アイヌ語でル・ペシ・ペは峠路の沢の意。
生活路である山越えの路を意味するルベシベと名のつく山は
道内各地に見られる。
このルベシベ山は国道5号線の稲穂トンネルの上にあり、
地元では小学校の校歌にも歌われ親しまれている山。
山名も稲穂峠越えの路ルベシベに因る。
この路は開拓当時から通行の難所として知られていた。
当時の記録には「エナフ峠ニカカル、誠ニ細道悪路ニシテ至テ難所
・・・鞍ニスカリ、シダニ取付、漸ク絶頂ニ至ル、
此坂をルベシベとも云う。ルベシベは山越えと云事なりけり・・」
とある。峠の仁木町側にはルベシベ通行家跡地の記念碑があり、
岩内から稲穂峠を越え余市に至る要所として
安政4年(1857年)ヨイチ運上屋によって通行家が建てられ
明治の中頃まで北海道開拓に係わる政府要人や鰊場で働く労働者や商人
など多くの人に利用されたとの説明がある。
国道5号線で稲穂トンネルの倶知安町側の入口付近
に駐車する。(このスペースは除雪作業時には山側
の雪を沢側へ吹き飛ばす中継点となるので除雪作業中の
駐車は難しい。当日も除雪作業開始直前で1時間以上も待たされた。)
駐車場所から国道を渡ったトンネル入口脇の作業道を辿り稲穂峠で作業道から離れ尾根筋を辿る。(稲穂峠の手前で道が大きく右に曲がる地点
=標高385m地点=から沢の右岸を詰めると
多少の短絡となるが傾斜はきつい) 標高500mあたりから尾根も細く、傾斜もきつくなってくる。雪も落ち着いているので開豁斜面をトラーバスし
右手の尾根から頂上を目指す。この尾根は広く下降も楽しめる。
やがて樹木もまばらになり、傾斜も緩くなると頂上台地の一角に達する。
頂上台地は樹木もない、広い吹きさらしの一面乳白色の世界。
周りの景色と地面の境が無く、
自分のラッセルの跡だけが薄い影となって乳白色の
中に形を作っている。
脚で傾斜を感じながら高みへと進む。
前方に何か黒いものがぼんやり見える、
近づくとハイマツの枝が顔を覗かせていた。
夏には一面のハイマツ帯なのであろうか、この高度でハイマツとは
日本海の影響なのであろうか。
頂上台地の高みには反射板があり、その真下には
三角点が頭を出していた。
少しは視界も利くようになったが依然として吹雪模様。
晴れていると展望も利くのであろうが、
手も冷たくなってきたので直ぐに下降開始。途中で何か口にするつもりで
取り敢えず風雪の頂上を後にしたが、結局何も口にすることなく
下りてきてしまった。
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