*   入 選 作 品   

 

「いつか歩いた道を」

 

いつか歩いた道を

あの日歩いた道を

ずっと歩いてきた道を

これからもまっすぐ歩いて行こう

 

私が選んだ友と

私が選んだ人と

共に歩いて行こう

ずっと歩いて行こう

 

これからも ずっと一緒に

 

(2004年3月 音楽サイト「NEXT MUSIC」において

推薦曲に選ばれた歌です。

ネット仲間で作曲を手がける、あぶさんが曲をつけてくれました。

私が詩作活動に入るきっかけになった歌でもあります。

「いつか歩いた道を」で検索して頂ければ、聴けます。

尚CDは非売品です。)

 

「波」

 

人生は

波のようなものかもしれない

 

柔らかく ササーッと

素足に冷たい感触の波

その波が引いていく時

足元の砂も一緒に持っていく

自分の足まで持っていかれそうな

 

時には ざぶ〜ん と中くらいの波

浮輪で浮いていると

あちこち揺られて面白い

 

高い波は サーファーにもってこいだ

さあ 来い!と言わんばかりに

波を掴まえて放さない

 

寄せては返す波

穏やかな時もあれば

荒れる時もある

 

(2004市秋祭り教育委員会賞受賞作品)

 

「花のまち」

 

赤信号で車を止めた

春の日差しが暖かく

車の窓を開けた

 

道路沿いに植えられた

春の花の数々

白い花びらのノースポール

お日様の光りに反射して

美しく輝いて

それをカラフルに演出するように

チューリップ ガーベラやヒメコスモスと

赤やピンクに彩る

 

そんな花達の

しなやかな立ち姿と囁きが

心の中の優しさと温かさをかもし出してくれる

そんな花のまちが好き

 

(2005市文化協会祭り1位入選作品)

 

「夏山の思い出」

 

高校の卒業記念

山登りに挑戦した

ふもとから見る頂上は雄大だった

 

石ころだらけの山肌を

変わりやすい山の悪天候にはばまれ

肌を刺す霧雨に耐え

視界も悪くなり 口数も少なく

ただ足元を見つめ 黙々と登り続けた

中腹の休憩所で

下山することが告げられ

身体中の力がいっきに抜けた

残念だった

 

数日後 テレビで遭難のニュースが。。。

その時 学んだこと

下山する勇気 立ち止まる勇気

私の人生に

大切な羅針盤となった

 

(2005東海タイムズ詩作大会入選作品)

 

「夜の帳(とばり)」

 

夜の帳が訪れ

静かな時が

安らぎを与えてくれる

 

真夏の出来事を幻に変え

ゆっくりと闇の中に

誘い入れてくれる

 

一日の疲れた心も

優しい暗闇の衣をまとい

夜の帳の中

心癒されるひととき

 

(2005市詩祭り入選作品)

 

「散歩」

 

ご主人さまは 散歩をはじめた

体調が回復しつつ あるきはじめた

ぼくは つきそいだ

 

ぼくの首輪のリードは

ご主人さまの手に

しっかりと つながれている

ご主人さまの歩幅にあわせ あるく

ご主人さまは ぼくよりも ずっとおおきいが

あるくのも はしるのも ぼくの方がはやい

だから いたわってあげる

 

だって 家の中ではいつも エサをくれて

ぼくのめんどうを みてくれる

ぼくが いちばん好きなものも知っている

たくさん なでてくれて

たくさん ほめてくれる

窓から とおくの景色がみたくなると

だっこして みせてくれる

だから 外にでたときは

ぼくが やさしくしてあげる

 

あるきながら ときどき

ご主人さまの顔をみあげる

ご主人さまは 写真を撮るのが好きだ

道ばたに咲く草花や 空にカメラをむける

ぼくはたちどまり あたりをみわたす

そして ご主人さまが つかれたころ

くるりと 向きをかえる

 

(2007市詩祭り入選作品)

「ペットボトルの中のふるさと」

 

ふるさとの水をのんだ

からだの中に ひょうひょうとした

やわらかで まろやかな感触

 

あるく道の わきをながるる川

澄んだながれの中に たくさんのメダカ

あたりまえのように からだ およがせた

春の風が吹き 町のまんなかの公園に

さくらの花が あおぞらに咲きみちて 人々のにぎわい

田んぼをうめつくす きいろい菜の花のじゅうたん

羽をひろげた妖精が舞う

夏の風が吹き かがやく陽射しの中

川面の上 水しぶきが おどりきらめく

ちんじゅの森に ひびきわたるセミの声

おいしげる葉のすきまからこぼれる 虹いろのひかり

秋の風が吹き すずしげな虫たちのうたげがきこえ

道すがら リズミカルにゆれる コスモスの花

ふるさとをかこむ山々は 錦にそめあがる

冬の風が吹き 霜柱に もちあげられた大地

ざくっ ざくっ とふみしめた

しんしんと舞いおりてくる 天の花

木々は 田畑は その衣をまとい しずかに 時をすごす

 

四季折々のゆたかさ ふくんだ水

ペットボトルに凝縮されたふるさと

透かしてみれば おなじ空がみえる

 

(2007東海市秋祭り教育委員会賞受賞作品)

「微笑みの花」

地上に やさしく咲く
微笑みの 花の根っこを
そっと 抜いてみたら
どこまでも ながくつづいていた

それは ほそく
けれど つよく

今は たくましい根っこになるため
時をそそごう

その地道な心根は
うつくしく地上に華を咲かせ
夢をみのらせる

English:

A flower of the smile

It bloms on the ground kindly
The root of A flower of the smile
If I pull it quietly
It lengthened for a long time forever

It is thin
but it is strong

To become the stout root now
I will pour time
The heart that is the ground way
It lets sinter bloom on the ground
beautifully
It lets a dream grow

 

(2008年東海市詩祭り入選作品)

「花信風(かしんふう)」

 

花を咲かせる風のことを 花信風という

風が吹くたび どこかの花びら ひらかせる

四季折々の風を吹かせ 咲き時をしらせる

 

花は しずかに その風を待ち

たいせつな時をすごす

ひらいた花びら やさしく風がなでる

いつまでも咲いていられるよう

やわらかな風で みまもる

 

やがて 散りゆく むかえにくる風

花は きよらかな風に身をまかせ

おだやかに去っていく

 

(2009年 東海市詩祭り入選作品)

「生」

 

近所に住む 同級生のたあ坊が

川で溺れて死んだ

13歳

 

保育園から仲良しだった

優しい京子ちゃんが 胃癌で死んだ

27歳

 

今 私は生きている

日常の喜怒哀楽という空間の中

あらゆるものの 生の匂い感じながら

 

少しばかりの病があっても

与えられた生に感謝しよう

封印された

彼らの声が聞こえてくる

 

風となり

陽射しとなり

花となって

 

(2010東海市詩祭入選作品)

 

「鳥」

 

その鳥は 毎朝私の窓にやってくる

コツコツ 抜き足差し足潜めたつもり

窓の桟に足跡残していく

寝たふりをして様子をうかがう

じわっと薄目を明ける

朝陽を浴びたカーテン越しに

鳥の影忍び寄って

枕元にちょこんと座った

 

身じろぐこともなく

一時 鳥と添い寝

閉じたカーテンの僅かな隙間から見えた

汚れなき瞳

風の手ぐしになびく毛艶のよい羽

乱れることもなく襟を正す

 

(2011東海秋祭り詩作大会市議会議長賞受賞作品)

 

 

「バラの花びら」

 

花びんにいけたバラの花

水を変えようと触れた瞬間

ぱらぱらっ くずれ落ちた

驚きと儚さ

触れてしまった 少しの悔い

ほどよいシワと艶

ふんわりと シルクのような感触

するすると滑らかな 赤ん坊の肌のよう

軽い優しさと温もり

甘やかな残り香

両手でそっとつつみこんだ 

 

(2012市詩祭入選作品)