「傾城反魂香」
生来の吃音が原因で、絵の師匠(市川左團次)に認められず,弟弟子(中村勘太郎)にもおくれを取った叉平(中村富十郎)と、叉平を理解し優しく連れそう妻(中村芝かん)。
生きる希望を失った叉平夫婦がこの世の終わりに…と描いた絵が師匠に感動を与え、夢にまで見た苗字を持ち、画家として、また侍として生きることを認められる、というあらすじ。
富十郎さん、良かったです!
はじめて見た役者さんなのですが、以前俳優祭のテレビで、まだ小さい息子さんと出られていて、その子が疲れてぐずり出したのを、オロオロしながら、めちゃめちゃいとおしそうになだめていらしたがとっても素敵でした。
大きな丸い目が、いかにも実直で真面目で不器用で、そして世に認められない悲しさをいっぱいに含んでいます。
必死で訴えれば訴えるほど、吃音がひどくなって、誰からも相手にされない。
弟弟子に「殿とは呼ばぬ、様じゃ!」とすがり付いて情けを乞う当たり、また、吃音を悔しがって、喉をかきむしる様子涙腺の乾ききった私でもぐっと来ました。
そんな夫を一生懸命支える、妻。
芝かんさんは、今までにも色々な演目で拝見しましたが、素晴らしいです。
優しくて、ちょっと強くて、お茶目でいろいろなところに、ユーモアが漂っている。
この役も、すごく優しいんです。
夫が最後の絵を描く時の筆を選ぶところ、「これでええか?」と夫に聞くところ…。
そして「手も2本、指も10本あるのに」と、吃音の故に、不幸な夫を嘆くところ…あ〜〜よかった!!
才能豊で、感性も豊な弟弟子は、叉平の苦しみが良く分かる。
師匠と叉平の間にはさまれてつらい役を、勘太郎さんがさわやかに、力強く演じておられました。
連獅子
獅子は我が子を谷底に突き落とし、這いあがってきた子だけを育てる…
しかし、我が子を突き落とした父親は、やはり心配して子供の生還を祈ります。
突き落とされた子供は、崖下で気絶したものの、水面に映る、父親の姿に元気を取り戻し、這いあがってきます。
喜んだ父親と子供が蝶を追い、踊り狂う…
ダイナミックで、すばらしかったです。
ライオンキングとダブルらせて、見てしまったのだけど「おまえこそ王となる」と、最初から甘やかして育てるサバンナ、
「生きる力を持っているものだけが、獅子として認められる」という日本、やっぱり日本男児は潔くて良いなあ!
それでも、水に映る父の姿に元気付けられたり、蝶を追って戯れるところは、古今東西同じ、ライオンの習性なんだろうか(って、ちがうだろ)
ここでは勘九郎さんの、目の力がすごかったです。
最後にグルグルとかしらを回す踊りは素晴らしい迫力で、思わず手を握り締めてしまいました。
勘太郎さん、七之助さんもよかった!!
七之助さんのタイミングが微妙にずれたのもなんだか可愛かったです。
間に入る狂言は、めちゃめちゃ面白かった!!
扇雀さん、信二郎さん、ともに滑舌も声もとっても良かったし、素敵でした!!
与話情浮名横櫛
「粋な黒塀、見越しの松に、あだな姿の洗い髪、死んだはずだよオトミさん♪」で有名な「切られ与三」「お富」の物語です。
遊び人の若旦那与三郎は、ヤクザのおめかけお富と密会する仲となるが、ヤクザにばれてしまい、切り刻まれて海に捨てられる。
追い詰められたお富も海に身を投げる。
そんな二人が運命のいたずらで再び出会うことに…
与三郎@仁左衛門さんの色っぽいこと!美しいこと!
白塗りのお手手に、ピンクのマニキュアが光っているのが、なんともおしゃれ!!
決して私のタイプではありませんが(だれも聞いてないって!)素敵でした。
お富@玉三郎さんは、年増女の色気というか、もうフェロモンむんむん!
番頭の藤八にお化粧をするところは、素が入っていたのでしょうか。
「あ〜〜た、ほんとにかわいいくちびるしてるわねぇ」なんて絶対にアドリブだと思うんだけどな。
笑いながらとっても楽しそうでした!
ゆすりに身を落とした与三郎を連れて、お富にたかりに来る勘九郎さんはすごい!!
本当にこの方はエンターテイナーとして、最高です。
ちょっとした台詞や仕草があんなに笑いを取れるなんて!!
ストーリーの結末はなんだか????なのですが、豪華キャストの揃った、一点も裏切られることの無い舞台に大満足でした。
番外編 魅惑の観客たち
その1
私が通路がわ、友達がその隣に座っていました。
彼女の隣のおばさん(30歳くらいの娘さん連れ)には、頭にきた!!
観劇中、ずっと大股を開いて、友達の足を圧迫。
休憩になると、「ちょっと早くどいてよ!」と私達を押しのけて出て行く(私達も立ちあがっていて、決してぐずぐずしていたわけではありません。)
休憩が終わった時、私と友達は早めに席に着いて、荷物を下に置いたり、イヤホンをはめたりしておりました。
そのおばさんの娘さんがなかなか帰ってこなかったのですが、私達に
「あと一人来るんですよ!荷物(小さなバッグと小さなビニール袋)、席の下に押し込んでもらえない?」って友達のバッグを無理やり椅子の下に押し込もうとするんです。思わず「来られたら、どかしますから」と言い返してしまいました。
こんなケンケンつんつんした気持で芝居を見て、このおばさん、楽しいのでしょうか。
その2
私達の前に座ったおばさん、きれいに着物を着てお化粧もちゃんとして…なんだかかわいらしい!
三味線が始まると、首をこっくりこっくり振りながら拍子を取っておられるんです。
にこにこしながら。
本当にお好きなんでしょうね!
その3
赤い紬を着て、しゃきっと帯を締めた四十歳くらいの女性。
めちゃめちゃ素敵でした!
友達と「紬って素敵だね」とため息が出てしまいました。
この日の来るのをどれほど待った事か…
Uほどのインパクトはなかったけれど、とても楽しめました。
しかし、ここで完結させなければ!ということで、内容が複雑、やたらと出てくる登場人物をなんとか関係付ける事を重視するあまり、登場人物のキャラが(主人公の謳凌でさえ)希薄で、印象に残る人がいないというのがちょっと残念でした。
また、ストーリーの展開がバタバタと早く、やや説得力に欠けるところがあったような…
でも、鏡やレーザーを使った舞台は、本当に素晴らしかったし、役者さんを堪能できて満足でした。
気になったキャスト
伊代@春猿 あくまでも美しくしなやかに
すごくかわいかったです!
衣装がきれい!
花道横の席だったので、なんどかアップで見ましたが、お肌がぴっかぴかです〜〜うらやましい。
彩霞@門之助 影のヒロイン、謎の姿は湯ばあばか?
「この世に生きているのが不思議なくらい」と言われるほど高齢の彩霞。
Tでは、春猿さんがかわいらしく初々しく演じておられたのに…月日は人を変える、女の盛りは短いんだネエ(シミジミ)
めちゃめちゃに面白かったです!
メイクや、作りは「千と千尋」の湯ばあば、そっくりです。
仲達@金田龍之介 じつは、影で歴史を操った男、Uの愚かさはほんのポーズ
Uでは、深読みばかりして、勝利のチャンスを失ったり、死んだ孔明に走らされたり、なんだかぱっとしなくて頭の悪そうな三人トリオだった仲達。
それも「星空を輝かせる為に必要な暗黒」に自らがなるための布石だったのでしょうか?(ちょっと違う気がするんだけど)
先見の明のあるすばらしい人物として描かれていました。
自分をさっさと死んだことにして影から息子たちを操り、
「お前は用が済んだから、死んだことにする」、こんなのありか???
あの、極悪な子尚@猿四郎までもが、言う事を聞いちゃうんだから、やっぱりすごい人だったんでしょう…
馬潤@亀治郎 亀ちゃん、これだけ〜〜??
私は特別、亀治郎ファンではありません。
でも、でも…これはいくらなんでも悲しい…
だいたい、この馬潤って言う坊やをここに登場させる、作者の意図がわからん!!
よれている時の時の彼はなかなか可愛くて、悪そうで良いキャラだったけれど、とつぜん改心して、学問所を守るため帰って来てからは全く精彩を欠いていました。
そこに至るまでの彼の心境の変化も全く描かれていない。
「長想思」の歌詞をつけたのが、馬潤だったという事を言いたいだけの為に作られたキャラだったのか??
こんな、女に手が早いところだけお父さんに似た、お馬鹿な息子を登場させることで、Uのカテコの素晴らしさが、すべて打ち消されたような気がしました。
また、今回も全く同じパターンで、馬潤親子がカテコに出てきますが、有り余る才能を開花させるのを急ぎすぎて、みんなに惜しまれながら散って行った馬謖と、おとうちゃんへのトラウマとやらで薬をやり飲んだくれていたプー太郎をいっしょにするな!!
あ〜〜〜だめ!なんといわれようと、これだけは受け入れられない!!
宦官@笑子 ウゥ、気持ち悪過ぎ
それだけです、感想。
礼具@段三郎 結構好きかも…
段三郎さん、きれいです〜
つるっとしたお雛さまのようなお顔、今回もさわやかでした。
では、では、では、語らせていただきましょう!!
子尚@猿四郎 このかっこよさは犯罪的です!!(意味不明)
ぐぉ〜〜〜、こんなカッコイイ人が存在して良いのだろうか!!!
役柄は悪です、権力を持った悪、それも半端ではなく冷酷、惨忍、フセインよりも金正日よりも、いやな奴かもしれません。
青い衣装が良く似合って、怖いメイクがまた素敵で…
舞台に立っているだけでぞくぞくした色気を感じました。
Uのように立ち回り(滝の中で派手に水を浴びておられました)がなく、あまり動きがないのはちょっと物足りなかったけれど。
でも、魏の幼帝をかっさらうところはかっこよかったです。(私もさらわれたい…)
非道の限りをつくし、やっと皇帝の座に座れると思ったとたんに、仲達から「お前は死んだことになれ、お前の息子に皇帝の座を継がせる」なんて言われて、フン!と去って行くのも物足りない!
あれだけ悪い事が出来るあなたではないですか〜年老いた父親なんてぶっ飛ばして、権力の中枢に上り詰めましょうよ〜〜!!そして、独裁者となり、独裁国家を作るのです!!
あなたを討伐しに、猿之助@正義の味方が現われ、あらたに「新・三国志W」が始まる。すみません…
カテコで、よろけたお父さんに手を差し伸べたのを払いのけられて、思わず苦笑いするのが、可愛いです!!
子尚にはお子がおられるそうなのだけど、カテコでは是非登場して欲しかったです。
馬潤親子なんていらないからさ。
おっかない子尚お父さんが「晋」と書いた旗を頭にくっつけた、ハタ坊のような若君を抱っこして出てくるなんて、素晴らしいと思いません??
7月のお風呂やさん、犬川荘助、8月の「北州」、12月の猟師、従者、武藤太などなど、いつも猿四郎さんには素敵な驚きと、ときめきをもらいます。
男っぽくてストイックな感じが、とっても好きです。
どんな役回りでも、また、かなり強烈な個性の役でも、演じるというより、なりきっている感じを強く受けます。
芸達者というのか、器用な役者さんというのか、地味だけど、彼が出てくればどんな舞台でも安心感がある、そういう役者さんにどんどん成長して行かれるような気がします。
四季の広瀬さんみたいな(歌舞伎と普通の劇団とでは全然違うけどね)。
次回は4月13日、また猿四郎さんに崩壊するのが楽しみ!
よかったです!
前回の希薄な印象が、回を重ねたことで縁取りがくっきりして、とても分かりやすくなりました。
登場人物の背景も分かっていたので、感情移入も出来たし。
また、舞台も終演に近づいてきたせいか、客席との一体感がすごく感じられました。
声も沢山かかっていたし、拍手のタイミングとか、すごくよかったです。
今回の目玉は、なんと言っても、仲達@團蔵!
すごかったです。
ダイナミックで滑らかな身のこなしは、私の知っている歌舞伎の範疇をはるかに超えていました。
せりふの言いまわしも、とても新劇っぽいというか、もしかしてこの方は、どこかの劇団で正式に演劇を学ばれたのでは?と思ってしまうくらいの、滑舌、演技力でした。
そして、声が良い!!
私は歌六さんの声がとっても好きなのですが、歌六さんの声が渋くて落ち付きのある、四季の早川さんのようなタイプだとしたら、團蔵さんは、ひのさんのような、歯切れの良い、耳障りの良い声でした。
例えば、そのまま、俳優座のマクベスを演じようが、ジュリアスシーザーを演じようが、四季のマキャビティ−を演じようが、ハムレットの亡霊を演じようが、ライオンキングのスカーを演じようが、まったく違和感が無い。
私はもともと新劇のファンだったので、余計に段蔵さんのオーバーアクションが気に入りました。
そして、演技が細かい!
ちょっとした表情や、台詞の間の取り方で、かなり笑えました。
金田仲達が、深読みしすぎて、「死せる孔明に走らされた」のは、良く分かるのだけど、團蔵仲達なら
「なに〜〜〜、空城の計やと〜〜!!なに考えとんねん、あほぉ!そんなもん10年早いんじゃ〜〜!!
行け!!いてまえ!!」
「したが父上、敵は稀代の策士、諸葛孔明…なにか,策があろうかと…」
「ぼけ〜〜、なに言うとんねん!さっさと行かんかい!!子元に子尚! 孔明がなんぼのもんじゃい!!」
父と子が逆転してしまいそうな…
メイクや表情はかなり怖いです。
死んだことにして、お葬式のシーン、すっぽんからベンチに座って白い布をかぶって出てくるのですが、それをめくった瞬間の目線が、白目がちの三白眼…
斜め後ろの私はおもいっきりにらみつけられる感じで、思わず
「ぎゃ〜〜」と友達の手を握ってしまいました。めちゃめちゃこわかった!
「星空を日輝かせる為の暗黒になる」というせりふも、金田仲達なら
「そうだったの、そこまで考えて行動していたのね。あなたこそ、平和をもたらした影の功労者よ!お疲れさま」と声をかけてあげたくなるのですが、團蔵さんだと、
「あんたが暗闇で黙ってるわけがないじゃないですか!あなたこそ宇宙のブラックホール、闇の闇に潜む、まさに暗黒魔王!」
彼の院政はまだまだ続く!
とにかくあの怖い猿四郎さんをも凌駕する恐ろしさでした。
子尚@猿四郎さん
文句無しのかっこよさ!!
今日はお父さんがあまりにも怖いので、なんだか子尚の悪さ、強さがパッとしませんでした…
すっぽんから出てきた時、横顔をずっと見たのですが、鼻筋がすっと通って、すごくきれいでした。
かなりの男前と見た!
お父さんに、「お前は死んだことにしろ」と言われて
「フン!」とすねて去って行くのが、前回よりずっとおもしろくて、わらいがおきていました。
前回はあまり個性を感じなかった春琴@笑也さん。
凛々しくもはかなげで、私の大好きな、透明感のある美しさを堪能できました。
仲達@團蔵さんに偏ったレポでごめんね〜〜
でも一番は・あ・と!なのは絶対に猿四郎さんだからね!
劇場に着くと、学生服を着たお兄ちゃん、お姉ちゃんがわさわさと歩いている。
いままで、歌舞伎座でも、演舞場でも、四季でも何度か、修学旅行や、観劇教室の学生と一緒になったことがあります。
学生達はうるさい!と、いやがる話も聞きますが、私は学生の団体で不愉快な思いをしたことは無いし、彼等の新鮮な反応を見るのが好きです。
今日の学校は、帰国生を受け入れるので有名な私学、一見、派手なお兄ちゃんお姉ちゃんで、始まる前のにぎやかさはちょっと異質だったけれど、始まってからは静だったし、歓声や拍手のノリの良さは、なかなか良かったと思います。
特に、カテコの花道で桃の花びらを振り掛けて「きゃ〜〜〜」と騒ぐなんて、本当に若さの勝利です。
最後の猿之助さんと、笑也さんのキスシーン(?)や、笑野さんが、亀治郎さんに
「私のおなかにはあなたの子どもが云々」のところで、「わさわさわさ、うふふふ」とどよめきが起こったところ、まだまだ可愛いネエ、君たちは!
さて、3回目のV、どんどん良くなります。
今回はセンターブロック、ど真ん中での観劇だった為、花横だった前回2回とはちょっと違った目線で楽しめました。
まず、仲達@團蔵から始めよう!
今日も、團蔵さん、すごい!!!
彼が出てくると、スーパーと言えども歌舞伎の世界が、一転します!
こぶしを振り上げ、マントを翻して「おろかな人間ども!」なんて凄みを利かせるあたり、前回の感想通り、まさに新劇の「マクベス」か「リア王」か!
こわすぎ!!
目線や仕草に一点の情も無い、無慈悲で残酷な策士です。
他の仲達が、平和な国をもたらす為の必要悪としての存在だとしたら、團蔵仲達は積極的な暗闇というか、
星空を輝かせる事なんてどうでも良い、自分が暗黒のドンであることに喜びを観じている…う〜〜ん、上手く言えないけれど、とにかく根っからの悪…
死んだ後のパッチワークのような衣装、とってもきれいでした。
なかなか素敵なステップ、右近さんの出陣
このシーン、好きです!
姜維@右近さんが、最後の出陣をするとき、歌舞伎から一瞬現代劇に戻ったような、みんなのステップが揃って行くところ。
Tでも、同じようなシーンがあったと思うのですが、先頭の右近さん、いくら顔がでかくても、いくら足が短くても素敵です!
瀧之さんに、ちょっと注目してしまいました。
そのまま、花道を通って、去って行く右近軍団!めちゃめちゃかっこいいです〜
声がなあ…笑野さん
笑野さん、きれいです!!
男とは思えない華奢な体つきといい、細面の整ったお顔といい…
笑也さん、上村吉弥さん、など好きな女形の役者さんはいるのですが、「美しさ」という所だけを見ると、ほんとに笑野さんはきれいだと思います。
しかし、美しさは美しさだけで、どの役をやっても同じようなアプローチしかできないところが、まだまだ魅力に欠けているような…
それと、声が悪い。声の質というより、発声が悪いのか、こもるし割れるし。
(好き好きはあると思うのですが、私福助さんの声も苦手なんです…)
黙っているとすごくきれいなんだけど、しゃべると「ガクッ」となってしまいます。
もっと裏声なり、美しい発声を練習して下さい。
がんばって!!猿四郎さん!
「皆殺しにしろ!死人の山を築け」とすっぽんから登場して、「ふふふふ、ははははは」と惨忍な笑いをする猿四郎さん、カッコイイです!!
すっぽんから出てきた時は右斜め後ろを向いているのが、足元にターンテーブルがあるがごとく、回転をして舞台をむく芸の細かさが素敵!
でも、謳凌が「たかが、仲達のせがれごときに!」というシーンがありますが、そのとおりに、初回のイメージは
「強くて、冷酷で、どんな非道な事にも手を染められる策士」だった子尚が、團蔵お父さんのもとだと
「残酷なところだけお父さんに似てしまった小者」になってしまったのは、ちょっと残念。
今回3人の違うタイプの仲達の息子、かなり難しい役どころだったと思いますが、ここは、猿四郎さん、押せ押せの演技だけでなく、ちょっと剛柔使い分けて、小技を使った子尚を演じて欲しかったです。
彼になら出来る!!!あれだけの演技派なのだから。
いつも思うのですが、猿四郎さんって、すごい男の色気があるんですよね。
目つきとか、口元とか…
2枚目という役者さんはほかにもいらっしゃるけど、色気、フェロモン、セクシーさは、澤瀉屋NO、1だと私は思います(妄想してます、ごめん)
ほんっとに、猿四郎さん素敵です!
演出も舞台構成もとても楽しめたV.
内容も、殺すものと殺されるものの間にはなんの恨みも憎しみも無いのに、どうして殺しあわなければならないのか。人を殺せば、憎しみの連鎖が続くばかりで、決して平和は来ない。
戦争とはなんと虚しいものか…
イラク戦争などで、世界が大きく動いている今、とてもタイムリーなストーリーだったと思います。
ブッシュに見せたい!ラムズフェドにも見せたい!!
来年がまた、楽しみです。
番外編:無欲の勝利と人は呼ぶ
劇場前に、伊豆箱根鉄道の観光バスが停まっていました。
前に「市川猿四郎」という札が。
猿四郎さんは、熱海の御出身なので、地元の方が観劇に来られていたのでしょう。
公演後、友達と、お茶を飲んでいると、バスが動きました。
20人くらい劇場関係者の方が、お見送りで、手を振っておられて、それに答える様に御挨拶している猿四郎さんが!!
花束を持って、にこやかに車のほうに歩いて行かれました。
舞台のイメージとは違って、とてもにこやかで、さわやか、そしてとても細かったのにビックリ!
最後にステキなおまけまでついて、本当に楽しかったです。