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飛行機を乗り間違えた!

1996.10.29

いつものように成田空港からニューヨークのJFK空港まで飛び、タクシーでラガーディア空港へ。そこから米国内線に乗り継ぎ、やっとニュー・ハンプシャー州のマンチェスター空港に着いた(と思った)。隈部さんと田辺が空港の様子が変わったと言っているが、おらはそんな事どうでもいいと思って聞き流していた。そしてレンタカー会社のカウンターに行き予約証明書を女の子に見せたら「これはマンチェスター空港での予約」だと言う。おらはその意図がつかめず、「ここはマンチェスターでしょ」と言ったら、「ここはロチェスター」だと。にわかに信じられなかったが、この空港の作りはマンチェスター空港に似ているが確かにちと違う。女の子に「マンチェスター空港の支店に遅れると電話してくれ」と頼み、マンチェスター空港に行くための航空券を入手すべく、4人で2階のデルタ航空のカウンターに駆け上がった。

応対した太目の女に「ここはマンチェスターでなく、本当にロチェスターなのか?」とマンチェスター空港行きの搭乗券を見せながら話したら、すぐに事情を察したようで、「今すぐ1Aカウンターに行きなさい。Run!Run!」という。今乗ってきた便がラガーディア空港に戻るのだろう。おらたち4人は駆け出した。

カウンターにいたデルタ航空の従業員は細めでちょっときれいな女。「おらたちを飛行機に乗せてくれ」と話したが、この女には事情が伝わっておらず、「航空券がないと飛行機には乗れない」と当たり前の事をいう。便の出る時間がせまっていたおらは焦りながらも簡単に事情を説明したが、彼女は「No」、おらは「Yes」を二回繰り返した。おらは「これはデルタ航空のミスだ。おら達は搭乗する際に搭乗券を見せたぞ」というと、彼女はさっきのカウンター(だと思う)に電話し、乗せてくれることとなった。「Wrong flightだったのね」と彼女。wrong flightといわれるとこちらが間違えたようで(実際そうだが)響きが悪い。「搭乗券は発行しなくていいのか」と確認したが、彼女は行けという。なるほどさっき乗ったのと同じ30人乗りくらいのプロペラ機に同じスチュワードがいた。ラガーディア空港に戻れてもマンチェスター空港行きの便がなければ困るので、飛行機の中でスチュワードに聞いたところ、「1715発のラガーディア空港発マンチェスター空港行きがあるので大丈夫」と。

wrong flightに乗る前に、ラガーディア空港の待合室で待っている間、ニューヨークまでの国際線で全く眠れなかったおらは熟睡していた。田辺がマンチェスター空港行きの定刻1355発の10分前くらいに、「マンチェスター行き」というアナウンスが聞こえたと言うので、おらは寝ぼけながらゲートに向かったのだ。ゲートの通路を下りたところにいたデルタ航空の女は「to Manchester」と言っていたし(そう聞こえただけ)、搭乗券もそこで見せたし、飛行機に乗ってからは2回も見せた。1回目は飛行機に乗り込むとき。2回目はおらの座席に別の人が座っており搭乗券の座席番号がダブっていたとき。搭乗券をスチュワードに見せたところ、空いている席に座っていいと言われたのだ。マンチェスター空港行きとロチェスター空港行きは共にデルタ航空で、同じゲートで、出発時間も近かったらしい。

ラガーディア空港に戻ってすぐに、マンチェスター空港行きの便に航空券無しで乗るべくデルタ航空のカウンターに行くも、この惨事を知ってるやつは誰もおらず、さっきの女の2倍くらいわからずやの男に同じ説明をしなければならなかった。おらが半分頭に来て、大きな声で「そっちが間違えたんだろ!」を繰り返すと、彼は「静かにしてくれ」と人差し指を自分の口にやる。でも結局おらたちはマンチェスター空港行きの便に乗れた。それにしても国際線を含めて1日4回飛行機に乗ったことのあるやつはそうはいないと思う。デルタ航空のFFP会員になっておけばよかった。

数年後、おら一人でラガーディア空港からマンチェスター空港に飛ぶ際、アメリカ人の男から「この便はロチェスター行きか?」と尋ねられた。

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