2005 本当に間違えたクルマ選び

 

2005.12.31

 

私のビーマー(E36BMW 318ti)はついに10年、110,000Kmに達した。2004年末に鈴鹿で走らせたときにブレーキが抜け(幸いシケインを突っ切って止まれた)、前輪から火が出て、ブレーキ周りを一新した。その修理に\50万も使ったから、まだ当分は乗るつもりだった。ところが2005年に入ってABSが故障し、修理に\20万かかるというので、買い替えようか迷っていた。そんなおり、青梅でのドライブ中に冷却水が霧状に勢いよく噴き出した。コンビニでミネラル・ウォーターを買って入れたら4リッターも入った。真夏だったが暖房を最大にし、ボンネットを半開きにして、20分走っては水を足しながらなんとか八王子の自宅まで戻ってこれたが、故障の原因がプラスチック製の部品の劣化によるものだったから、また同じようなことがいつ起こるかわからないから遠出する気になれない。輸入車の一番の欠点は、ディーラーの数が少ないので、遠出したときに故障したらどうしようもないということだ。私はこれを機会についにクルマを買い替える気になった。本当は去年サーキット用の二輪を売ってしまったので、街乗り用の大型バイクを買いたかったのだが…。

 

買い替えるクルマの候補は以下の通り。

MINI COOPER CONVIRTIBLE

Alfa 147

ランチア・イプシロン 

マツダ・アテンザ

レクサスIS250

プジョー307CC

 

生まれ変わったBMW製のMINIROVER MINIのボディー・サイズより格段に大きくなっている。そのMINIのオープンであるMINI COOPER CONVERTIBLEは全自動で幌が開閉するし、いい青色がある。しかし泥棒ひげのような顔が好きになれない。それにROVERブランドでない、BMWのミニではうまみがない。試乗してみたが1.6リッター・エンジンはそこそこの走りを見せるが、エンジン音が貧弱だ。それにロールバーなしではサーキット走行ができないので候補から外れた。ところでもともとオープンが好きな私だが、この試乗でオープン・カーの意外な利点を見つけた。ルーフがない状態だと、乗り降りするときに体をかがめる必要がないので、2ドアでも後席への乗り降りが非常に楽なのだ。特にお年寄りには喜ばれよう。

MINI COOPER CONVIRTIBLE 

 

Alfa 1472005年モデルになって、フロント・ライトのデザインが156同様に改悪されてしまった。Alfaのライトはこれから全てこのデザインに変わってしまうのだろうか…。何より比較的近所にあったディーラーがなくなったことで、高価すぎて諦めていたGTも含め、アルファは全て候補から外れた。Alfa好きな私にはなんとも残念ではある。

Photo

Alfa 147

 

ランチア・イプシロンはあまり知られていないクルマだが、小ぶりでスタイリッシュなボディー・デザインに内装のゴージャスさ、そしてランチアのブランドは捨てがたい。いい青色もある。しかし都心にしかディーラーがないのでは、八王子市在住の私には選びようがない。

ランチア・イプシロン 

 

マツダ・アテンザはマイナー・チェンジで5ATになっていて、内装もまあまあだし、走りもいい。しかしいい色がない。それに一度BMWに乗ってしまった私は、もう国産車に乗る気がしなくなってしまった…。

マツダ・アテンザ

 

2005年についに日本でもデビューしたレクサス・ブランド。来年にはGMを抜いて世界一の量産車メーカーとなることがほぼ確実なトヨタのクルマなど買う気は全くなかったが、レクサス・ディーラーの高級な雰囲気を経験したくて行ってみた。(サンダル履きで…。)ついでにIS250に試乗した。クルマの試乗といえば、普通はディーラーに指定された短いコースをちょこっと走らせてもらえるだけだが、レクサスではなんと自分で選んだ道を、時間もたっぷりと走らせてくれた。ここぞという高速コーナーのある場所まで行っておもいっきりコーナリングしてみたが、IS250の高速コーナリング時のグリップと安定感には目を見張るものがあった。パワーもすこぶるある。これをサーキットに持ちこんだら、とても楽しめるだろう。内装はBMWそのもので、国産車とは思えない高級感。特に気に入ったのは、オプションのプリクラッシュ・セーフティ・システム。衝突する可能性があるとクルマが判断すると、ブザーが鳴ったり、ブレーキがかかったり…、というしろものだ。ISはアルテッツァとは全く異なるクルマになっていた。カラー・ヴァリエーションも多く、とても綺麗な青があったし、ISの最も廉価な価格\390万は決して安いとは言えないものの、3シリーズのV6と比較すれば随分安い。冷やかしに行ったつもりが買いたくなった。しかしIS2506発エンジンは普段の足にするにはもったいないし、惜しむらくはリアのデザインが良くない。それにレクサス・ブランドのイメージはメルセデス同様、ちとおっさんくさい。しかしこれがトヨタ・ブランドのクルマなら私はディーラーにさえ行かなかったろう。レクサス・ブランドの効果は絶大であり、米国に続く日本での成功を私は直感した。

レクサスIS250

 

プジョー307CCはいい色がないのが最大の欠点だが、フル4シーターの全自動オープンでこの価格というのは他にないし、スタイルもいいのでもともと最有力候補だった。オープン・カーは良く見かけるようになったが、幌を上げるのが面倒くさいのか、暑かったり寒かったりするからなのか、恥ずかしいからなのかわからないが、オープンにして走っている人を見かけることがほとんどない。しかし307CCであればフックの取り付け・取り外しの必要がないだけでなく、ウィンドウの上げ下げも含めて完全自動。真冬でも真夏でもサンルーフを必ず開けて走る私ならしょっちゅうオープンにして乗ると思う。そして200510月のラリー・ジャパンでグロンホルムが307CCベースのWRカーで優勝したことで、私は307CCを買うことに決めた。しかしディーラーに行ったら現行車の在庫は既になく、そのうち発売されるマイナー・チェンジ車が2週間後に開催される東京モーター・ショーに出展されると。私は会社を休んで東京モーター・ショーに行った。プジョーのどでかいプラスチック製のエンブレムがえらく安っぽいのが気になったものの、私は大胆に変更されたフロント・グリルが気に入った。他のクルマもいろいろ見たが、もう迷うことはなかった。ところが…。

プジョー307CC

 

二輪好きな私は当然二輪のブースも見た。すると去年予約が始まって買おうかどうかずーっと悩んでいて結局やめた、ドゥカティが新しく売り出すSport ClassicシリーズのPaul Smart 1000LEが展示されていた!ついに1ヵ月後に販売されるのだが、まだ若干の台数がディーラーで注文できるという。私はドゥカの営業と延々話をしたり、バイクにまたがったり、写真を撮ったり、見とれたり…と、1時間以上そこにいた。私はクルマを買うことなどもうどうでもよかった。Paul Smart 1000LEが欲しい!しかし84馬力というハイ・パワーが気になった。レッド・ゾーンまで回さずにはいれない私には、サーキットでならいざしらず、街乗り用の二輪がパワフルなのは大きな問題だった。そこで同じエンジンを搭載するドゥカに翌週試乗してみたところ、速いことは速いものの、何とか許容できる範囲。しかし安っぽいバタバタ音と振動の激しいエンジンに辟易し、私のドゥカ熱は一気に冷めてしまった。ドゥカにかなうデザインの二輪はないとは思うが、私にはあのLツイン・エンジンは耐えられない。ビッグ・ツインはみなこんなものかと、私はがっかりした。そこで307CCに戻ればいいものを、私はもうバイクを買うことしか考えられなかった。そこでBMWR1200C Classicに試乗してみた。R1200Cシリーズは、BMWが米国市場を狙って1997年に販売を開始した、BMWが“クルーザー”と呼ぶ、BMWとしては異端児的なアメリカン・スタイルのあまり知られていないバイクだ。およそ二輪のエンジンとしては物理的に矛盾しているとしか思えない、車体の真横に飛び出ているBMWの水平対向ツイン・エンジンに私は昔から嫌悪感を持っていたし、アメリカンは嫌いなのだが、R1200Cのデザインはハーレーのようなアメリカンとは一線を隔す超先進的なもので、ちょっと気になっていたのだ。乗ってみたらこれがよかった。ボクサー・エンジンはとてもいい低音を響かせ、水平対向であることから振動を打ち消し合っているとのことで、大した振動がない。そして私がこのバイクに魅力を感じていたもう一つの理由は、1200ccという大排気量車でありながら、たったの61psと非力であることだ。300kg近い重量であることも手伝って、実際十分すぎる加速力のなさ。しかし1速で発進すると、3速までをもカバーしているがごとく、どこまでもスピードを上げていく。2速に入れておきさえすれば、街乗りで変速する必要はほとんどない。そしてBMWの二輪は、ABS、シャフト・ドライブ、片持ちスイング・アーム、フロント・リアともモノ・サス、サーボアシスト付きのフロント・ブレーキといった他のバイクにはない独自の技術を持つ。乗ってみて最も驚かされたのは、特殊な構造のフロント・サスによって、ハード・ブレーキングをしても全くノーズ・ダイブしないことだ。R1200Cシリーズは販売が芳しくなかったようで、2005年を最後に既に生産中止となっており、あとわずか数台の在庫が買えるだけとのことでだったが、世に数少ないバイクであることも私には好ましい要素となり、私は薄い青のR1200C Montaukというヴァージョンにいくつかのオプションを足して約\240万で買った。ほぼ即決だった。同じメーカーの四輪と二輪に乗るなんて、なんか気持ち悪いし、だいたい私は四輪も二輪もイタ車好きで、BMWのファンでもなんでもなかったのだが…。

BMW R1200C Montauk

 

 

かくして私はBMW 318tiABSを修理し、普段はやらない12ヶ月点検にも出し、318tiに今後も乗り続けることとなった。四輪を買うつもりが二輪を買ってしまうなんて、これはあまりにも間違ったクルマの選び方だ。

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