TOEIC 860点への道 Part 1

 

2005.08.28

 

何かに挑戦するとき、目標と目標達成の期限を明確にしてそれを文字として記すことの大切さを、私はモーター・スポーツで学んだ。そうすることで、目標達成まで努力し続けることが容易になる。そしてその方法は、TOEICがあることで英語にも大いに役立ったが、英語の場合は目標を達成する理由も明確にしておく必要があると思われる。

 

二輪レースも四輪レースも学生時代から続けていたテニスもやらなくなった2005年は、余暇のほとんどを英語学習に費やすことができる環境にあったが、前年9月に目標の800点を取って以降は英語のトレーニングを全く行わなくなっていた。しかし20054月に

 

阿川イチロヲ           英文法のトリセツ 英語負け組を救う丁寧な取扱説明書 じっくり基礎編

 

を読んだ。中学レベルの英文法がじっくりと説明されていて読み易かった。50ページ以上を費やして書かれていたこの本の5文型の説明を読み、私は44歳にして初めて5文型を理解できた。しかし5文型の理解が、実際に役に立つのかどうか疑問を持った。

 

5月になって19年間携わってきた仕事が解決不可能と思われる大問題を抱えることになり、再び転職の可能性が出てきたため、私はTOEICのスコアを更に上げる気になった。転職することになろうがなるまいが、2005年末までに820点、2006年末までに840点、2007年末までに860点と、3年間にわたって年間20点ずつスコアを上げる目標を立てた。860点を最終目標としたのは、それがETSの示す最上位のレベル区分に入ること、そして努力さえすれば私でも何とか到達できそうなスコアだったからだ。900点の方が区切りはいいが、それはもう英語おたくの領域のようで嫌だった。

 

まずは以下の本を読んだ。

 

松本道弘               速聴の英語

体育会系英語学習の乗りで、私には相容れないものだった。

 

デビッド・バーカー    英語と仲直りできる本

デビッド・バーカー    もしも英語ができたなら…

日本語をマスターした米国人の著作によるもので、前者は良書だった。日本人が間違える英語の例が多く記載されている。時制についてもよくわかった。この本は繰り返し読もうと思う。

後者は英会話の参考にはなるもののTOEICには使えない。

 

 

DVDレコーダーを買ったので、たまっていた膨大な数のVHSテープを捨てるため、見残していた約3ヶ月分のNHK英会話を観た。しかしNHK英会話はドラマを教材にしたものを除いて観るに耐えず、その後NHKものは観なくなった。

 

これもVHSに録画し続けて前回のTOEIC受験以降観ていなかった「ER」を再びオリジナル音声で観だした。これが私には一番楽なトレーニング方法だ。取り貯めしていた「ER」を全て観終わった後は、DVDレコーダーに録画してそのトレーニングを続けた。途中からだいぶ聴けるようになってきて、次のTOEICテストまでに第26話から第56話までの計30話を観た。私の英語トレーニング法のよりどころとなった「ER」は緊急救命室に携わるドクターらの人間ドラマで、1994年の放送開始から10年以上経った今も、220話を超えて放送が続いている。

 

洋画「ダイ・ハード」のDVDを英語字幕、日本語字幕、そしてまた英語字幕で観た。せりふが聴けるようになった気がしたが、後に他の洋画を観てもさっぱり聴き取れなかった。「ダイ・ハード」が聴き取りやすいだけだった。リスニングには聴けるようになる境目のときがあると思っていたが、洋画でのそのときは永遠に来そうにない。

 

何年か前に名古屋の実家から持ち帰った中学1年から3年までの英語の教科書を読んでみた。中3の教科書は思いの他レベルが高く、読む分には問題ないものの、同じものを正確に書けるとは思えない。中1、中2の教科書の内容はおぼろげながら記憶に残っていたが、中3の教科書の内容はまったくと言っていいほど覚えていなかったので、私はたぶん中3で挫折したのだろう。中学レベルの英語をマスターしていれば、あとは常識的な固有名詞や自分の仕事に必要な固有名詞を覚えることで、英会話でもビジネスでも結構通用すると思う。しかし中3レベルの英語でさえ、リスニングとスピーキングが苦にならない日本人は1割にも満たないだろう。

 

たった3ヶ月間のトレーニングでこの年の目標である820点を取るのは難しいと思ったが、7月になって勤務先でIPテストの応募があったので申し込んだ。応募から受験日までの1ヶ月間ほどは、余暇を全てTOEIC対策に集中した。年に2回実施していたはずの私の勤務先でのIPテストは、いつの間にか年1回になっていた。

 

1年ぶりのTOEIC受験にあたり、以下のTOEIC対策を行った。

 

キム・デギュン                      実践模試 TOEIC Test 「正解」が見える

 

2回目の模試を本番の2週間前にやってみた。この本の1回目の模試もそうだったが、Part 7は実際のTOEICよりもかなり多くの時間を要した。本番で800点を取る直前にやった1回目の模試のスコアが645点だったのに対し、今回は790点も取れた。まともに得点できたことのないリスニングのPart 34のできが、1回目の模試の結果をはるかに上回っていたからだ。私は通常年に12回は取引先の米国企業と打ち合わせのために米国出張するものの、電話で話すことは全くといっていいほどせず(米国東海岸と日本では勤務時間が全く重ならない)、メールのやりとりだけで仕事を済ませていた。しかし仕事で大問題が発生したことから、夜遅くに4回ほど電話で会話をしたことと、6月に出張したばかりだったことで耳が慣れていたのかもしれない。あるいは1回目と2回目の模試の難易度がかけはなれているだけかもしれない。いずれにしても、前回のTOEIC受験時に比べて私のレベルはそうは落ちてはいないことが予想でき、本番での自信がついた。事前に模試をやることにより、おおよその実力がわかるだけでなく、TOEICのコツを思い出すことができるので、本番直前には模試をやっておくべきだ。

 

前回、短期間の勉強でPart 56の文法問題がかなり解けるようになった経験から、すっかり忘れているであろうTOEIC用の文法力を取り戻すため、PCにたまっていたメルマガ形式のTOEIC文法問題40問全てを解いた。しかしこれだけではいかにも量が少なく、4年前に読んだ

 

本間正人 他          TOEIC TESTプログレッシブ文法力

 

を読み直した。しかしこの本の文法問題はTOEICのそれとはかけはなれていることに気がついた。難易度の問題ではなく、問題の質が全く違う。よってこの本はもう二度と読まない。もっといいTOEIC文法対策本があるはずだ。

 

TOEIC受験前の最後の仕上げに

 

キム・デギュン                      TOEIC Test 「正解」が見える

 

を読み直した。今回はCDまでは使わなかったが、2回目に読んでもこの本のすばらしさは変わらない。TOEIC対策の名著だ。

 

今回のTOEIC受験に費やしたトレーニングの期間はたった3ヶ月間だったものの、受験の4日前まで1週間の米国出張が入ったので、結構よい条件での受験となった。その出張で米国人女子大生と話す機会があったのだが、彼女は別に難しい話をしているわけでもないのになかなか聴き取れなかったことに驚いた。米国人以外と話したことのない学生のスピーキングと日本人慣れしたビジネス・パースンのスピーキングとでは、スピードが随分違うだけでなく、若者特有な言い回しがあったからだと思うが、音が繋がりすぎていて単語単体でさえ聴き取れなかった。そのときから私の英語には何か根本的な変革の必要性があると感じ始めた。

 

8月になって私は1年ぶりにIPテストを受けた。年に1回のチャンスなので絶対に820点を取りたかったからか、テスト直前になって今までになく緊張しているのがわかった。

 

リスニング

Part 117/20ぐらいのでき。容易なこのPart3問もわからなかったことにあせった。そんなにあせる必要はないので、「俺は満点でも目指しているのか!?」とテスト中に自問していた。完全制覇は思いの他難しいかもしれない。

Part 227/30とほぼ完璧なできで、意外にもPart 1より容易に感じた。

Part 320/30。最初からなぜか聴き取れなかった!否、聴き取れているはずなのに、なぜか内容を理解できなかった!予想正解数としては前回同様のできではあるが、不本意な結果となった。もうちょっとリスニング力を高めれば、ほぼ完璧にできるようになるとは思うが・・・。

Part 48/20。正解数としては前回より良いかもしれないが、Part 3同様不本意なできだった。もっとなんとかなるはずだった・・・。もうテストを投げ出したくなった!

 

リーディング

Part 536/40。前回よりできたし、これならほぼ完璧。事前に文法問題をこなしておいたからなのかどうかはわからない。しかし今後もテスト直前には文法問題をこなしておく必要があると思う。文法問題では解ける問題は一瞬にして正解が見えるので、ここでかせいだ時間をPart 7でたっぷり使えると思ったが…。

Part 616/20Part 6Part 5より難しいのだろうか?

Part 728/40ぐらいと過去最悪のでき!ここはエネルギーを消耗するPartではあるものの、問題自体はそれほど難しくなく、時間的にも問題ないはずだった。なのに2つの文書(設問5)を残して、「残り5分」のアナウンスがあって私はたまげた。全問解いている時間はないので、3つの設問がある方の文書に賭けたが、選んだ方の文書は難しく、残り5問は全滅した…。今回のテストの難易度が高かったとしか思えない…。

 

今回からPart 34で少しでも時間稼ぎをするために、とりあえず問題用紙に回答の印をつけ、Part 4が終わってから回答用紙を塗りつぶした。そうでもしないと、とてもPart 34に太刀打ちできないし、ぎりぎりとはいえリーディングはいつも時間内に終えることができていたからだ。しかし回答用紙にPart 34の回答を記入する際、途中で記入する場所がずれてしまって2分ほど無駄にしたこともあり、私はリーディングを時間内にこなせなかった。TOEICで時間が足りなかったのはこれが初めてで、かなりのショック。Part 34ではこの方法を取るしかないので、今後リーディングのスピードを上げるしかない。しかし仕事で長年英文を読んできた私が、これ以上リーディングのスピードを上げられるとも思えない・・・。とにかく、とても全力を出し切ったとは言えない、不完全燃焼な受験となり、たとえ結果が800点以上だとしてもとても喜べそうになかった。ちなみにTOEICでは問題用紙への書き込みが禁じられているので、リーディングの余った時間で問題用紙への書き込みは全て消そうと思っていたが、とてもそんな時間はなかった。

 

前回のように受験直後に各Partのでき具合を検証して予想正解数を算出(79 + 85)した後、デギュン氏のTOEIC換算点数表にあてはめた予想スコアは410 + 390 = 800。はたして2週間後に送られてきたスコアは、405 + 375 = 780で、目標の820点をはるかに下回ってしまった…。予想スコアとの誤差はリスニングが-5点、リーディングが-15点で、誤差の絶対値の和は、|-5| + |-15| = 20点だから、予想スコアの出し方はいい線いっていると思われる。せいいっぱい頑張ってなんとか800レベルの人間が、付け焼刃的なトレーニングでそれ以上のスコアを狙のがどだい無理な話であった。しかしできが悪いなりにも780点を取れたことで、前回の800点がフロックではなく、8ヶ月間トレーニングした後の瞬間最大風速的なスコアでもなく、ある程度は定着している実力だとも考えられ、最悪でも800点近くは取れるという自信はついた。ただリスニングのスコアが下がったのにはショックだった。なぜPart 34であんなに聴き取れなかったのかわからない・・・。リーディングはPart 56のできが良かったからPart 7のできの悪さを補って余りあると思っていたのだが、不完全燃焼な思いをしたテストで良いスコアが得られるはずもなかった。

 

これで私の歴代TOEICスコアは以下の通りとなった。全体を通してリスニングの伸びが悪い。

 

        リスニング リーディング   合計  自己ベストとの差

1994.02.18 :  370    + 315      = 685       N/A

2001.02.28 :  360    + 310      = 670       -15

2001.08.29 :  375    + 360      = 735       +50

2004.09.10 :  410    + 390      = 800       +65

2005.08.09 :  405    + 375      = 780       -20

 

最終目標である2007年末までの860点獲得に赤信号が灯った。2006年末までの仮の目標である840点達成でさえ、自己ベストをいきなり40点も更新しなければならなくなった。840点のスコアとしては440 + 400が妥当だと思われるので、とにかくリスニング力を鍛えてPart 34の正解数を上げる必要がある。

 

勤務先のデータはなんと今回の780点が上書きされてしまった・・・。

 

 

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