Round 3 ヤマハの皆さんすいません

2004.02.29

2004もてぎチャンピオンカップレース、通称“もてチャン”の第1戦に組み込まれた、もてぎEnjoy耐久レース(Joy耐3時間)は、準国内格式のJAF公認レースで、6月開催のJoy耐7時間の前哨戦だ。おらは64ページもの特別規則書を読んだ。

このレースに使用するクルマは、主に以下に示す安全面の改造が必要だ。

  1. ボンネットピンおよびトランク・リアハッチにファスナーを各2個所以上装着し、もともと車両についていた締め具は作動しないようにする。
  2. 安全ベルトは4点以上のワンタッチ式フルハーネスタイプを装着する。
  3. 消火器を装着する。
  4. 6点式以上の規定に合ったロールケージを装着する。アルミ不可。
  5. 車両の前後に牽引用穴あきブラケットを装着する。
  6. サーキットブレーカー(通称:キルスイッチ)を装着する。
  7. ライト類に飛散防止のテーピングをする。
  8. 床のカーペット、天井の内張りを取り外す。
  9. ステアリングロック/オートドアロックを取り外す。
  10. フロントガラスは合わせガラスであること。

ようするに二輪で言うプロダクション・レーサーに仕上げなければならない。おらにはとてもこういったナンバーなしの四輪を持つ余裕はないから、多少高価でも参加費を払って耐久レースに出るのが、JAF公認レースに出場する唯一の方法だろう。そして二輪の耐久レースの場合は、ほとんどのサーキット・ライダーが逆シフトにしているのに対し、脳タリンのおらは正シフトでしか乗れないという問題があるが、四輪の場合はシートの前後位置を変えるだけで済むからいい。

おらがJoy耐3時間で使うマシンはD-jacが保有するホンダのシビック。ヤマハ信者のおらが、四輪とはいえホンダに乗るなんてことが許されるのかしらん。でもMotoGPクラス3年連続チャンピオンのロッシが昨年オフにホンダからヤマハに移籍したから、これで丁釣りが合うだろう。江場ちゃんは四輪にも詳しくて、「シビックは“シビック遣い”と言われる人がいるくらいに難しいという話をよく聞く」と。おら大丈夫だろか?おらがD-jacシビックに乗れるのは、予選前日の3月5日(金)のフリー走行日だけだから、ぶっつけ本番みたいなものだ。普段140psのATビーマーにしか乗らないおらが、どれだけD-jacシビックのヒール・アンド・トーでのクラッチ・ミートに慣れ、強大なパワーを操ることができるか。

D-jacシビックの主要諸元は以下の通り。

シビック TYPE-R GF-EK9 5速MT

1,595cc 4気筒 16バルブ 190ps/8,000rpm

8,400rpmでレヴ・リミッターあり

930kg

ABSなし。ABSがあると制動距離が長くなると?ブレーキをかなり強く踏んでもロックすることはまずないらしいが・・・。

タイヤはダンロップDIREZZA 02Gの195/55R15 84V。これはSタイヤと呼ばれるパターンの少ない競技用のもので、DIREZZA 02Gの中では一番細いタイヤ。DIREZZA 02Gにはなんと265/35R18 93Wなんていう超扁平幅広タイヤまであるが、新車装着のサイズ以上にはできない規則。スリック・タイヤも禁止。四輪ジムカーナやレースではこのSタイヤがよく使われるようだ。一応公道走行も可。ブリヂストンのSタイヤもあるが、ミシュランはSタイヤを販売していない。国内専用タイヤか?

 

2月15日(日)、おらはレースへの参加費\200,000なりをD-jacに支払った。出場料から宿泊費まで全部込み。ただし走行中の過失によりクルマに損害を与えた場合は本人の費用負担で、過失によらない故障の場合はD-jacの費用負担となる。そして、レーシング・スーツ(sparco \75,000)、レーシング・シューズ(sparco \25,000)、難燃性のフェース・マスク(sparco \6,000)、難燃性のアンダーウェア・セット(THE MAN \13,500)、難燃性の靴下(THE MAN \3,600)をD−jacで買った。レーシング・スーツとレーシング・シューズはおらの好きな青で統一した。前から持ってるTHE MANのレーシング・グローブも青。これらは全てJAF公認レースで着用が義務付けられており、車検時にチェックされる。二輪と共用できるのはヘルメットだけだ。国内B級ライセンスを取ったときに質問したが、二輪用のヘルメットも四輪レースでの使用は認められているとのことだった。二輪のつなぎやブーツで有名なアルパインスターズが四輪用品にも進出していたが、そのレーシング・スーツは\135,000の一種類しかなかったから、同じイタリアのsparcoのものにした。sparcoのレーシング・スーツは\55,000から\150,000まで6種類あってどれにするか悩んだが、WRCでプジョーのチームのドライバーとコ・ドライバーが着ていたクラシカルなやつにした。二輪のつなぎは転倒時の擦過傷を防ぐ引き裂き強度の強い革製だから窮屈で重たいが、四輪のつなぎは出火による火傷を防ぐ難燃性の布製だから軽くて着心地がいい。レーシング・シューズは、靴底が薄くて足の裏の感覚が良く分かるようになっており、四輪サーキットには絶対に必要なアイテムだ。


0527 恥ずかしいけど見せちゃう。難燃性のアンダーウェア・セットを着こんだおら


0565 布製のとっても軽いレーシング・シューズ

WRCはドライバーにとても過酷そうだが、その分面白そう。WRCマシンでスウェーデンの雪道をかっとばしてみたい。F1のフォーミュラ・カーは市販車ベースじゃないからクルマを買うときの参考にならないが、WRCマシンは市販車がベース。プジョーが今年からWRCに投入した307WRCは、307CCをベースにしている。おらは日本で販売が開始されたばかりのプジョー307CCが欲しくなってきた。同じく今年日本で販売が開始されるアルファGTも捨てがたいが、サンルーフ仕様がないらしい。ビーマーの11年目の車検までの2年半の間に考える。

Joy耐3時間に出場するD-jacチームは、監督がD-jacの尾島さん、第1ドライバーがFISCOの閉まる去年までトヨタのレビンを駆り、富士チャンピオン・レースというシリーズ戦を戦っていた佐野さん、第2ドライバーは去年のJoy耐7時間をファステスト225で走ってる並木さん、そして第3ドライバーが四輪の腕が未知数でタイムの予測がつかないおら。いてもいなくてもいい第4ドライバーはなし。並木さんにはまだ会ってないが、佐野さんは弱冠24歳の礼儀正しい月給取りで、おらの自宅のそばに住んでいる。

 

Joy耐3時間のフリー走行日に走る為には、もてぎのサーキット・ライセンスを取らなければならないことがわかった。こりゃ痛い出費だが、もてぎのサーキット・ライセンスを持っていればドライバー1人分のレース出場料\30,000が\20,000になる等の利点もあるからいたしかたない。残念なのは、もてぎのサーキット・ライセンスも筑波同様、二輪、四輪の区別があるから、せっかくもてぎの四輪サーキット・ライセンスを取っても二輪では走れないことだ。その点二輪、四輪の区別がないFISCOのサーキット・ライセンスは本当に良かった。FISCOのサーキット・ライセンスだけは更新し続けるぞ。でも改修後は二輪、四輪が別になるかもしれない。トヨタよけちるな。

2月21日(土)、一緒に行きたいという佐野さんを連れ立って、おらはかみさんとサーキット・ライセンスを取りにもてぎに行った。フリー走行する為に、佐野さんはトヨタのノーマルATスターレットを、おらはノーマルATビーマーを運転して二台で行った。おらは自宅を出たときから、おニューのレーシング・スーツを着、レーシング・シューズを履いて行った。それにしても似合う・・・。おらって革つなぎ姿もカッコよかったけど、レーシング・スーツ姿もなんてカッコいいの!前の晩にレーシング・スーツ他一式をD-jacで受け取り、嬉しくてその夜は着たまま寝た。減量も順調で、残り2週間であと3kg痩せれば目標の10kg減量に成功する。ここのところほぼ絶食状態。

06:30に自宅を出て09:30にツインリンクもてぎ着。ツインリンクもてぎの住所は、栃木県芳賀郡茂木町桧山。常磐自動車道の水戸インター・チェンジから40分ほど北西に行った、栃木県と茨城県の県境の森林地帯に立地している。周りにはゴルフ場しかない辺鄙な場所だ。おらの自宅からは、東京都、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県の順に1都4県をまたいで行くことになる。FISCOと筑波は道が空いていれば2時間弱で行けるが、もてぎは3時間弱かかる。ツインリンクもてぎは1997年に開業した日本最新のサーキットだけあって、FISCOや筑波に比べて群を抜いて素晴らしいサーキット。フル・コースの他に日本で唯一の本格的なオーバル・コースを持ち、ホテルやホンダ・コレクション・ホール等様々な施設がある。広大な敷地面積に綺麗な建物、そして緑も多い。フル・コースは珍しくシケインのない、二輪と四輪全く同じコースになっていて、全長は4,801mとFISCOより400mほど長い。グラベルはいずこもどえらくでかく、バリアまでの距離も遠いからとっても安全。ストレートが多くストップ・アンド・ゴーを繰り返すコース・レイアウト。高速コーナーは若干上りの130Rだけで、ここはよっぽどのハイ・パワー車でなければ全開でいけるコーナーだから、全体的にコース・レイアウトも安全にできている。

コントロール・タワーでサーキット・ライセンス取得の手続きをした後、講習の時間まで1時間ほどあったから、ホーム・ストレート前の観客席までビーマーで行って、フリー走行中のクルマをしばらく見ていた。1コーナーのグラベルに突っ込んだクルマが身動きできないでいた。


0539 ホーム・ストレートをバックに。おらは恐らく世界一カッコいい二輪、四輪両刀使いのサーキット野郎だろう。ドライバーとライダーをもじった“ドライダー”という言葉を聞いたことがあるが、何か響きが悪い。六輪レーサーとでも呼ぶか

11:00から1時間、コントロール・タワー内にある会議室で講習を受け、おらたちはもてぎの四輪サーキット・ライセンスを取得した。おらがサーキット・ライセンスを取得したのは、FISCO、筑波に次いでこれが三ヶ所目だ。でも筑波のサーキット・ライセンスはまだ1回も使っておらず、もったいない状態。講習の内容は、フリー走行の予約の取り方、フリー走行の際の注意点、信号旗の意味等の説明で、もてぎのグラベルは日本一深いと。レコード・ラインの説明は一切なし。サーキット・ライセンス取得料金は入会金、年会費、共済会費合わせて\38,350、更新料金は年会費、共済会費合わせて\25,750と高め。VISAカードなんて余分な機能はいらないぞ。でも、もてぎのサーキット・ライセンスのいいところは、筑波が2日前までに予約をキャンセルしないとフリー走行料金全額分のキャンセル料を取られるのに対し、もてぎは前日までのキャンセルでいいことだ。天気予報は日が近いほど当たる確率が高いからこれは助かる。FISCOは予約そのものが必要ないから最高だった。またFISCOも筑波もサーキット・ライセンスの有効期限までに更新をしなければ、次にサーキット・ライセンスを取るときは新規扱いになるのに対し、もてぎの場合は未更新期間があっても、次にサーキット・ライセンスを取るときの入会金が必要ない。これはありがたい。そしてFISCOと違って、もてぎはサーキット・ライセンスがあれば入場料が無料。筑波はもともと無料。また、WGP等の国際レースの観戦チケットが割引きになるといった特典がいくつかある。しかしフリー走行の規則は厳しくて、ナンバー付き車両のフリー走行でさえ、レーシング・スーツの着用が必要、クルマの左右のドアに任意の番号のゼッケンを貼らなければならない、ヘッドライト・レンズ等がプラスチックでもビニール・テープでテーピングしなければならない、ヘルメットの右横に氏名と血液型を書いた“本人確認シール”を貼らなければならない、牽引フックをあらかじめつけておかなければならない、といった規則がある。しかしこれらは全て安全の為だからしょうがないだろう。四輪の規則は知らないが、筑波も二輪はFISCOより厳しい。もてぎの全てのフリー走行枠は筑波と同じ30分刻みで、FISCOのように延々3時間に渡り全クラス混走で走れる便利さはない。そういう意味ではFISCOは安全なやり方ではないが、気軽で自由だった。もてぎの四輪フリー走行料金は30分\6,300だが、二輪の走行料金は30分\3,150と筑波同様安い。

13:15から30分間の、ナンバー付き車両と市販車改造車両が混走のフリー走行枠は既に売り切れだったが、14:45から30分間のナンバー付き車両だけのフリー走行枠に空きがあったので、佐野さんとおらは走行券を買った。ATで走るのはおらたち二人ぐらいだろうが、二人とももてぎで走ったことがないから、コースにちょっとでも慣れておきたかったのだ。二人はFISCOに通い続けた仲であった。一応この日にナンバー付き車両のフリー走行の時間があることは調べて来たんだが、この後は4月24日(土)まで、土日にフル・コースを走れる日はなかったから幸運だった。

コントロール・タワー横のレストランで昼食をとってから、フリー走行の時間まで3時間近く待つ事になった。佐野さんはパドックの駐車場でスターレットの整備を入念に行い始めた。プラグまで磨いてる。走るお金がなくてメカニックをやってた頃があるそうだ。おらはといえば、ビーマーの牽引フックは通常は装着されておらず、必要に応じてトランクの中から取り出して取り付けるタイプだから、その牽引フックをビーマーの後ろに取り付け、ヘッドライト・レンズ等にテーピングをし、エンジン・オイルが適量ある事を確認した。それだけ。あいかわらずメカには弱いし、無頓着。この日はレーシング・スーツやレーシング・シューズだけでなく、FISCOでの大転倒の後に買ったギャリー・マッコイのレプリカ・フルフェースも初めて使う。佐野さんの持ってる四輪用のフルフェースを見たら、シールドの部分がなぜか二輪用より狭い。

この前筑波で走ったばかりだし、遅い四輪で走るだけなのに、初めてのサーキットだからか、ビーマーを壊したくないのか、走る前はちょっとだけ怖かった。これじゃおらはもうとても二輪サーキットはやれそうにない・・・。


0557 フリー走行を前に左から佐野さん、おら。おらのレーシング・スーツの両肩部分には、緊急時にドライバーを車内から引っ張り出す為の救出ハンドルがある

定刻より30分ほど遅れてナンバー付き車両のフリー走行開始。ビーマーでもてぎを走るのは、恐らくこれが最初で最後だろう。おらは佐野さんより先にコース・イン。サイティング・ラップは70%で走り、1ラップ目以降は90%で行った。おらはもてぎのパシフィックGPを2回観に来ているし、コース図を穴のあくほど見ておいたので、コースは頭に入っていた。ブレーキング・ポイントは、あらかじめ尾島さんからシビック用に聞いておいたものを参考にしたが、おらのビーマーはシビックより絶対速度が遅いし、ブレーキングはABS頼みだったから、そのブレーキング・ポイントはどれも容易にこなせた。でもビーマーでブレーキング・ポイントをそれ以上詰めても、シビックでの参考にはならないから、無理はしなかった。ビーマーで使ったギアは2速と3速のみ。最も長いストレートである、ダウンヒル・ストレートでも3速でレッド・ゾーンには入らない。ビーマーの3速でのエンジン回転数の伸びの遅さにはイライラした。最高速度は見るのを忘れた。

130Rはシビックでスロットル全開と聞いていたから、ビーマーの全開では全く問題なし。R6だと3速、あるいは4速での全開か?恐ろしい・・・。

ホーム・ストレート手前のビクトリー・コーナーは、緩く左に二度回った後、きつく右に回る中、低速の連続コーナー。ここはコース幅がやたらと広くて、どこを走っていいやら、どこでブレーキングすればいいやらさっぱりわからなかった。それに、最初のブレーキングはどうやっても左へのコーナリング中になるからおっかない。3ラップ目のビクトリー・コーナーでやった。最初の左を回った後にブレーキングしたとたん、全てのタイヤのグリップを完全に失ってビーマーはスピンし始め、制御不能に。おらは横転するんじゃないかと思ったが、コース幅も広い為、クラッシュすることなく停止。やっぱりスピンしたときはフル・ブレーキングした方がいいんだろか?ATなのになぜかエンジンも止まっていた。フット・ブレーキでクルマをスピンさせたのはこれが初めての経験だ。後続車両が一台いたが、距離が離れていたのでおらを回避できた。その他、1コーナーでは2回ほど突っ込みすぎて、これが二輪だったら計3回は転倒していたろう。初めてのサーキットを二輪で走るなら、まず一度四輪で走ってからにするのが安全だと思った。四輪だと今回のように、安全に危険な場所を知ることができるし、四輪と二輪でレコード・ラインにそんなに違いはないだろうから、これも安全に覚えられる。

スピンして14秒ほどタイム・ロスしたこともあり、しばらくするとバック・ミラーに佐野さんのスターレットが見えてきた!スターレットは1,300ccで、おらのビーマーとは500ccの排気量差があるのにおらに追いつくなんて嘘でしょ!佐野さんはおらの50mほど後ろをしばらく走っていて、抜かれるのは時間の問題と思ったが、そのうちバック・ミラーから消えた。後で聞いたら、速いクルマの集団に道を譲ったそうだ。おらは明らかにスピード差があるときだけ抜かせてた。四輪はバック・ミラーとドア・ミラーを見ることにより、安全に抜かせられるのがいい。ところで四輪は二輪と違ってブロック・ラインという考え方はあまりないようだ。二輪に比べて車体が大きくて抜きにくいから、レースの最終ラップでもなければ速いクルマは抜かせるのがルールみたい。

おらはS字コーナーとヘアピン・コーナーの脱出速度が遅いと感じていた。そこで前を走るクルマのラインを見ていたら、おらはS字コーナーの最初の左コーナーでクリップを早く取りすぎている為、その次の右コーナーまでのラインがアウト側にはらみ、右コーナーへの進入がきつくなっていることがわかった。また、おらはヘアピン・コーナーを入口から出口までインベタで走っていたが、これも他のクルマのラインを見ると、入口では外から回ってクリップを取らず、出口だけでクリップを取るようだ。1、2コーナーと3、4コーナーでは、入口、出口の両方でクリップを取るから、つられて騙された。各コーナー入口のイン側、出口のアウト側のゼブラ・ゾーンに乗って走れば、レコード・ラインで走れることが、今更ながらわかった。どこのサーキットでもこれはあてはまるだろう。でも二輪でゼブラ・ゾーンに乗るなんてぎりぎりな走り方は、おらにはいつまでたってもできそうにない。

四輪だとあっという間にブレーキングが終わるから、ダウンヒル・ストレートの終わりに、シビックで瞬時に5速から2速まで3回ヒール・アンド・トーをこなさなければならない。おらには難しそうで、すごく不安。

走ってる間は暑くて汗びっしょり。かといってエアコン入れてる場合じゃない。しまいには飽きてきたが、そのまま走り続けた。そしてチェッカー・フラッグをちゃんと確認でき、前のクルマにならいハザード・ランプをつけてパドックまでの1周を流した。おらがビクトリー・コーナーで黄旗を出したかもしれないが、それ以外黄旗は一回も出ず30分間フルに走れた。ヴィッツが多くて、ポルシェやフェラーリもいた。おらは1台抜いただけで、2台のヴィッツを含み、抜かれ放題だった。走り終えても二輪ほどの充実感がなかったのは、抜かれっぱなしだったことも一因か。

P-LAPをR6から取り外してビーマーに取り付けるのが億劫だったので、かみさんにストップ・ウォッチでラップ・タイムを計ってもらった。10ラップしてファステストが249。おらの腕のビーマーではこれがほぼ限界。S字コーナー、ヘアピン・コーナー、ビクトリー・コーナーのラインを完璧にし、全てのブレーキング・ポイントを詰めても精々245ってとこだろう。佐野さんはP-LAPを使ってファステストが250。500ccの排気量差があっての1秒差では、おらは完全に負けてる。佐野さんは15歳でカートから始めた本格派だった。アイルトン・セナ亡き後、おらより速いドライバーはこの地上には存在しないと思っていたが、自宅からクルマで5分のところにいた。もろくも崩れるおらの根拠のない自信。佐野さんはD-jacシビックなら220を切るんだろか。おらは何とか230を切りたい。

こうしておらはついにWGP現役使用のサーキットで走った。四輪でだけど。Joy耐3時間に向けてのいい練習になったから、この日走れて本当によかったよ。レースまであと2週間だ。おらはFISCOと筑波では二輪、四輪両方で走ってて、SUGOは二輪だけ、もてぎは四輪だけ。そのうち二輪走行会で、もてぎを走りたいような、走りたくないような・・・。そしてメジャーなサーキットで残すは鈴鹿のみ!それにしても、もう大破しても惜しくないビーマーだが、クラッシュせずに自走で帰れてよかった。ひょっとしたら佐野さんのスターレットで帰ることになるかもしれないと思っていたのだ。9年落ちのビーマーを、このところ筑波やもてぎで酷使しているが、大丈夫だろうか。帰りの運転はかみさんにまかせ、16:30にもてぎを出て20:30に帰宅。帰りは渋滞のせいで4時間もかかった。それにしても、おらは40過ぎてからモーター・スポーツにはまってる。でも若いときだったら金が持たなくてやってられなかったろう。

翌日D-jacに行き尾島さんにヴィッツに抜かれた話をしたら、ヴィッツはその軽さから、コーナリング・スピードが速いし、ブレーキングの制動距離も短いから、インテグラより速いとは言わないが、それに匹敵するほど速いと聞いた。そしてS字コーナー、へアピン・コーナー、ビクトリー・コーナーのレコード・ラインを教えてもらった。でもビクトリー・コーナーの走り方にはとても不安が残ったから、YAMAHA MOTOR SPORT FAN CLUBというウェブサイトにある二輪用のもてぎ攻略法と、Honda Sportscar webというウェブサイトにある四輪用のもてぎ攻略法を見つけて読んだ。後者は特に優れた内容だが、他のサーキットの攻略法がないのが残念だ。


rcfull4r[1].gif もてぎフル・コースのコース・レイアウト

 

四輪の国内レースやアマチュア・レースを扱う雑誌を本屋で探したり、人に聞いたりしたが、それらしい雑誌は月刊誌の“プレイドライブ”と週刊誌の“AUTO SPORT”だけ。プレイドライブはラリーやジムカーナを扱っていて、なかなかいいがサーキット情報はなし。AUTO SPORTはサーキットを扱ってはいるが、所詮週刊誌のレベル。日本には数えきれないくらいのクルマ雑誌が氾濫しているのになんで国内レースものは本格的なのがないの?二輪レースにはライディング・スポーツという、WGP、全日本、そしてアマ・レースをくまなく扱う素晴らしい月刊誌があるのに。ライディング・スポーツの四輪版、“ドライビング・スポーツ”を発行したら売れると思う。

ドライビング・テクニックのレッスン書を探してみたが、これもほとんどない。二輪もレース関係のレッスン書はほとんどないが、峠用のライテク本は数多くあるから参考にはなる。それがドラテク本になると、峠用もないのだ。それでもやっと見つけたのが以下の三冊。

ポール・フレール    新ハイスピード・ドライビング

物理理論を理解することにより、クルマの挙動を理論的に知ることに重きをおいている。レコード・ラインの取り方に関する記述はわかりやすい。テクニックについての記述はもとより、レースのノウハウも記述されている、なかなかいいレッスン書。ポール・フレールは43歳で初めてルマンに優勝していた。おらにもまだ時間があるか?

飯塚 昭三    ジムカーナ入門

ジムカーナもやってみたくなって読んだ。ステアリングの操作方法やシフト・チェンジ操作の方法等、クルマ操作の基本的なことから学べる本。こういった記述のある本が他にないので、この本はジムカーナ用だけでなく、サーキットで走るためにも非常に参考になる。

アイルトン・セナ    アイルトン・セナ 最速のドライビングテクニック

まだF1ドライバーになっていないおらには、ちょっと次元の違いすぎる内容。

北野晶夫、アイルトン・セナ、加藤大治郎のようにおらも若くしてサーキットで死にたい。おらは今年43になるけど若いって何歳ぐらいまでだろか?ついでに言うと土方歳三、マリリン・モンロー、ジェームズ・ディーン、夏目雅子、松田優作、尾崎豊、それからタイガー・マスクの伊達直人、あしたのジョーの矢吹丈、エースをねらえ!の宗方仁、大ぼら一代の丹波太郎字、愛と誠の太賀誠、男組の神竜剛次と流全次郎といったカッコいい面々は皆若くして死んだ。いや、若くして死に、若いままの姿で人々の記憶に残るからカッコいいんだ。でもゴルゴだけはいつまでたっても死なないし、老けない。最終回ではカッコいい死に方をしてほしい。さいとうさん頼みますよ。ゴルゴよりもさいとうさんが先に逝くってのだけはご勘弁を。でも、ネタのつきないゴルゴ13だから、その可能性は十分にある。本書の場合、完結する前におらが死んだら、その死に様をかみさんに書いてもらう。土方歳三の顔はおらそっくりなのであった。

以下の本も読んだ。

太田 哲也    クラッシュ 絶望を希望に変える瞬間

“日本一のフェラーリ遣い”と呼ばれた職業ドライバーの著者は、FISCOでの大事故により瀕死の大火傷を負う。そして九死に一生を得た著者の長く壮絶な治療生活が始まる。絶望から死を望むようになる著者は、人は何の為に生きるのかを模索する。そして最後には著者がサーキットに戻ってくるのは、サーキット野郎の性だろう。読者に生きる勇気を与え、家庭を持つことの大切さを伝えるノンフィクション。四輪は二輪に比べて比較的安全ではあるが、二輪にはない大火傷の危険性があるのだ。レース前に読むんじゃなかった。四輪用のフルフェースのシールド部分が二輪用のより狭いのは、火傷を最小限に抑える為かもしれない。また四輪用のフルフェースは難燃性の材質で作られている。

本間 勝久    ラルフ・シューマッハーの真実

F1デビュー前の1996年に、全日本選手権フォーミュラ・ニッポンにシリーズ参戦した、ラルフ・シューマッハーの一年を振り返るノンフィクション。フォーミュラ・ニッポンのマシンは500psで、なんとFISCOを115でラップするんだと!二輪やGTカーとは次元の違う速さ。フォーミュラ・ニッポンは、世界のレースの中で最もF1に近いカテゴリーのレースだとある。一度FISCOに観に行きたくなった。

しげの秀一    バリバリ伝説

文庫化されたものを買って、初めて読んだ。最後の方はおもしろい。本書のサブ・タイトルに使うつもり。題して“中年サラリーマンのバリバリ伝説”。

 

おらは本書と旅行記“NATO Mission”をT出版社、H出版社、K出版社に投稿していた。T出版社からはNATO Missionはとても優れているとのことだったが、全額出版社持ちの企画出版は無理だという。H出版社はよくある共同出版への誘い。頼みの綱は、今まで原稿を送った出版社の中で唯一原稿募集をしていたわけではなく、おらが気に入った本の出版社に直接電話して、応募の許可を貰ったK出版社。ところが、原稿を送って約1ヶ月後におらの知らないG出版社の方から手紙が来た。それはK出版社から原稿を預かって検討しているというものだった。それから1ヶ月たっても便りがないが、おらはひょっとしたら・・・、と期待している。

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