪ガキとの決闘で、最初は戦っているのだけど、だんだんそれがダンスにそろって行く…お見事です!

仲間に認められて友達になることが出来たユタと、悪ガキ。

そこに現れたのは、旅支度をしたワラシたちでした。

彼らは住処が取り壊されて、ビルになるため出て行くのです。

お互いの心の中にはいつまでも残っているけれど、もう決して会うことは無いユタとワラシ達。だれにも見えるはずの無いワラシ達の存在が小夜子にもわかったような気がしました。

もう、ユタは一人じゃない…(かな?)

 

キャストのこと

田邊ユタ

いじめられるために生きているような存在です。あんな田舎に行って「ぼく」「きみたち」なんて言ったら、そりゃ〜〜いじめられますよ。

広島のえらい田舎から出てきた大学のときの同級生が言ってました。

都会の子が、転校してきて親を「パパ・ママ」とよんでるのを聞き、みんなで「おとうちゃん、おかあちゃんと呼ばんかい!」といじめたとか。いじめは決して許されることではありませんが、現実はそういうものでしょう。

田邊真也さん、細い方ですね。踊りはバシッバシッときまりすごく素敵でした。

 

光枝ペドロ

最高です!!!

すごい、本当にすごすぎる役者さんです。

一言一言に笑ったり、ジーンときたり。

人間でも、幽霊でもない「座敷ワラシ」の悲しみをからだ中に抱えているのに出てくるあの優しさはなんなのでしょう。

「小夜ちゃん、アイラブユー」は大笑いしながらも、涙が出そうなくらいにワラシが哀れでした。

 

吉原ゴンゾ

今回、一番見てみたかったのが吉原さんでした。

仏壇の中から、鬼の面をかぶって出てきた途端…「かっこいい!」

すごく背の高い人で、がっちりしていらっしゃるのだけど、手の動きや細かいしぐさがとてもきれいです。市川段治郎さんの「小鮒の源五郎」と似ているかも。

乱暴なやんちゃものの役ですが、やんちゃなところはすごく可愛いんです。

くるみ先生をからかうところなんて、最高でした。

ユタを鍛える所のダンスや、フライングの時の回転…

大きいからだを思いきり活かしたダイナミックな動きで、本当にかっこ良かった!!

ムファサのときはあまり記憶に無いのですが、ムファサはわりと静かな役なので全然違ったイメージだったのでしょうね。もう一度、吉原ムファサも見てみたいけど、吉原さんにはゴンゾのほうが似合ってるような気がします。

ちょっとした動きや、表情がとても楽しそう!

それにしても、男前でした。

今までにも男前と言う表現をいろんな方にしてきましたが、男前、吉原さんに極まれり!!

あのすさまじい、ワラシメイクからもはっきりわかる美形です。

最前列、上手側の席だったので手が届きそうでした。

是非、素顔に近い役、または二枚目の役で見てみたいです。

 

道口ヒノデロ

可愛い、女形の道口さん。声はとても低音で男らしいのですが、しぐさがとても色っぽい。

下村ヒノデロは見たことが無いのですが、もっと濃いヒノデロだったと思います。

どこかに下村さんは女形、道口さんはニューハーフと書いてありました。

めちゃめちゃ同感です。

 

9月2日「ユタと不思議な仲間たち」

どうしても、ワラシ達に会いたくて、前日予約をしてしまいました。

二階席だったので、全体が見渡せて良かったです。

不覚にも?最後は涙が出ました…

キャスト

ユタ:田邊 真也

ぺドロ:芝 清道

ダンジャ:坂本 里咲

ゴンゾ:吉原 光夫

モンゼ:青山 弥生

ヒノデロ:道口 瑞之

小夜子:相川 忍

くるみ先生:丹 靖子

寅吉:吉谷 昭雄

 

3日の間にワラシが2人変ってしまいました。青山モンゼは楽しみ!芝ペドロは…

光枝ペドロが良かったのに…芝さん、JCSで見たとき濃すぎてちょっと苦手でした。

でも、すごくすごく素敵な兄貴でした。(光枝さんは、親分。芝さんは、兄貴という感じ)

 

いじめのシーン

例の白かばん、相変わらず笑ってしまいました。ユタのは新しく、他の子のは使い古した感じで…

ユタは1年生のかばん、他の子は2年生以降という感じでしょうか。

イチロが木にかかったはしごに隠れています。だぼっとしたズボンに、はちまき(バンダナというのかな)、植木やさんかいな。

二回目なのでわりと安心して見ていられました。大作はやはり吉本のヤンキー兄さんみたいでした。

 

ワラシ登場

仏壇から出て来る吉原ゴンザは相変わらずかっこいい!

最後に屋根の上から登場の芝兄貴、決まりすぎ!!

青山モンゼは、高城さんよ小さく見えたけど、元気があってかわいかったです。

坂本ダンジャは頭脳明晰。

道口ヒノデロは可愛い容姿と、低音の声のミスマッチが面白かったです。

「だってお化けだもん」という台詞は笑えましたよ〜〜

芝ペドロは、歌が良いですね!!

劇場がぶるぶる震えそうなかんじ。

 

青空教室

やはり、大笑いでした。

丹先生、吉原ゴンゾのからみ、最高です!

先生の棒が、ぴしぴしあたって痛そうな顔のゴンゾ。

ではやりかえしてやるか…といういたずらっぽいゴンゾ、可愛い!

お馬鹿のイチロ、この人も笑えます。

芝ペドロ、数日前までゴンゾをやっておられたのですが、ペドロ兄貴ばっちりでした。

光枝さんが、悲しさを表に出してる優しさのペドロだとしたら、芝さんは力強くユタを励ますパワーあふれるペドロでした。光枝さんと比べ哀れっぽさが無かったです。

いくらオムツをしていて、歯がなくても小夜ちゃんの前に現れて「あいらぶゆ」と言ったら小夜ちゃんも受け入れてくれたのでは。

道口ヒノデロ、どうしてあんな女っぽいしぐさができるのでしょう。

ちょうちょを振るところ、大作の手を持ち上げるところ色っぽい!

 

フライングと鍛えのシーン。

これは吉原ゴンゾの一人舞台。

こんなに大きい方が機敏に動けるなんて。

本当にかっこいいです。

かんしゃく持ちの力持ちというより、ユタと同じ目線で楽しみながら鍛えてるやさしい感じがほほえましい。

 

最後のシーン

泣いてしまいました。

ペドロの「お前に会えて本当によかった。」というところ。

「ぼくはなにもお礼をしていない。」と言うユタに「そんなことはねえよ。ユタが命を大切にして元気に生きることが嬉しいのだから。」というような台詞、「小夜子のことをよろしく」って言いながら未練たっぷりに、なんども後ろを振りかえり、意を決したように去って行く姿。今思い出してもなみだがでそう。

ユタは本当にもう一人ではないのかな。

大作たちがワラシのかわりになるのかな。

 

9月8日マチネ、9月9日ソワレ「ユタと不思議な仲間たち」

キャスト

ユタ:田邊 真也

ペドロ:光枝 明彦

ダンジャ:坂本 里咲

ゴンゾ:吉原 光夫

モンゼ:青山 弥生

ヒノデロ:道口 瑞之

小夜子:相川 忍

くるみ先生:丹 靖子

寅吉:吉谷 昭雄

 

8日は息子の友達のお母さん3人と、バルコニ−席からの観劇でした。

上から見下ろす感じなので、表情が見えない点はありましたが、見切れることもなくてなかなかよかったです。

9日は母と二階3列目でしたが、バルコニーの方がよく見えたように思います。

 

2日と違うキャストは、光枝ペドロ。

芝ペドロも力強くてよかったけれど、やはり光枝ペドロは良いです。

間の取り方が絶妙、かなしさもより伝わってきます。

笑わせところは、ばっちり押さえておられます。

あのお年で(失礼ですが)全国公演を続け、東京でもほぼ出ずっぱりというのはすごいです。

2日連続で見ましたが、全く同じパワーを舞台で出しておられました。感服!

30日と違うなと感じた点は、「小夜ちゃん、あいらぶゆ」のところで、以前は

「あい、らんぶ、ゆ」と、東北なまりだったのが、ここ2回は「I love you〜〜」と英語っぽくなってました。

ユタを鍛えるシーンで、気というか念力でユタを投げたり、かわしたりする所すごくかっこいいですね。

最初から最後まで、歌も台詞も最高です。最高としか言えない語彙のなさがかなしいのですが、光枝ペドロ親分、私も会ってみたい。

そして私も助けて欲しい。私も守って欲しい。

別れのシーンでは大泣きでした。(4人とも)

終演後、お茶を飲んだのですが興奮して喋りまくる3人、ジーっとパンフレットに魅入って「私、もう1回チケットとる!」と前売りチケットブースに走る一人。

私の周りに「ユタ」ファンが増えて嬉しいです。

 

恒例の吉原ゴンゾレポ。

ゴンゾはやっぱりかっこいいです!!!

8日の3人、9日の母(70過ぎのばあさまです)みんな声をそろえて「かっこいい!」

今日も表情豊かでよく笑ってました。

 

l         チェックポイントその1

オムツの洗濯をするとき、ゴンゾ、ヒノデロ、モンゼがアドリブのようなことをするのが楽しい(ゴンゾがオムツの匂いをかいでウッとなる。ゴンゾがいやがるヒノデロに自分のオムツをかがせて、のけぞらせる。ゴンゾが2人に水をかけるなどのバージョン)と聞いていたので、しっかりチェック!

8日は、ゴンゾがたらいの内側をオムツで磨いていました。

なかなかきれいにならないなあという感じで。そしたらモンゼが自分のオムツもゴンゾに持たせて、ゴンゾがむっとした顔をしてました。

9日は、あまりたいしたことはしてくれなかったのですが、3人で「ゴシゴシゴシ・フー・ゴシゴシゴシ・フー」みたいな洗い方。

 

l         チェックポイントその2

「ご挨拶」のとき、ダンジャが難しい自己紹介をして「わがるがなあ??」

そのとき、ペドロがゴンゾをつついて「お前わかるかい?」という仕草。

それに答えて「いや、わかんねえ」というふうに首をふる。

 

l         チェックポイントその3

青空教室で、理科の時間、綿の塊と鉄の棒どっちが重いでしょう?という質問に一郎が「大きい綿の塊!」と答えます。ゴンゾもそうだそうだと頷く。

女のこが「ばかだぁ、鉄の棒にきまってらあ」と言った時むっとした顔。

くるみ先生の棒がぴしぴしあたるときの仕草と顔。

 

l         チェックポイントその4

最後のシーン、ユタが「みんな元気でね」と言うのに「俺達はいつだって元気だよ」

と、しみじみ言ういい方。

 

l         チェックポイントその5

ユタが長靴傘を持って出てきて、いじめっこに馬鹿にされる。

そのとき上手から心配そうに現われて他のワラシに「来い来い」というふうに指で合図。

このときの手首から先の動かし方がとてもきれい!

 

l         チェックポイントその6

フライングで、グルグル前回りをするとき客席を見て「やるぜ」という一瞬の表情。

 

8日のフライングでは腕をワイヤーに引っ掛けてしまわれた様で、途中で下向きで止まってしまいました。

8月30日にはじめて見て以来(8月25日からゴンゾ役)どんどんよくなられてます。

どこかのHPに、吉原ゴンゾは時々ムファサが入ってると書いてありました。

「そうかなあ?」と思っていましたが、ユタを叱るところや、叱咤するところ9日あたりでは貫禄が出てきてちょっとパパっぽかったかな。

 

今週は、再び芝ゴンゾの登場です。

短い?ゴンゾキャスティングの中、4回も見れてよかった!!

 

道口ヒノデロ

道口さんは、「夢醒め」のメソで見たとき、あまり好きではなかったのですが「OTC」で、「歌うま〜〜い」と、思いました。

下村さんのヒノデロはなんとなく想像できますが、道口さんがどんな花魁を演じられるのか?…可愛かったです〜〜〜〜!!

道口さんも、どんどんよくなって行った方。「深く傷ついておられるご様子だわよ。」いつ聞いても笑えます。

 

今回、目を奪われた小川新太、とらえどころのないボーっとしたガキの役なのですが

「冬に眠りにつく動物は〜〜♪」の歌を思いきり投げやりに歌ってるのが面白かったです。

「プウレジェント…だとよ」の憎らしい言い方も良かったです。

 

「ユタと不思議な仲間たち」に出会えてよかった。