TOEIC 800点への道

 

2005.02.13

 

2003年末に大学の受験勉強以来25年ぶりに英語の勉強をする決意をした。仕事で英語に不自由はしていなかったが、TOEIC 735点は商社マンとして恥ずかしいスコアだと思っていたからだ。私はそれまで英語の勉強が1ヶ月と続いたためしがなかった。NHK英会話の4月号のテキストは何度か買ったが、5月号のテキストを買った試しがない。必要に迫られていなかったから仕方のないことだと、それまでは諦めていた。しかしこのときは本気だった。大学受験で共通一次試験の5教科7科目と二次試験の3科目の計10科目を相手にしたのだから、英語1科目ぐらいなんてことはないはず、と自分を奮い立たせた。

 

 

それまでの私のTOEICスコアは以下の通りだった。

 

        リスニング リーディング   合計  自己ベストとの差

1994.02.18 :  370    + 315      = 685       N/A

2001.02.28 :  360    + 310      = 670       -15

2001.08.29 :  375    + 360      = 735       +50

 

1994年に勤務先で初めてIPテストを受けさせられたときは、事前に

 

長本吉斉               はじめてのTOEIC

 

を読んだ。TOEICがどのようなテストなのかを解説した本だ。このときは、ぎりぎりではあったがリーディングを時間内に終えることができたものの、リスニングのPart 34には全く太刀打ちできなかった。685点は勤務先ではそこそこ良いレベルだったので、私はそれで満足し、以降TOEICを強制的に受けさせられることもなく7年が経過した。ところが帰国子女の部下が700点以上のスコアを取ったことを知り、私は自発的に2回目のTOEICを受けてみた。その際は

 

本間正人              TOEIC TESTプログレッシブ文法力

 

を読んだ。しかし7年振りに受けたスコアは変わっていなかった。その半年後に勤務先でアメリカ人講師による二日間の研修を受ける機会があり、英語学習を目的とした研修ではなかったが、リスニング力が上がったかもしれないと思って3回目の受験をした。たった二日間英語を聴いただけでリスニング・パートが聴けるようになるわけもなく、リスニングのスコアとほとんど変わらなかったが、なぜかリーディングのスコアが随分上がったため、50点アップの735点も取ることができた。これは実力以上のスコアだとは思ったが、TOEICテストの制作機関であるETSTOEICスコアのレベルスを以下のように区分していたので、レベルBになったことが嬉しかった。そしてそれ以降二度とTOEICに関わることもないと思っていた・・・。

 

A860-990

B730-860

C470-730

D220-470

E10-220

 

 

735点を取った2年後に私は本気になったのだ。20041月から20053月までの15ヶ月間で実力を上げ、その間に2TOEICを受けて最終的に800点を目指すことにした。20046月に四輪の国際C級競技ライセンスを取得することになるが、国際C級は国際B級以上のライセンスと違い、一度取得してしまえばその後はレースの実績を継続しなくても維持できるライセンスで、TOEICでも一度取ってしまえばそれ以降努力を継続しなくても維持できるぎりぎりのスコアが800点だと思ったからだ。瞬間最大風速的な高スコアを取っても意味はなかろう。800点獲得を目標としたときの実際のレベルは370 + 330 = 700程度だと思われたので、100点程の実力を上げる必要があった。まず

 

鹿野晴夫               TOEICテスト300点から800点になる学習法

 

を読んだ。これは著者がTOEICスコアを上げていった過程を記した体験本で、「単語を暗記する必要はない」、「勉強する必要はなくトレーニングをすればいい」という考えに惹かれ、俄然やる気がでた。

 

20041月から大手英会話学校に通い始めた。効果を期待したのではない。大枚を叩けば途中で挫折することはないだろうし、学校に通い続けることをトレーニング継続のよりどころにしたかった。2校の価格を比較して安い方にしたが、それでも「TOEIC Test対策800点」コースの1年間100レッスンの料金は、効果を優先してマンツーマンのレッスンを選んだせいもあるが、80万円(34人だとこの半額)ととても高価だった(同じ価格で650点コースもあった)。挫折してしまう不安はあったが、100レッスンの内80レッスン以上を受講すれば、国から20万円、学校からは8万円の給付金が還付されることになっていたので、少なくとも80レッスンの受講は死守するつもりだった。休日に通うのは無理だと思ったので、仕事の都合で欠席しなければならなくなる可能性があるとしても(予約制で当日のキャンセルは不可)、週1日平日に2レッスン連続で受講することにした。その頃二輪レースを主な趣味としていたので、骨折などして長期間会社通勤できなくなる可能性を考え、自宅近くの学校を選んだ。幸いその年に大きなケガはしなかったが(肋骨は折ったが)、仕事の都合で予約の変更をしたくても平日の夜はなかなか受講時間の空きがなく、最終的には何度か休日に受講するはめになったので、自宅近くの学校を選んで正解だった。予想通り、英会話学校はTOEICスコアを上げる場所ではないことをすぐに悟った。最初の40レッスンは、できの悪いレッスン書はあるものの日常会話が主体で、ど素人の外国人講師とダベるだけ。商社マンの私が今更欧米人とダベったところでTOEICスコアが上がるわけもない。それに仕事上米国人としゃべる機会はいくらでもあったので、大金をどぶに捨てただけでなく時間を無駄にすると思った。とはいえ計28万円の給付金がかかっていたので、レッスンのある日は1820になるとさっさと職場を後にした。ここは自分をスキル・アップすることを優先すべきだと割り切った。英会話学校に通っていることは誰にも話さなかったが、当時私には上司がいていないような状況だったし、職場を離れる直前に部下から質問を受けても、簡潔に答えて早々に切り上げた。そのまま帰宅する誘惑にかられる日もたまにあったが、1回でも休むと癖になると思って踏ん張った。こうして、ダベるだけの全く無意味な40レッスンを一回も休まずに終了した。しかしその後始まるTOEIC用の60レッスンは、TOEICコースを担当する米国人講師に恵まれたこともあり、苦痛を伴わずに通えただけでなく、内容もそれなりに有効だった。TOEIC対策を外国人から教わるのは、英語の文法用語を知らないことから効率が悪いと思っていたが、聴きなれない用語は「noun:名詞」、「verb:動詞」、「adverb:副詞」、「adjective:形容詞」ぐらいで思いの他問題なかった。そのレッスンを受けて、TOEICには解くためのコツがあることを初めて知った(それらは後に紹介するTOEICコツ本にも書かれている)。いずれにしても、給付金が還付されたとしても1レッスン40分間の単価が5,200円は高額すぎる。費用対効果の面から、TOEIC対策を目的に高価な大手英会話学校へ入校することを私はお勧めしない。

 

並行してTOEICの文法問題を11問ずつ解き続けた。「時間のないあなたに!即効TOEIC 250点UP」という無料のメルマガを使ったのだが、11問ずつだったからこそ続けられたのだと思う。しかし解いては忘れの繰り返しのように思え、効果は期待できずにいた。

 

 

この年、長年携わってきた仕事が他社の攻勢で危うくなり、転職しなければならない可能性がでてきたことから、800点はどうしても必要なスコアとなってきた。工学部卒とはいえ、手に職のない43歳のサラリーマンが転職を少しでも有利にする方法としては、TOEICのスコアを上げることぐらいしか他に思いつかなかった。

 

 

これだけで800点を取るのはとても無理だと思ったので、6月から別の方法も取り入れることにした。私のリスニング力ではTOEICPart 34はお手上げの状態だったし、文法や単語を覚えるよりもリスニング力を上げる方が手っ取り早くTOEICスコアを上げられると思ったので、以下の方法を試した。

 

-NHKのテレビ英会話を観る。

NHKのテレビ英会話は、ドラマ仕立ての番組等、観易い番組だけをテキストは買わずに流し観た。テキストなど買って真面目に取り組んだら私には続かない。

 

-日本語吹き替えで観続けていたドラマ「ER」と「スタートレック ヴォイジャー」をオリジナル音声で観る。

ER」は医療用語の聴き取りが不安だったが、実際には人間ドラマが主体であり、思ったよりも楽しく観続けることができた(125話を観た)。よくよく考えたら日本語吹き替えで観ても医療用語は理解できないのだから英語で聴いても同じことだ。逆に、楽だろうと思っていた「スタートレック ヴォイジャー」が辛く、10話程度で挫折した。日本語吹き替えで観ていたときには気づかなかったが、彼らは戦場で武器を使って戦う軍人ではなく、会議室で言葉を使って戦う軍人だった。これらは毎週観続けたのではなく、録画したものを気分が乗ったときにまとめて観た。

 

-洋画のDVDをレンタルしたときは、日本語字幕で観た後、字幕なしでもう一度観る。

この年の私の休日は忙しかったので、結局洋画をレンタルすることはなかった。

 

これらの効果ははっきりしないが、たぶん多少はリスニング力が上がったと思うし、何より苦痛を伴わずに続けられるトレーニング方法だった。

 

 

その他以下のTOEICコツ本を読んだ。

 

キム・デギュン                      TOEIC Test 「正解」が見える

田畑行康/佐野健吾              TOEICテスト駆け込み寺

 

通常のTOEIC対策本と違い、上記はTOEICを解くためのコツをテーマとしているので、それほど苦労することなく読み終えることができた。コツ本にうつつを抜かすのは邪道だという意見もあるが、一冊ぐらいは読んでおくべきだと思う。TOEICにはトリックがあるので、それを見破るコツを知っていると絶対に有利なのだ。それらを知ることで、どのレベルの人でも2030点はスコアが上がると思う。

 

 

800点獲得のためのトレーニングはまだまだ途上だとは思ったが、トレーニングを始めてから8ヶ月後の20049月に勤務先でIPテストが行われることになったので、翌年3月の本番前の練習として受けてみることにした。IPテストはどのみち無料だ。とはいえ750点ぐらいは取りたかった。受験前に、

 

キム・デギュン                      実践模試 TOEIC Test 「正解」が見える

 

1回目の模試をやった。実際のTOEICよりPart 7が難しすぎた。リーディングを時間内に終えることができるレベルなら、それほど難しくはないが疲労度だけは最大級を要するPart 7をわざわざ練習する必要はないと思う。

 

受験してみると、苦手だったPart 3456が今までよりはたやすかった。特に文法問題のPart 56は不思議なくらいすらすらと「正解」が見えた。おかげでリーディングは余裕で時間内に終えられると思ったのだが、Part 7の分量が増えたのか、ぎりぎりの時間を要した。私はいつものように全力を出しきってテストを終えた。ただひとつの不可抗力を除いては・・・。20名ほどの受験者の中にずっと咳をしている女が一人いて、少なくともリスニングの1問は彼女の咳のせいで聴きとれなかった!かなりできがよかっただけに、万が一795点だったらと思うとぞっとした。

 

たった2時間のTOEICテストではあるが、みな疲れるという。実際、私の勤務先でもTOEICを定期的に受ける社員などおらず、一度受ければそれっきりという社員ばかりだ。私が初めてTOEICを受けたときは、まるまる2日間だったか1.5日間だったかを使う共通一次試験に比べたらTOEICは何てことないと思ったが、確かに2時間息を止めるように集中し続ける必要のあるTOEICテストは結構つらい。リスニングは正解が見えようが見えまいが、悩む暇なく音声に合わせてたんたんと進むしかないからまだいい。レベルにもよるが後述のPart 4を除いては。しかしリーディングは英語力だけでなく、受験者が持つ最大のパフォーマンスを発揮する耐久力をも求められるだけに疲労する。中でもPart 7はかなりきつい。Part 7に特別難しい問題でもあるのならそれを飛ばすという方法もあるが、どれも頑張ればなんとかなる問題なので、取りこぼしをしないように必死になって解かされるからたまらない。楽をしたくて長い文章の設問は放棄したくなるが(実際私は後回しにするが)、長い文章は設問数も多いから放棄するわけにはいかない。しかし文法問題のPart 56は、実力が上がれば正解がすぐに見えるので、それほど疲労しなくてすむようになることがわかった。正解がすぐに見えないときは、得点の可能性が低いのにもかかわらず悩まなければならないのでかなり損だ。ならば高スコアの人ほど疲れずにTOEICを受験できるのだろうか?そしてTOEICを楽に受けたいのなら(高スコアを取りたいのなら、ではなく)、レベルを上げるしかないのだろうか?いいや、少なくとも私のレベルでは違う。私はこれまでPart 4には全く太刀打ちできなかったので、かえって休憩時間のようなものだった。正解がまるで見えないから頑張る必要がなかったのだ。しかし今回多少はPart 4で戦えるようになっていたので、ボコボコに打たれながらも立ち続ける必要があり、かなりつらかった。レベルが高かろうが低かろうがTOEICを楽に受けることはできないのだ。TOEICのウェブサイトにこれについての記述があった。

2時間にわたるテストを受けるのは、確かに大変な緊張を強いられ、時として苦痛を伴うこともあるでしょうが、そうした緊張の中で2時間耐えられ発揮できる力こそが、真の国際コミュニケーション能力として求められる英語能力であり、「本当の実力」であるとご理解ください』

私の場合は米国人との会議で疲れたら「英語に疲れたので、タバコ休憩にしてくれ」とすぐに言いだすのだが…。

 

テスト直後に各Partのでき具合を検証してみた。

Part 1:正解が見えたのは15/20ぐらい。これは今まで通りのできで、今後勉強を続けてもこれ以上正解数を増やすのは難しそう。

Part 225/30ぐらい。これも今まで通りのできで、今後勉強を続けてもこれ以上正解数を増やすのは難しそう。

Part 320/30ぐらい。これは今までよりよくできたし、今後勉強を続ければまだ正解数を増やせそう。

Part 45/20ぐらい。前回は最後の1問しか解けなかったのでよくできた方だが、まだ1/4しか解けていないだけに、今後トレーニングを続ければまだまだ正解数を増やせそう。それにしてもPart 4はまるで一瞬の記憶力のテストを兼ねた、トランプの神経衰弱のような問題なので、記憶力に自信のない私には厳しい。

Part 530/40ぐらい。これは今までよりかなりよくできたが、今後勉強を続けてもこれ以上正解数を増やすのは難しそう。

Part 615/20ぐらい。これも今までよりかなりよくできたが、今後勉強を続けてもこれ以上正解数を増やすのは難しそう。

Part 735/40ぐらい。これは今まで通りのできで、今後勉強を続けてもこれ以上正解数を増やすのは難しそう。

 

次にスコアを予想してみた。TOEICは減点方式ではないため、正解が見えなくてもとにかくマークシートを塗りつぶす必要がある。よって正解が見えなかった問題でも、得点できている可能性があるので、正解が見えなかった問題数を選択肢の数である4で割り(Part 2の選択肢は3つだが簡単のため4とした)、それを正解数に加えた。その予想正解数は74(リスニング) + 75(リーディング)で、その予想正解数をデギュン氏の「TOEIC Test 「正解」が見える」に載っていたTOEIC換算点数表にあてはめた。するとなんと380 + 390 = 770になった!もしかしたら・・・と期待しながらスコアが送られてくるのを今か今かと待ち望んでいたら、3週間後に送られてきたスコアはなんと410 + 390 = 800だった!!!

 

TOEIC換算点数表を使わずに、単純に15点として予想正解数に5点をかけた場合は370 + 425 = 795となる。合計スコアだけを見ると15点の単純計算の方が実際のスコアに近いことになる。しかしリスニングとリーディングを別々にして予想スコアと実際のスコアを比較すると、TOEIC換算点数表を使った予想スコアと実際のスコアの誤差の絶対値の和は|-30| + |+-0| = 30であるのに対し、15点の単純計算の場合は|-40| + |+35| = 75にもなるので、15点の単純計算はとても使えないことがわかる。これについてTOEICのウェブサイトに若干の記述があった。それによれば、スコアの算出方法は15点の単純計算ではなく、独自のノウハウによる特別な換算表を使っているため、全てのマーク・シートをあてずっぽうに塗りたくっても、選択肢の数が4だからといって1/4のスコアが取れるわけではなく、1/6にも満たないスコアになると。そしてデギュン氏によれば、リスニングでは9問間違えても満点となることがあり、逆にリーディングでは4問間違えただけで20点ではなく45点の減点となることがあるようで、全ての正解数において、リスニングの方がリーディングより高スコアが出るようになっている。また、換算表はテストの難易度によって調整されると。複雑怪奇なり。TOEICには言語学、心理学、統計学の専門家が加わっているそうな。

 

私の歴代TOEICスコアは以下の通りとなった。

 

        リスニング リーディング   合計  自己ベストとの差

1994.02.18 :  370    + 315      = 685       N/A

2001.02.28 :  360    + 310      = 670       -15

2001.08.29 :  375    + 360      = 735       +50

2004.09.10 :  410    + 390      = 800       +65

 

リスニングで自己ベストを35点更新したのは今回のトレーニングによるもので予想しえた範囲。しかしリーディングで、できすぎだと思っていた前回より30点も、自分の実力だと思っていた330点に比べると60点も上回ったのには驚いた。リーディングに関しては11問のメルマガTOEIC文法問題以外のトレーニングは何もしていないのだが、苦手だったPart 56が今までに比べて容易に解けるようになったのだから、恐らくそのトレーニングが効いたのだろう。私は文法問題でスコアを上げるのは、リスニングのPart 34でスコアを上げるのに比べて効率が悪いと思っていたからPart 56は捨てていたのだが、少なくともリーディングで400点以下のレベルであれば、Part 56はスコアを上げやすいのかもしれない。しかし私の文法レベルはどう考えてもまだまだ未熟で、高校英語レベルにも達していない。私は仮定法やら完了形などが覚えられないだけでなく、英語の基礎と言われる5文型さえ理解できずにきたのだ。ところで今回のスコアはリスニングがリーディングを若干上回っているが、かなりの高スコアか低スコアの受験者でない限り、ほぼ全てのレベルでリスニングのスコアの方がリーディングより50点程は高いようなので、私のリスニング力はリーディング力に比べて不足していると考えられる。

 

それにしても嬉しかった。800点は英語圏に居住したことのある受験者にとってはたやすいスコアかもしれないが、海外に住んだこともなく、英語が得意でも好きでもない理科系の私が取れるスコアだとは思っていなかった。商社マンのはしくれだったからこそ取れたスコアだと思う。800点ちょうどというのも嬉しかった。805点を取っても+5点のありがたみはないが、795点だったら相当がっかりしたろう。800795では、気分的に天と地ほどの差がある。それに目標ぴったりの点数を取ったことで、自分が勝負強かったような気さえする。目標点数など決めていなかった初回のときでさえ、あと15点足りずに700点を逃したことがえらく悔しかったのだから。

 

しかし半年早く目標を達してしまったばかりに、これで当分英語のトレーニングから開放されるという喜びに浸ってしまった私は、給付金のかかっていた英会話学校を除き、それ以降一切のトレーニングを中断してしまった(英会話学校は12月まで通い続け、奇跡としかいいようのない100レッスン完全制覇を成し遂げ、計28万円の給付金全額が還付された)11月になって、せっかく今回努力したのだから翌年以降の新たな目標として1年に20点ずつ3年間連続でスコアを上げて860点を目指し、最終的には900点も視野に入れてトレーニングを続けようと一旦は考えた。今回トレーニングを8ヶ月間続けられたことで、多少ブランクがあっても、またいつでも英語の世界に戻れると思っていた。TOEIC用の教材を10冊ばかり買い集めもしたし、二輪レースはその年限りでやめたので、翌年は勉強する時間もたっぷりあった。今回私にやる気を与えてくれた体験本

 

鹿野晴夫               TOEICテスト300点から800点になる学習法

 

を再度読み直したし、同じ著者による

 

鹿野晴夫               TOEICテスト900点を突破する集中トレーニング

 

も読んだ。そして同じような体験本である

 

杉村太郎               TOEICテスト900TOEFLテスト250点への王道

 

も読んでやる気もでた。準備は整っていた。しかし12月になって、私は大きな仕事に目処をつけることができ、以後10年は転職の必要がなくなったと思えたことから、年が明けても一向にトレーニングを再開できずにいた。やはり必要に迫られないとだめだった。復帰が困難であることを知った私は、十数年間英語のトレーニングを続けているお客さんにすがるように尋ねた。

「なぜ続けられるのですか?」

「う〜ん、なぜだろう。英語が好きだし、習慣なので」

それを聞いて私は復帰を断念した。彼と私は人種が違うと思った。私は英語が好きでも嫌いでもない。仕事で必要だから使っているだけだ。PCのメーラーにはメルマガTOEIC文法問題がたまり続けていった…。

 

 

P.S.

2004年は、5月に最後の二輪レースで人生最大の感動を味わい、6月に四輪レースで初の表彰台に乗りシャンパン・ファイト、国際C級競技ライセンスを取得し、9月はTOEIC 800点、10月は中日ドラゴンズのリーグ優勝、12月は危うかった大仕事を大成功に導くという生涯最高の年となった。しかし翌年には地獄が待っていた…。


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