GTEC受験記

 

2007.12

 

200712月に勤務先でGTECを受験した。GTECはベネッセとベルリッツが開発した英語のテストで、リスニングとリーディングに加えてライティングとスピーキングのスキルも判別できることから、TOEICから乗り換える企業が増えているようだ。GTECは専用のPCを使ってon lineで行うテストとなっており、問題に正解したか否かによって、次の問題の難易度が変わるという特徴がある。つまり受験者のレベルに合わせて、問題の難易度が変わっていく。それにより、GTECTOEICより広範囲にわたったレベルをスコア化することができるようで、GTEC1,000点満点がTOEIC1,346(仮想スコア)に換算されている。よってTOEIC満点以上のレベルを判別できるテストとなっている。80分程度で終わるので、TOEICほど疲れることがないことと結果がすぐに(今回なんと二日間で) 出るのはいい点だ。TOEICの問題はあまりにも多すぎて、体育会的な要素が多すぎると思う。

 

しかしGTECTOEICを開発するETSのような非営利機関で開発されたものでないことから、世界標準のテストにはなりにくいのではないかと私は思う。TOEICが浸透しているのは日本と韓国だけのようだが、一応世界標準と言えるテストであり、少なくとも日本では英検を抑えて長い間英語テストの主役の座に収まっている良質なテストであり、文部科学省でさえTOEICを大学の単位として認めるなどしている。GTECが今後メジャーになるかどうかは分からないが、日本での英語のテストが、TOEICGTECで二分されてしまうとなると私としては残念だ。とはいえ私の勤務先ではTOEICに取って換わられてしまったので受験するしかなかった。

 

ここでは私がGTECを受験した際のPart毎のコメントを以下に示すが、これはGTEC680点だった私の場合のものであり、レベルによってその感想は異なるはずだ。ちなみにそのときの私の至近のTOEICスコアは430 + 430 = 860点で、TOEICのリーディングはなんとか時間内に回答を終えられるレベルだった。

 

リスニング:

Part ATOEIC Part 1と同じ形式の「写真説明問題」が7問。問題にひねりがあってTOEICより多少難しかった。

 

Part BTOEIC Part 2と同じ形式の「会話応答問題」が10問。PC-ヘッドフォン経由の音質の悪さ、音声の速さ、回答時間の少なさからTOEICより難しかった。「会話応答問題」で回答時間が足りないというのはTOEICではありえないことだが、GTECは一問ずつでなく、Part毎に時間を区切っているので、残りの問題数と残り時間の状況を把握していないと途中で時間切れになってしまう。

 

Part CTOEIC Part 34と同じ形式の「要点理解問題」が10問。これも音質の悪さ、音声の速さ、回答時間の少なさからTOEICよりかなり難しかった。TOEIC以上に先読みしないと回答困難な問題が多く、瞬間的な記憶力の弱い私のような受験者にはつらかった。

 

リーディング:

Part ATOEIC Part 5と同じ形式の「語彙語法問題」が12問。全く知らない単語が続発し、TOEICより難しかった。

 

Part BTOEIC Part 7と同じ形式で短めの文章の「速読・要点理解問題」が7問。時間が足りないことからTOEICより難しかった。先読みしたとしても、私のレベルではとても全問こなすことはできやしない。

 

Part CTOEIC Part 7と同じ形式の長めの文章の「長文理解問題」が各小問3 x 2。あまりにも時間が足りず、TOEICよりかなり難しかった。小問3 x 1、つまり半分終えるのがやっとだった。

 

ライティング

Part A:日本語で書かれた短い内容を英語にする「短文・メモ書き問題」が1問。これは容易だった。

 

Part B:日本語で書かれた内容を英語にする「中文・メール作成問題」が1問。これも容易だった。

 

Part CGTECのウェブサイトを見る限り、日本語で書かれた内容と図・表を基に英語のリポートにする「レポート作成問題」が1問。英語力だけでなく、仕事の能力も問われる問題でやや難解そうだが、私はこの問題をやった記憶がない!一回間違ってクリックしたところがあったので、もしかして素通りしてしまったのか!?

 

スピーキング

Part A:表示される短い英文1センテンスを読み上げる「発音・リズム・イントネーション」が1問。私は日本人が英語で最も学習しなければならない部分は発音だと思っているし、読み上げるだけの疲れないテストなので、この問題には好感が持てる。

 

Part B:ビデオ映像・音声に対して模擬会話を行う「会話シミュレーション問題」が各小問3 x 1。内容は難解ではないが、時間が足りなかった。

 

Part CGTECのウェブサイトを見る限り、9コマの一連の絵をスピーキングで説明する「ストーリーテリング問題」が1問。ストーリーを理解すること自体が難解な頭の体操的問題だが、またもや私はこの問題をやった記憶が全くない、というより確実にやってない!またしても何か操作ミスしたのか!?

 

Part D:図や表を元に英語でプレゼンテーションを行う「ショートプレゼンテーション問題」が1問。示された課題があまりにも単純だったので、何を話せばいいのか考えつかなかった。また、このPartでは準備時間がたっぷりあるのでその時間をフルに使えばよかったのに、他のPartで時間切れになってばかりだったので、準備もそこそこに話しだして途中で話す内容がなくなったのに時間だけは余るという大失敗を犯してしまった。

 

というわけで、私としてはかなり出来が悪かったと思えたので600点もいかないと思ったが、結果はTOEIC 860点換算ほぼぴったりの680点であった。

 

 

次にテスト全般のコメントを示す。

 

途中からとても手に負えないような難問になり、こんなテストは日本人には無意味だと思えたのだが、他の受験者に聞いてみると、あまりにも簡単な問題になってきたという人が多かったので、ちゃんと広範囲のレベルに対応しているようだ。

 

GTECは速く終了する人ほどスコアが低いと思う。よって同じ時間に試験を始めたのに自分より早く終了する人が出てきたからといって焦る必要は全くない。時間はフルに使うべきだ。

 

TOEICはテスト形式にそれほど慣れていなくても実力がほぼスコアに反映されるテストだが、GTECはテスト全体のどの辺りをやっているのか途中でわからなくなったり、Partの残りの問題数と残り時間を把握することが難しいので、かなり慣れが必要なテストである。GTECのウェブ・サイトにある問題で前準備していたつもりだったが、私はかなり戸惑った。慣れが必要なこんなテストは私は嫌いである。

 

音質の悪さがこのテストの一番の問題点だと私は思う。オーディオオ好きな私には我慢の限度を超えている。この音質の悪さは音源の問題で、自前のヘッドフォンを持って行っても無駄なはず。さらにディスプレイ上の文字は、問題によっては滲んだような、しかも小さすぎるフォントが使われており、とても読みにくい。これらのことから私は二度とGTECを受けたくないと思っているが、TOEICで満点近くを取る人が受験するにはより上位での実力を判別するために受験するのも良いだろう。

 

ライティングはブラインド・タッチのできない人には時間的に厳しいはず(私はたまにキーボードを見ながら全ての指を使うセミ・ブラインド・タッチ)

 

TOEICよりも難解で、ビジネス英語寄りで、ビジネス・スキルも必要なテスト。同じ英語力であれば、仕事が出来る人の方が確実に好いスコアを取れるテスト。

 

 

最後にGTEC受験に必要と思われるもの準備をあげるとすれば、英語ユーザーでない場合はTOEIC用のトレーニングに加えて発音のトレーニングとライティングのトレーニング、英語ユーザーであればTOEIC用の勉強に加えて発音のトレーニングといったところであろうか。

 

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