ニセコ連山の西端に位置する山で、稜線は前雷電から中山、雷電岬、
義経伝説のある弁慶の刀掛け岩へと、日本海にダイナミックに落ち込んでいる。
頂上からは日本海を見渡し、
幌別岳から岩内岳、目国内岳へと続く稜線に縦走路がある。
登山口の朝日温泉は,かって、雷電峠を経由する交通の要衝であった。また、雷電海岸には、小説
「生まれ出ずる悩み」で雷電を賛えた一節を刻んだ有島武郎文学碑などがある。
....自然は絶えず美しくよみがえってゆく。朝の山には朝の命が、昼の山には昼の命があった。
夕方の山にはまたしめやかな夕方の山の命がある。山の姿は、その線と、陰日向とばかりでなく、色彩にかけても、
日が西に回るとすばらしい魔術のような不思議を現わした。峠のある部分は鋼鉄のように寒くかたく、
また他の部分は気化した色素のように透明で消えうせそうだ。夕方に近づくにつれて、やや煙り始めた空気の中に、
声も立てずに粛然とそびえているその姿には、汲んでも汲んでも尽きない平明な神秘が宿っている。......
「生まれ出づる悩み」から(碑文とは別の一節)
山名の雷電は@ ライ・ニ(枯れ木)=枯れ木は近くの「弁慶の薪積岩」を指す
A ライテム(焼いてうなる=落雷で山が焼き崩れ、
振動した)、 B ライデン=来年くると言ってメノコを騙して、ここから船出したとの義経伝説
来年が雷電に転訛)
C ラエンルム=低い出崎
等に因るとの説がある。
岩内から寿都に向かう国道229号線を雷電温泉の手前で左折して、朝日温泉へ向かい、
朝日温泉の前が登山口(2003年は朝日温泉は休館)。
いきなりのきつい登りで高度を稼ぐ、登るにつれ尾根が顕著になり、テング岩を過ぎるとコックリ湖への路を右に分け、
ひと登りすると中山(841m)。一旦下り、緩い登りで、また登りがきつくなると、1,154mピークを巻き、前雷電(1,203.6m)。
ハイマツとササの中の緩い登りで、台地の上にある平坦な頂上。 |