劇団四季のマンマ・ミーア!

 

2004.07.10

 

おらはミュージカルだの演劇だのには全く興味がないが、ABBAが大好きなのでマンマ・ミーア!は観ておかなければならないと思っていた。よって必然的に辛口な批評になっていることをお断りしておく。

 

1999年4月にABBAのメンバーだったビヨルンとベニーがABBAの曲を使ったミュージカル、MAMMMA MIA!をロンドンで開演したときから、おらはそれを観る機会を待ち続けていた。MAMMA MIA!の米国公演が決まり、米国出張の際に観るという手も考えた。しかしニューヨークでA Chorus Lineを観たとき英語のせりふが全く理解できずにつまらなかったからMAMMA MIA!を米国で観ても無駄だろうと思っていた。しかし2002年12月から劇団四季によるマンマ・ミーア!の公演が東京で始まった。おらはそれを観る機会を逸し続けていたが、2004年7月2日(金)に新橋の電通四季劇場[海]に行ってついに観た。そして2001年7月に公開したおらのウェブサイトであるMAMMA MIA! The Siteにやっとこのページを加えることができた。

 

18:30開演で65分の公演、20分の休憩、65分の公演。おらは25年間数限りなく聴き続けてきたABBAの歌を日本語で聴くのがなんか嫌だった。ABBAの曲であるママミア“をいくら発音がそちらの方がより正確だとしても”マンマ・ミーア“とされたのも気にくわなかった。でも外国人の演技による英語のせりふではストーリーがわからないし、かといって日本人の発音で英語の歌詞を歌われてもかなわないからしょうがない。おらはあまり期待せずに開演時間を待った。

 

一言で批評するならターニャを演じる前田美波里がカッコよかった。感動はできなかった。それはおらが43歳と歳をとりすぎていたからかもしれない。あえて付け加えるなら、ドナを演じる保坂知寿の歌声が良かったことと、ハリーを演じる明戸信吾の歌がうまかったことだ。そして気に入ったシーンが二つあった。保坂知寿、前田美波里、ロージーを演じる青山弥生の3人がSuper Trooperを歌う場面と、保坂知寿がThe Winner Takes It Allを歌う場面。これはSuper Trooperでの前田美波里と保坂知寿がABBAのアグネタとフリーダを連想させた事と The Winner Takes It Allがおらの最も好きなABBAの曲だったからだと思う。

 

HASTA MANANA、Eagle、TigerといったABBAの初期の名曲がなく、中、後期の歌が多かったが、WaterlooだけはABBAのコンサートの定番らしく最後に流れた。

 

ストーリーは最後の意外な結末は良かったが、そこそこの出来。大の男が楽しめる内容とは思えない。コミカルな演技は興ざめ。どだい1980年のABBAの日本公演と比較して観てしまうのが無理な話であった。

 

こんな批評だけじゃあんまりだから、おらのかみさんの批評を付け加えておく。

 

 

かみさんの観たマンマ・ミーア!

 

汐留の四季劇場[海]に着き、MAMMA MIA!の見なれたポスターを見たら急にワクワクしてきた。真っ先にパンフレット等のグッズを購入してさらにワクワク度が高まる。劇場内は想像していたのと違って狭くこじんまりとしていたので、S席の前から20番目と後ろの方で観る私達でも十分舞台を近く感じた。あまり前で観るよりも話しの全体像がつかめていいかもしれない。次に驚いたのは年配の方が多かったこと。ここは新宿コマ劇場か!

 

場内が暗くなり、カーテンには「海」をイメージしてか水面の波が写っているかのようなライティング。いよいよ始まると思った瞬間、いきなりイントロが大音響で流れてきたのでびっくり。そしてソフィの歌が始まった。いくら浅利慶太の訳でもABBAの曲を日本語で聴くのはどうかと思っていた私だが、だんだんと物語に引き込まれていくうちにせりふがメインとなり、曲はあとからついて来るような感じで観方が変わり違和感もなくなった。

 

主人公ドナと昔バンドを組んでいた友人ターニャ役の前田美波里が出てきた。彼女を観たくて来たので待ってました!と嬉しくなった。彼女には他の人にはないオーラがある。スタイル抜群で、その手足の長さを存分にいかした華やかさがある。自由に人生を楽しんでいるターニャをコミカルに、またカッコよく演じていた。ドナ役の保坂知寿も負けてなかった。小柄で細い体のどこから出でくるのかと思うほどの力強い歌声と表現力。さすが劇団四季のトップスター。いずれにしろ皆歌が上手だ。私は20年近く前に劇団四季が団員募集をした際にオーディションを受けたことがあるが、浅利慶太の面接を受け見事に落とされたのがうなずける。

 

途中ABBAの曲が場面を盛り上げ、コーラスとなり拍手がおこった。初ミュージカルの私はその状況に少し遅れて拍手する。演劇特有のせりふまわしのせいか、気がつくと私は肩と眉間に力を入れて観ていた。何度も緊張をとろうとしたが無駄でとても疲れた。

 

1章が終わり休憩時間になると、ダンナ様はあっという間にお手洗いに席を立った。他の人達も同様で場内はまばらになった。出遅れた私は大混雑のお手洗いを諦め席に戻ることにした。すると最前列で数人が舞台の下を覗き込んでいるのが見える。以前テレビで取り上げていたのを思い出し、見に行った。そこはオペラでいうオーケストラボックスだ。なんて狭いところで演奏してるんだろう。ドラムは音が響き過ぎない様にしているのか透明な板で仕切られていた。

 

2章もイントロから始まった。悩めるソフィの悪夢から話は続くが、表現がユニークで印象に残っている。そして疑問が。大きな声で歌ってはいるもののマイクもあるはず、どこだろう?ずっと探しながら観ているとあった!髪の毛の薄い役者さんが答を出してくれた。小さなワイヤレス・マイクがこめかみの辺りに見えた。

 

物語の内容自体はそれほど面白くないけれど、せりふのテンポの良さや演出にABBAの曲がかみ合って飽きずに楽しめた。最後に派手な衣装でギラギラの厚底ブーツを履いた父親役三人が登場したときには笑えた。似合わないのなんの、演出の策にしてやられた。Dancing Queenの大合唱で場内総立ち。血圧上がって倒れるのではと心配したくなるくらい周りのご年配達ものっていた。アンコールに応えてみなが挨拶には出てきたけれど歌ってはくれなかったのが残念。でも前田美波里が一番最後まで舞台に残り、お茶目に笑顔いっぱいのサービスをしてくれたのが嬉しかった。

 

今回初めてミュージカルを観て、歌や踊りで感情を表現し物語を進めていくことにコンサートと違う感動を覚えた。ミュージカルっておもしろい。もう一回観に来たい。

 

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