Round 7
今度こそホントのレース・デビュー戦
2003.05.29
いよいよ2003 MCFAJクラブマンロードレース2@筑波サーキットへの出場だ。ここでMCFAJ及びMFJという組織について簡単に説明する。MCFAJ(全日本モーターサイクルクラブ連盟)は関東近県における二輪レース(ロードレース、モトクロス、トライアル)を開催している組織で、そのレース格式はアマチュアを対象とした庶民的なものだ。ロードレースは筑波とFISCOで年間4戦程度を開催している。対してMFJ(財団法人 日本モーターサイクルスポーツ協会)は、全日本を頂点とした格式の二輪レースを開催している日本の二輪レースの代表的な組織で、本間師匠はこのMFJが開催する全日本GP250の年間タイトルを取っている。通常この全日本で何年か続けてタイトルを取って初めてWGPフル参戦のチャンスがめぐってくる。
おらのゼッケンは前回と同じ12番。今シーズ通して同じゼッケンにしてくれるとのこと。毎回ゼッケン・シールを買って張り替える必要がないから嬉しいぞ。今回は総勢142人の参加者で、オーバー40へのエントリーはなんと21人という多さだ。果たして完走して最下位突破なるか。減量にはなんとか成功して、65Kg。筑波のコース図は通勤電車の中で穴のあくほど見ておいた。背広姿でサーキットのコース図見てるなんて、へんな奴だと思われたろう。レースの日が近ずくにつれ、わくわくしてきたが、FISCOのような高速サーキットでない筑波だからか、サーキットへの恐怖感は全くなかった。
5月25日(日)、この日42歳となったおらは事実上初めてのロードレースの日の朝を迎えた。
04:00
自宅をかみさんとレンタルした軽トラで出発。パドックに入場できるトランポの数に制限があるとのことで、早めに出た。それにしても二輪サーキットはまるで魚釣りのように早起きが必要だ。
06:00
筑波サーキット着。朝早くて首都高がすいてたから意外と早く着いた。これならFISCOまでの時間とそうは変わらない。幸い天気は晴れ。既に多くのトランポが並んでいる。筑波に来たのはこれが2回目だが、初めて来たのはMCFAJのレースと同時開催の走行会に参加したときだった。そのときレースに参加している連中を見て、レースなんて別世界のものと思っていただけに、今回のレース出場は感慨深い。
06:30ゲート・オープンとなりTeam
LANGで使う18番ピットにR6と荷物を搬入。筑波のピットは先着順で無料だそうだ。Team
LANGのライダーは、N(ノービス)アンリミテッドにホンダの2気筒VTR-1000Fで出場の中村店長(38歳)、オーバー40にヤマハの単気筒SZR660で挑む村崎さん(48歳)、同じくオーバー40にホンダの4気筒VFR800で出場の小山さん(49歳)、そして4気筒600のおらの4人。小山さんもレース初体験だが、筑波は走行会で何度か走ってるそうだ。村崎さんはおどけたおやじ風で、小山さんは大企業の重役風。村崎さんと小山さんを相手にしていると、なんだかおらは自分が未成年のような錯覚をして、同じオーバー40に出場するのに違和感を覚える。なんとも頼もしいことに、Team
LANGのピット・マンの方は総勢5人。テントを張って椅子をならべて工具箱を配置。うーん、こりゃ一人で参加するのとは随分違う。村崎さんと中村店長に感謝。
0026 Team LANGのピット風景。おらは寸暇を惜しんで本書の原稿を執筆中
07:00
参加受付を済ませ、プログラムを見ると、なんといつもはGP250に出場していた飯倉さんがオーバー40にエントリーしてる。村崎さんが「ずるい」と。確かにジャンボ尾崎がシニアの大会に出るようなもんだ。それにしても計測器なしだが、いったいどうやってタイム計るのかしらん。
07:30
ライダース・ミーティングで、スタート方式が赤の点灯後、2秒から5秒以内に赤が消灯し、スタートになると説明あり。
08:00 レース車検。Team
LANGのピット・マンの柿澤さんがついてきてくれた。なんと値段は高いけど字体が気に入って買って貼ったゼッケンが、規格外だと。フーツラボールドとかいう普通の字体にするように決められていたから、ダメかもしれないとは思っていたが・・・。しかたがないので後でゼッケン買って貼りなおした。ワイヤー・ロックに関しては、今回は何も言われなかった。筑波ではエンジンの始動はピット内では許されず、ウォームアップ場まで行かなければならないから、レース車検場の近くにあったウォームアップ場でエンジンの暖気をした。
ところで、今まではオイル・ドレイン・ボルトとオイル・フィラー・キャップだけをスナップリングの店長にワイヤー・ロックしてもらってたが、他の部分も含めて自分でワイヤー・ロックできるように、ワイヤー・ツイスターという工具を買っておいた。そしてレース車検の前に村崎さんに教わって、フロント・ブレーキ・キャリパーのワイヤー・ロックをした。岡田などは公道用の二輪のブレーキ・キャリパーにさえワイヤー・ロックしていたから、おらのSRV250もフロント・ブレーキ・キャリパーには、ワイヤー・ロックしといた方が安全かもしれない。
0067
フロント・ブレーキ・キャリパーのワイヤー・ロック
09:00 オーバー40のタイム・アタックだ。柿澤さんがR6をレース前車検場、そしてピット・ロードまで運んでくれた。おらにとっては二輪を押していくのがどえらい大変だから助かった。柿澤さんありがとう。
0011
タイム・アタックに向かう柿澤さんとおら
オーバー40のエントリーは21人だったが、出走したのは20人。600cc以下の排気量はおらとペケJ400の2台だけ。ネイキッドでレースに出るとはいい根性してるが、この400にだけは負けられない。なぜかFISCOのフリー走行ではあんなに怖がるおらが、未だに怖くもなんともない。いよいよスタートだ!ピット・ロードからスタートし、1コーナーを曲がり、
S字を過ぎ、第1ヘアピンにさしかかると、村崎さんがいきなり転倒してた。リアから滑ったそうだ。村崎さんは結局この転倒で左ハンドルを折り、決勝はリタイアとなってしまった。おらは、とにかく絶対転倒しないように、練習を兼ねて走行ラインとブレーキング・ポイントを覚えながら、ゆっくりめに走った。と、ダンロップ下で小山さんに抜かれた!おらは離されないようにペースを上げ、小山さんを追った。小山さんは前を走ってたライダーが抜けなくてペースを落としたので、おらはなんとかついていけた。
2速でフル加速するとハンドルが揺れておそぎゃー。プッシュ・アンダーってやつ?FISCOより路面のグリップがよくて、フロントが浮き加減になるんだろうか?2速から3速へのシフト・チェンジの際のショックはあいかわらずだが、筑波ではコーナリング中にシフト・アップするところはないから問題なし。そしておらはまたサーキット初心者に戻ってしまった。最終コーナー手前で4速から3速に落とし、ホーム・ストレートで4速に上げ、1コーナー手前で2速に落とす走り方をしていたが、ノータリンのおらは1コーナーで何速に入れてるのかわからなくなる。ついには1コーナー手前で間違って1速に入れてエンジン・ブレーキでリア・タイヤを跳ねさせた。マシンにもコースにも慣れてないから仕方がないかもしれんが・・・。また、おらは2年前の筑波での走行会のときに第1ヘアピン出口で膨らみすぎてコース・アウトしそうになったことを覚えていて、注意してたつもりだが、あやうく同じとこでコース・アウトしそうになった。このときは意地でも外側を見ないようにして、なんとかコース・アウトはまぬがれた。第2へピンの脱出時は、おしりの感覚を研ぎ澄まして、後輪のスライドがないかを注意深く感じ取るようにしながら加速した。こんなふうに思ったのは初めてだ。何回かコーナー突っ込みすぎておっかない思いもしたが、あとは危なげなく走りきった。やたー!めったに見れないチェッカー・フラッグ見て、完走したぞ!パドックに戻りR6のエンジン止めてピットまでR6を押していった。FISCOと違ってピットまではそんなに距離はないが、おら汗だくだった。
000008 第1ヘアピン、全然寝かせてない!
000002
後ろから見たフォームはさまになってる
初レースの小山さんに抜かれたので、おらは最下位覚悟だったが、8ラップしたおらのファステストは6ラップ目の1’16”768で、出走者20人中なんと14位!小山さんは速かったのだ。でもあまり喜べなかった。全く膝が擦らないどころか、コースのラインがよくわからない。特にS字でフル加速できなかったのが気になる。
おらの次にいいタイムを出した人は小山さんで、1’15”165。おらと1.6秒差だ。よっておらは決勝では小山さんをペース・メーカーとすることにした。一番速かった人は1’05で走るから、おらがよっぽどタイム短縮しないと6ラップ目に周回遅れすることになる。7ラップのレースだから何とか周回遅れはまぬがれたいが・・・。1コーナーは70m、第2ヘアピンも70m、最終コーナーは90m手前でも大丈夫そうだが、無難に100m手前をブレーキング・ポイントに設定。あとは癇で。ちなみに筑波サーキットは二輪用のシケインを入れて全長2,070mと、FISCOの4,416mの半分にも満たない短いコースだ。
0017
タイム・アタックのリザルトを真剣に見つめる小山さんとおら。おらは汗かいたからズボンはかずにワコールのCWXだけで脚線美を披露
これがMCFAJのウェブ・サイトに掲載されたタイム・アタックのリザルトだ!
******************************************************************************************************************************
*全日本モーターサイクルクラブ連盟
筑波サーキット(2.070Km) *
*
03’ CLUBMANロードレース
*
*
オーバー40
*
*
公式予選結果表 *
*2003. 5.25 天候:晴 コース状況:ドライ 発表: : * ******************************************************************************************************************************
順位 車番 ライダー 型式 車 名 ベストタイム 周回 (トップ差) Km/h -----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
1
30 台 和則
K-GPZ900R モンスター&プライマル
1'04.523 10/ 10
115.494
2
19 横山 秀文
DUCATI-916S OV40ワンデー
1'05.317 9/ 10 0'00.794 114.090
3
20 星野 康之
S-GSX-R1000 OV40ワンデー
1'06.266 7/ 10 0'01.743 112.456
4
21 野口 祥
S-TL1000R 大磯ムスタング
1'06.305 7/ 9 0'01.782 112.390
5
18 窪田 祐二
DUCATI-996R OV40ワンデー
1'07.565 7/ 9 0'03.042 110.294
6
73 飯倉 利行
H-VFR750R レーシングチーム スウィング
1'07.978 6/ 9 0'03.455 109.624
7
6 大久保 修
Y-YZF-R1 プライベートレーシングチーム
1'08.089 7/ 9 0'03.566 109.445
8
7 鎮目 泰人
BIMOTA-YB8 Team Tortoise&AIR
1'09.013 8/ 9 0'04.490 107.980
9
8 Jack DeAndrade S-TL1000R
BAD KARMA Racing 1'10.767
7/ 9 0'06.244 105.303
10 5 望月 則政
K-ZX12R OV40ワンデー
1'12.951 9/ 9 0'08.428 102.151
11 16 松田 健一
DUCATI-888 OV40ワンデー
1'13.026 4/ 9 0'08.503 102.046
12 58 根岸 勉
Buel S1 ライトニング Team
Tortise&AIR 1'13.941
4/ 8 0'09.418 100.783
13 11 小山 和秀
H-VFR800 Team LANG
1'15.165 5/ 8 0'10.642
99.142
14 12 デューク南郷
Y-YZF-R6 MAMMA MIA! Racing.BRC
1'16.768 6/ 8 0'12.245 97.072
15 15 小川 藤生
Y-XJR400 レーシングチーム 100R
1'17.440 7/
8 0'12.917 96.229
16 17 宏林 和久
HD-スポーツスター'01 鶴見郵便局50オーバーレーシング
1'18.146 7/ 8 0'13.623 95.360
17 9 大平 博志
S-GSX-1000R NNRC ガレージ コーナーオートボーイ
1'18.588 8/ 8 0'14.065 94.824
18 13 内藤 信男
Y-FZR750R レーシングチーム 100R
1'21.591 4/ 8 0'17.068 91.334
19 3 青木 一雄
Y-XS-1'70 チーム ハイスピード あおき
1'25.539 7/ 7 0'21.016 87.118
10 村崎 則征
Y-SZR660 Team LANG
出走せず
14 木村 良一 MUZスコーピオン 城南テクニカルスポーツクラブ 出走せず -----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
参加台数: 21 出走台数: 19
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
おらは、決勝でもタイム・アタックと同じ14位内に入ること、小山さんに勝つこと、ファステスト1’12の三つを目標とした。タイム・アタックでの思わぬ高順位?に、おらは完走だの最下位にならないだのという次元の低い目標は忘れさった。
フロント・フェンダーに黒いアスファルトのようなものがついてた。タイヤがフェンダーにあたって、フェンダーの内側が削れたのだ。中村店長がフェンダーは外してもルール違反にならないと教えてくれたので、村崎さんと二人でフェンダーを外した。
飯尾さんが出場してるNP(ノービス・プロダクション)750決勝でのS字をコースの外から見ていたら、速い人はまず左へおもいっきり寝かせて左の縁石ぎりぎりをかすめ、すかさず右におもいっきり寝かせて右の縁石ぎりぎりをかすめていた。遅い人はS字の真ん中を走って、どちらにもあまり寝かせてない。加速しながら寝かすのは難しいんだが、いい勉強になった。
リタイアした村崎さんはというと、さばさばしたもんで、他にやることないからといって、おらのR6や小山さんのマシンにボディ・クリーナーかけて、ウェスで磨いて、おらのヘルメットまで磨いてくれた。そしておらのR6のチェーンが錆びてるのに気づき油をさしてくれた。立ち直りが早いなー。それにしてもいろいろ教えてくれるし、驚くべき親切な人だ。
中村店長の決勝が無事終わった。ファステストは1’06で、7人中5位。さすがに速い。小山さんは中村店長が使い終わったタイヤ・ウォーマーで前後輪を暖めていた。ただでさえ強敵なのに・・・。かみさんとパドック内の食堂で、昼ごはんを食べたが、まずいそばだった。カレーライスはそこそこ。
13:30
いよいよレース決勝が始まるぞ!しかし不思議だ。小心者のおらが結局レースを通して全然怖くなかったし緊張もしなかった。2年前の筑波での走行会のときは第2ヒートを走る前は怖かったけどなー。今度は村崎さんがおらのピット・マンを買って出てくれて、R6を運んでくれた。レース前車検を受け、まずはピット・ロードから走り始め、スターティング・グリッドで止まる。このコース・インからグリッドまでの走行をサイティング・ラップと呼ぶ。4-4-4スタートなので、タイム・アタック14番手のおらのグリッドは4列目の奥から2番目。自分のグリッドの場所が分かるかどうか心配だったが、村崎さんとかみさんが手を振ってグリッドで待っててくれたから、おらは自分のグリッドにR6を止めることができた。ここで、ミシュラン・サービスが傘を貸してくれたから、かみさんにアンブレラ・ガールをやらせて村崎さんに写真を撮ってもらった。WGPみたいにヘルメット外してる時間がないのが残念だ。
0440 筑波のグリッドに立つかみさんとおら
ここで各ライダーの紹介アナウンスが入る。期待の新人のおらの初レースなのに観客はまばらだ。そしてピット・マンがコースを出て、ライダーだけとなり一列毎にスタートしてもう1ラップ暖機走行をする。これをフォーメーション・ラップと呼ぶ。再度グリッドに並びスタートを待つ。いよいよだ!赤信号が点灯、そして消灯しスタート!
0015 スタート前。11番が小山さんで12番がおら
おらはコース幅が狭くて、追い抜くポイントの少ない筑波ではスタートが肝心と考え、スタートで全員をごぼう抜きにするつもりだった。だからその後の1コーナーや第1ヘアピンでごったがえすことでの接触を恐れていた。ところが・・・。スタートでごぼうぬきにするどころか、前の列の集団においていかれ、小山さんにも出し抜かれた!さすがにおらより後列のライダーに抜かれることはなかったが、こりゃスタート失敗だ。でもそのおかげで1コーナーでは他のライダーと接触しそうな状況にはならなかった。1コーナー、第1ヘアピンを単独で抜け、ダンロップ下でとてもついていけないスピードの1台に抜かれた。スタート失敗した上位の1台だろう。その後は抜くことも抜かれることもなく、3ラップ目に入ると第2ヘアピン手前のストレートで1人転倒し黄旗が出て、後になって救急車が来てた。第2ヘアピン出口で後ろを見ると少し離れて1人いた。でも抜かれる距離じゃない。前は誰もいない。まるでフリー走行でもしてるように、緊張感なくおらは単独で走り続けた。
またやった!1コーナー手前で何速に入ってるのかわからなくなった。んで、1コーナー抜けてから、どうせ前後に誰も走ってないから順位に影響はないと思い、タイム・ロスを承知でクラッチ切りっぱなしで1速まで落としてから2速に入れた。おらギア・インジケータがほしいよ。
5ラップ目の最終コーナー出口で、一人がコース・アウトした後、ホーム・ストレートに戻ってきた。おらはその一人をぎりぎりで抜いた。そして1ラップして6ラップ目の最終コーナー入口にさしかかった。すると2台にあっという間に抜かれた!こりゃ周回遅れに違いないとすぐ悟った。おらは先頭集団に追われてたことをすっかり忘れていたのだ。この後すぐにチェッカー・フラッグを見て周回遅れの為、1ラップ少ない6ラップでの完走となった。と思ったら小山さんがおらを抜いていった!?まさか小山さんにまで周回遅れに近い状態だったとは!?おらはこの決勝を全く危なげなく、安全に走りきった。
10007 この写真は気に入った。今年の年賀状候補
走り終わってもおらは自分の順位が全く分からなかったが、レースを終えた後のクールダウン・ラップは満足感でなんとも気持ちがよかった。ポストの人たちが手を振るのでおらもいっちょまえに手を振って答えた。気分は中野真也?コース出口で、村崎さんとかみさんが待っててくれた。これは嬉しい。おらはR6を村崎さんに手渡した。その後ピットに戻る途中で飯倉さんが「オーバー40はレヴェルが高い!」と叫んでいた。優勝できなかったようだ。
おらにとっては抜きつ抜かれつのバトルのない、平穏なレースだったなーと思っていたが、実はおらは知らずに熾烈なバトルをくりひろげていたことが後でわかった。5ラップ目の最終コーナー出口でコース・アウトしたのは実は小山さんだったのだ。そして、おらは小山さんを抜いたが、その直後からまるまる1ラップの間、小山さんはおらの後ろをピッタリとつけ、おらに遅れること僅差の0.461秒で6ラップを完走したのだ。それを全然知らずに走っていたおらは、もうちょっとで大きな獲物を逃がすところだった。こうしてみると、周回遅れしなかったら、おらは7ラップ目で小山さんに抜かれてた可能性大だから、順位だけでみると周回遅れが幸いした。でもわずか3秒差での周回遅れでおらが周回遅れの先頭だったから、やっぱり悔しい。それにしても6ラップ目で小山さんに抜かれなかったのが不思議だったおらは、小山さんに理由を聞いてみた。「抜きどころがなかったし、コース・アウトしたときにタイヤについた土のせいで無理できなかった」と。ノータリンのおらは5ラップ目にぎりぎりで抜いた一人が後ろにいることを、抜いた直後から忘れていた。知ってればもっと楽しめたのに。でも知ってたら無理して、ミスして抜かれてたかもしれない。ノータリンが功を奏したか。こんなことがあるとレースって面白い!
0016 最終ラップとなる6ラップ目の1コーナーで、おらの後ろをピッタリつける11番の小山さん。飯尾さんが撮ってくれたこの写真を見ておらは唖然とした
おらのファステストは5ラップ目の1’16”240で、タイム・アタックよりたった0.5秒のアップ。目標の1’12には遠く及ばなかった。順位はタイム・アタックより二つ順位を上げて20人中12位。でも一人は転倒で一人は小山さんのコース・アウトによるものだから、実質タイム・アタックの順位と変わらない。優勝者のファステストは1’05。飯倉さんのファステストは1’06で5位入賞。オーバー40は人数が多いから5位までが入賞なのだ。ジャックのファステストは1’08で8位。
オーバー40は参加人数が多い為か、遅い人もいるが、速い人も多く、飯倉さんでさえ5位だから、おらが上位に食い込むのはかなり難しい。今回まともに抜いたってのがなかったが、タイム・アタックの順位でグリッドが決まるから、よっぽどスタートで出遅れない限り、決勝でごぼう抜きなんてのはありえないことがわかった。
これがMCFAJのウェブ・サイトに掲載されたレース・リザルトだ!
*****************************************************************************************************************************
* 全日本モーターサイクルクラブ連盟
筑波サーキット(2.070Km) *
*
03’ CLUBMANロードレース
*
*
オーバー40 *
*
暫定決勝結果表
*
* 2003. 5.25
天候:曇り
コース状況:ドライ
発表: :
*
*****************************************************************************************************************************
順位 車番 ライダー
型式
車 名
周回 所要時間 (トップ差) Km/h
ベストタイム 周回
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
1 19 横山 秀文
DUCATI-916S OV40ワンデー
7 7'45.071
112.164 1'04.987 3/ 7
2 30 台 和則
K-GPZ900R モンスター&プライマル
7 7'45.472 0'00.401 112.067 1'05.354
3/ 7
3 21 野口 祥
S-TL1000R 大磯ムスタング
7 7'48.409 0'03.338 111.364 1'05.504
3/ 7
4 20 星野 康之
S-GSX-R1000
OV40ワンデー
7 7'54.427 0'09.356 109.952 1'05.783
4/ 7
5 73 飯倉 利行
H-VFR750R レーシングチーム スウィング
7 7'55.085 0'10.014 109.799 1'05.500
5/ 7
6 18 窪田 祐二
DUCATI-996R OV40ワンデー
7 8'04.273 0'19.202 107.716 1'07.376
4/ 7
7 7
鎮目 泰人
BIMOTA-YB8 Team Tortoise&AIR
7 8'12.194 0'27.123 105.983 1'08.976
5/ 7
8 8
Jack DeAndrade S-TL1000R BAD
KARMA Racing 7
8'12.609 0'27.538 105.893 1'08.213 5/
7
9 58 根岸 勉
Buel S1 ライトニング Team Tortise&AIR
7
8'41.927 0'56.856 99.945 1'12.261
2/ 7
10 5 望月 則政
K-ZX12R
OV40ワンデー
7 8'44.287 0'59.216 99.495
1'11.977 7/ 7
11 16 松田 健一
DUCATI-888 OV40ワンデー
7 8'48.376 1'03.305 98.725
1'13.330 2/ 7
12 12 デューク南郷
Y-YZF-R6 MAMMA MIA! Racing.BRC
6 7'48.053 1Lap
95.528 1'16.240 5/ 6
13 11 小山 和秀
H-VFR800 Team LANG
6 7'48.514 1Lap
95.434 1'15.263 2/ 6
14 9 大平 博志
S-GSX-1000R NNRC ガレージ コーナーオートボーイ
6 7'54.664 1Lap
94.197 1'16.841 6/ 6
15 15 小川 藤生
Y-XJR400 レーシングチーム 100R
6 8'01.530 1Lap
92.854 1'17.639 5/ 6
16 17 宏林 和久
HD-スポーツスター'01 鶴見郵便局50オーバーレーシング
6 8'08.097 1Lap
91.605 1'19.435 4/ 6
17 13 内藤 信男
Y-FZR750R レーシングチーム 100R
6 8'15.611 1Lap
90.216 1'19.725 4/ 6
18 3 青木 一雄
Y-XS-1'70 チーム ハイスピード あおき
6 8'34.863 1Lap
86.843 1'23.940 2/ 6
--------------------------------------------------------- 以上完走
--------------------------------------------------------
6 大久保 修
Y-YZF-R1 プライベートレーシングチーム
2
5Laps 1'06.838
2/ 2
10 村崎 則征
Y-SZR660 Team LANG
スタートせず
14 木村 良一
MUZスコーピオン 城南テクニカルスポーツクラブ
スタートせず -----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
スタート:13:47'29.000
フィニッシュ:13:55'14.071
参加台数: 21
出走台数: 19 完走台数: 18
ベストタイム No.
19 (横山 秀文
) 1'04.987 3/ 7 114.669 Km/h
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
それにしても転倒派のおらが、慣れない筑波でのレース・デビュー戦で転倒しなかっただけでなく、予想以上の好成績を残せたのは快挙だ!R6は本当に転倒しないようにできてるのか?本書は本当にノン・フィクションか?しかし、おらはそれほど嬉しくなかった。
周回遅れはいたしかたないとしても、結局膝は擦らなかったし、コーナリング・スピードがあまりにも遅かったのが自分でわかっているからだ。それにS字も思ったようには走れなかった。今回P-LAPが作動していたのでおらのラップ・タイムがわかったが、決勝では2ラップ目から最後までの全ラップが6秒台か7秒台で安定していた。初めてに等しい筑波で、タイム・アタックと決勝合わせてたったの14ラップしか走ってないのに既にタイムが頭打ちってことだ。しかしまあ40になったときの悲しい誕生日に比べ、この日はおらのレース・デビュー戦を飾る、いい誕生日になったわな。それにしても今回Team
LANGには大変お世話になりました。レース中の写真も撮ってくれてうれピー!皆さん、ホントにありがとう。
0049 Team LANGの面々と
小山さんには勝った気がしないから、おらの庭のFISCOで行われる第3戦で雪辱を期したいが、小山さんは第3戦のFISCOも、第4戦の筑波も仕事の都合がつかず、出場できないと。残念。他のチームでライヴァルを見つけたいが、ジャックのタイムにはとうていかなわないし・・・。おらが花形満なら、小山さんは左門豊作、ジャックはアームストロング・オズマ、江場ちゃんは伴忠太か。星君よどこにいる。君のお姉さんを紹介してくれ。
飯尾さんはと言うと、5人中2位までが入賞のNP750で2位となり、初の表彰台となった。羨ましすぎる。飯尾さんのファステストは、自己ベストの1’08。決勝レースで自己ベストは偉い。飯尾さんはたまに筑波でも走っていたらしい。それにしても、あののんびりした感じの飯尾さんが、いったいどんな顔して走るとこんなタイム出すのか不思議だ。せっかちですぐパニクるおらとは対照的に飯尾さんはなんかホンワカした感じなのだ。褒めすぎだが同じホンダの加藤大治郎タイプ。おらは同じヤマハの本間利彦タイプではないし、中野真也タイプでもないな。ウェイン・レイニーか?
二輪サーキット自体おたくな趣味だが、この日のレースにあったサイドカーのおたくさには負ける。しかも側車に乗ってる人のおたくさは尋常ではない。おしりにバンク・センサーをつけていた。FISCOにはサイドカー用のフリー走行の時間などないと思うけど、いったいいつどこで練習してるんだろう。
この日のレースでは、ビデオ・サービスというのを\4,000でやっていた。各コーナーに固定された5台のカメラでレースの模様を録画し、申込者のライディングの動画を編集したものをDVDかVHSにしてくれるというものだ。おらは申し込んでおいたので、でき上がりが楽しみだ。
15:30
筑波を出て、帰路の首都高から江場ちゃんにレースの結果を報告し、祝福してもらった。帰りはさすがに混んでて、自宅まで2時間半かかった。いつになったら中央環状新宿線は開通するんだか。おらはヒレかつが大好きだが、ここんとこの減量生活でしばらく食べてなかった。でもこの晩だけは、自宅近くのとんかつ屋で、かみさんとヒレかつ定食を食べた。そのうまかったこと。
テニスの場合、試合前の緊張感は心地よい程度だが、試合中の方が緊張する。例えば次のポイントが相手のゲーム・ポイントのときにセカンド・サーブを打つときとか、フォアハンドのミスが続いて力いっぱい打てなくなったときとか、接戦でしこりあい(つなぎあい)になったときとかだ。対してレースの場合は、今回のおらは何ともなかったものの、スタート前と、スタート直後の1コーナーへの突っ込みまでは緊張と言うより恐怖感でいっぱいだ。でも一旦走り出すともう無我夢中で、緊張しっぱなしなんだが、この緊張はビビるという類の緊張ではなくて、少しも気を緩められないという意味での緊張だ。大きな違いはテニスの場合は練習で緊張することはないが、二輪サーキットの場合は練習時もレース中同様、命がかかってるから緊張のしっぱなしというところか。10ラップも走ると緊張感が続かなくなり、走れなくなる。逆に言うと緊張感なしではサーキットを走れない。ただテニスの場合は、団体戦のときと個人戦のときでは大きく違う。団体戦では自分の勝敗がチームの勝敗に影響するから、個人戦より断然緊張感がある。スプリント・レースに団体戦はないので、そういう意味ではテニスの個人戦のように気は楽だ。
おらは翌日になって、やっとこのレースの結果が嬉しくなってきた。思えばサーキットに通い出してからというもの、おらには悲惨な出来事ばかり続いたが、レース・デビューをそれなりに満足できる戦績で飾ることができ、今までの数々の悲惨な出来事が多少は報われたような気がする。学生時代に2年間400ccを通学に使っていただけで、社会人になってからは250ccを買ったもののほとんど乗らず、特にバイク好きというわけでもなかったおらが、まさか大型免許とって、サーキットに通いだして、レースまでやってこんな戦績を残すなんて、嘘みたいな話だ。何を隠そうあの平さんのレース・デビューもMCFAJのレースで、入賞していないのだ。おらはこれで岡田でさえ達成していないノービス・ライダーになった。うれちー!
おらはたぶん世界一の転倒派ライダーだが、転倒できるほどサーキットに順応していたとも思える。そこらの二輪乗りをサーキットに連れ出しても、転倒するほどの走りを試みることができる奴なんて稀だろう。おらはWGPオーバー40フル参戦への輝かしい一歩を歩みだしたのだ。そのときは江場ちゃんを高給でメカニックに雇うから、しばらくは下積みを覚悟してくろ。WGPマシンYZR-M1の量産型をYZF-R1とするならば、量産型YZF-R6に乗るおらのWGPマシンYZR-M6をヤマハ発動機に開発してもらわねばなるまい。
0065
パトリオット・ミサイルのごとく狙った獲物は逃さない、おらのYZR-M6
筑波は恐怖感がないし、来年からMCFAJのレースはここをメインに開催されるようだから、FISCOが使えなくなる9月以降は、もてぎでなく筑波で走ろうかと思い始めた。もてぎは綺麗だしWGPで使われるサーキットという魅力はあるが、ちょっと遠い。でもFISCOも最初は怖くなかったから、筑波もコースを知れば知るほど怖くなるのかも。今回、筑波で1’10をいつか切りたいと思ったが、FISCOのような2分程度でラップするコースで6秒縮めるのと筑波のような1分程度でラップするコースで6秒縮めるのとではわけが違う。2年前の筑波走行会でのおらのファステストはウェットとはいえ1’30だったから、たぶん今回の1’16はおらが腕を上げている証拠だろう。だから、そこから更に6秒縮めるのはかなり難しいと思う。飯尾さんにFISCOで2分切るのと筑波で1’10切るのとどっちが難しいか聞いてみたら、飯尾さんの場合は筑波の方だったと。中村店長もそう言ってた。
あとはFISCOの2分の壁だ。これはレースよりも重要なおらの悲願だ。レースは人との戦いだが、FISCOで2分切ることは、なんだかおらには富士山と戦ってる気分なのだ。あと3秒短縮の使命をもった、おらに残されたFISCO閉鎖までの期間はあと3ヶ月。宇宙戦艦ヤマトな気分だ。おらはこれから本気で2分切ることに挑戦する。6、7、8月にそれぞれ1秒ずつ短縮できれば達成だが、FISCOの二輪フリー走行の時間が月2回ぐらいはあるかしらん。そんなおっとろしいことはできそうにないが、2'03ぐらいで走ってるときに100Rと最終コーナーを後輪スライドによる転倒覚悟でアクセル多めに開ければ2分切るかも。