2004年日本シリーズ 中日ドラゴンズ対西武ライオンズ

2004.10.24

2004年に中日が5年ぶりのセ・リーグ優勝を果たした。しかし中日ファンのおらではあるが、中日のリーグ優勝にはもうあまり興味がなく、おらは日本シリーズに勝つことだけを重視していた。中日は1954年の日本シリーズで西鉄ライオンズに勝って以来、4回の日本シリーズで負け続けていて、どうせ日本シリーズに勝てないのなら、もうリーグ優勝なんてしてほしくないと思っていたくらいだ。リーグ優勝の試合や日本シリーズを観にいく為のチケットの入手に苦労し、金と時間を使っても中日は結局勝てないのだから。中日はただ巨人戦に勝ち越してくれればそれでよかった。とは言えおらは中日の胴上げ試合をこの目で観るのを義務感のように感じていて、広島に負けはしたがリーグ優勝が決まった名古屋ドームでの試合を東京から観に行った。そして就任直後から日本一になると豪語し、1年目でリーグ優勝を成し遂げた落合監督だけに、今回は中日の日本シリーズ優勝にかなりの期待をかけていた。パ・リーグの優勝チームはシーズン2位であったものの、3位の日本ハム・ファイターズ、1位のダイエー・ホークスとの2度のプレーオフを勝ち上がってきた西武ライオンズ。日本シリーズ直前のおらの中日優勝の期待度は50%だった。

第1戦:10/16(土) 名古屋ドーム
中日はエース川上が先発して好投するも、西武の先発石井貴を打ちあぐね、たった2安打でなす術もなく0-2で敗け。しかしこれはただの1敗ではなかった。中日は絶対的なエース川上で負けた上に、翌日の西武の先発投手は日本のエース松坂に違いないのだ!セ・リーグの年間失策最小記録45という守備力と投手力でリーグ優勝した中日の守りの要であるライト英智とショート井端が失策するなど、中日選手の硬さが目立ったのに対し、西武は激戦のプレーオフが終わって間もない日本シリーズ突入で、普段通りの試合をしていた。おらの優勝への期待度はこの時点で30%となってしまった。

第2戦:10/17(日) 名古屋ドーム
中日は3回裏に西武の先発松坂から3点を奪って3-2と逆転するも、5回表に中日先発のベテラン山本昌が4点目を奪われて再度逆転され、代わった落合も打たれて3-5。なお二死満塁で西武の野田が放った左中間への当たりは、走者一掃の長打と思われた。ところが打撃を買われてこの日スタメンに入っていた井上が逆シングルでグラブ先端にボールを納めるダイビング・キャッチ!しかし7回裏が始まった時点で3-6と中日は松坂の前に敗色濃厚で、おらはこの1戦だけでなく、日本シリーズの負けを覚悟した。オレ流監督でも中日は日本シリーズには勝てないのか…。ボストン・レッドソックスの“バンビーノの呪い”のように(後日レッドソックスは86年ぶりにワールド・シリーズを制覇する)、中日も何かの呪いにでもかかっているのだろうか?おらはテレビを前にしてソファーで戦意喪失。熱を出して寝込みそうだった。この時点でのおらの期待度は0%に。ところがこの7回裏、シーズン中のホームランがたった5本の3番立浪が松坂から同点3ランをライト・スタンドに叩き込み、その後中日打線は松坂をメッタ打ちにして11-6の大勝!シーズン中には観られなかった中日打線の爆発だった。松坂はシーズン最速タイの156km/hを出していたが、ほとんどの球がシュート回転していて、制球も今ひとつだった。松坂を打てるのなら、日本に打てない投手はいない!これで1勝1敗のタイ。おらの期待度は60%にふくらんだ。

第3戦:10/19(火) 西武ドーム
中日はシーズンを通して川上、山本昌に継ぐ先発3本柱の1人として起用していたドミンゴがこの日の先発。西武の先発は帆足。1-4と中日劣勢の6回表に谷繁が起死回生の満塁ホームランを放ち逆転!7回表には中日が更に1点を加えて6-4となり、後は中日得意の継投で逃げ切れるはず。しかし落合監督何を思ったか、打たれ始めた岡本の交代を告げにマウンドまで行き、ブルペンから高橋聡がグランドに出てきたのに、その高橋聡を引っ込ませてまで岡本を続投させた。結果カブレラの逆転満塁ホームランが飛び出し6-10となって万事休す。8-10で中日が負け1勝2敗に。この敗戦は痛すぎる…。おらは宗教を信じ込む人間が理解できないでいたが、おら自身いつのまにか日本一を唱える落合教を信じ込んでいたことに気がついた。しかしこの日の敗戦で我にかえったおら。やっぱり中日は日本シリーズに勝てないのか…。おらはその晩悔し泣きしながら寝た。期待度は30%に。

第4戦:10/21(木) 西武ドーム
おらは中日の胴上げ試合を観る為に第4戦以降のチケットを全て入手していたので、これ以降全戦球場まで足を運んだ。西武がパ・リーグを制覇してくれたおかげでパ・リーグ主催試合は会社を早退するだけで観戦できたのはありがたかった。しかし台風の影響で第4戦以降が1日ずつ順延されたので、ナゴヤドームで開催される第7戦まで試合がもつれたら、月曜日に会社を休まなきゃならない。しかもおらは火曜日から、日本シリーズの為に先延ばししていた海外出張に行かなきゃならなかいから、引き分け試合があったら一巻の終わり。しかしおらは台風のおかげで川上を中4日でこの日の第4戦、そして中3日で第7戦に先発させることができる為、中日が俄然有利になったと考えた。中日が勝つには川上が3回先発するしかないとおらは最初から考えていたのだ。しかし落合監督はなんとシーズン中に4度先発しただけの山井をこの日の先発に起用した。川上どころか先発が有力視されていた小笠原でもない。その山井が6回まで無失点に抑える好投を見せ、8-2で西武を下し中日は2勝2敗のタイとした。中日が日本シリーズで2勝したなんて記憶はおらにはない。これでおらは名古屋まで行かなければならない、否、行けることが確定した。ここまで来たら一生に二度とないかもしれないチャンス。絶対に勝って欲しい。しかし中日の勝ち方がおかしいのが気になる。シーズン中は打てない打線を守備力と中継ぎ投手陣で守り抜く野球だった。ところがここまでの中日はエラーの多さが目立ち、中継ぎ陣は総崩れの状態。それをシーズン中には見られなかった打線の爆発でなんとかカバーしている。そしてこれで川上の第7戦の先発がなくなった。第7戦までいったら落合監督はいったいどうするつもりなんだろ。おらの期待度は50%に。

この日おらは西武球場、いやひょっとしたら所沢球場と名乗っていた頃に来て以来、初めてドーム化された西武ドームにやって来た。西武ドームは後付けのドームだからか観客席とドームの間に大きな隙間があり、通常のドーム球場のような閉そく感がなく、林が見えて快適だった。ドーム球場嫌いのおらだが、西武ドームは気に入った。1リーグ制になれば西武ドームにもちょくちょく観戦に来られるからいいのに。それにしてもナゴヤドームでは西武ファンはほんの一握りしかいなかったが、西武ドームでは中日ファンが半数を占めていた。

第5戦:10/21(金) 西武ドーム
この日の観戦は西武側の内野席。敵側では派手に応援できないが、ナゴヤドームに行かなきゃ見られない1塁側からの中日戦の観戦は新鮮だ。中日の先発は中5日で万全の状態の川上。さすがセ・リーグ最多勝かつ沢村賞投手の川上は、6回途中までパーフェクトの好投を見せ、6回に3本のヒットを打たれて1点を失うも、その後をきっちりと締め、9回裏を岩瀬が抑えて中日が6-1で完勝。50年ぶりに中日が日本シリーズで3勝した!そしておらの知る限り50年ぶりに中日が日本シリーズで勝ち越した!しかも王手をかけた!しかしなぜか昨日ほどの感動も嬉しさもない。第2、3戦の攻防が激しかっただけに、第4、5戦は西武打線が沈黙して面白くなかったからか?中日ファンのおらにそんな余裕はないはずだが…。シリーズは勝てばいいのだ。しかしあと1勝するには第1戦で中日が全く打てなかった石井貴、あるいは松坂を打ち崩さねばならない。落合監督はもう山井も川上も使わないだろう。山本昌とドミンゴのどちらかで勝つしかないが、二人ともきっちりと抑えられる投手ではない…。

おらは川上がパーフェクトに西武を抑えているとき、パリーグ・ファンと選手がかわいそうになってきた。なぜに地元の球場に、遠く名古屋からやって来た中日ファンが半分もいるのか。そしてもし中日が勝ってしまったら、おらは何を生きがいに余生を暮らせばよいのか…。おらの期待度は70%に。

第6戦:10/23(日) 名古屋ドーム
クルマで名古屋まで行った。中日の先発は山本昌、西武の先発は松坂。第2戦と同じ顔合わせだ。カブレラのタイムリーで0-1となった後、一旦は中日が2-1と逆転するも和田に2ランを打たれて山本昌は6回途中でKOされた。その後4番手の落合までもが和田に2打席連続のソロ・ホームランを浴び、2-4で中日の負け。西武打線は3、4、5番のフェルナンデス、カブレラ、和田だけでなく先発全員が右打者で、左の山本昌が完全に抑えるのは難しかった。共に右の川上も山井も右打者の外角に逃げるスライダーで打ち取っていた。しかし山本昌はそれなりに抑えていたし、松坂を打てなかったのもしょうがない。明日だ!それにしても西武の応援団は外野のほんの一角に陣取っているだけ。悲しきかなパリーグ。しかしもうそんなことは言ってられない。明日の西武の先発は中日が第1戦で2安打しかできなかった石井貴に間違いない。期待度は40%に。

第7戦:10/24(月) 名古屋ドーム
中日はドミンゴ、西武は石井貴の先発。中日は守備の乱れもあり、3回に一挙5点を取られてしまい、まだ序盤とはいえ万事窮す…。おらは放心状態。だから言わんこっちゃない。第7戦の先発投手は大事なのだ。中8日で万全の石井貴に、中日は今回も完全に押さえ込まれて2-7の完敗に終わり、おらは西武伊藤監督の胴上げを観るはめに…。

 

おらは中日の日本一を一生観られそうにない。今回の日本シリーズで何が痛かったって4番福留がシーズン中の死球による指の骨折で戦列を離れたことだ。福留の穴は大きく、西武のクリーン・アップと中日のクリーン・アップの差が勝敗を分けた日本シリーズだった。5年前にもナゴヤドームでの日本シリーズでダイエー王監督の胴上げを観させられたおらは、中日の日本シリーズにはもうこりごりで、少なくともあと10年はリーグ優勝してほしくない。トホホ…。

Home