1999年12月20日(月)

法務省は12月17日、2名の死刑を執行しました。
うち1名は再審請求中であり、
裁判所の判断を待たずに執行したのは前例がありません。
名張事件で再審請求中の奥西勝さん(現在74歳)の安否確認のため、
川村富左吉さんが面会した報告の要旨をご紹介します。



<報告>

(死刑執行が金曜日で土日が面会できず月曜日朝一番に面会。
面会室に現れるや奥西さんの方から話し始めた。)

奥西:あれ(死刑執行)があったので来てくれたのか?
川村:そうだ。夕刊見たか?
奥西:見た。鈴木先生(名張事件弁護団)の談話も読んだ。
川村:竹沢哲夫弁護士からの伝言だ。
   あらゆる努力と手を尽くして「阻止」する。
   心配しないように。
   もっと厳しい時代でも平沢(帝銀事件)では阻止した。

(奥西さんは『ありがとうございます』といいガラス越しに合掌した。)

奥西:今年もキリスト教の関係者からクリスマスプレゼントにケーキの差し入れがあった。
   昔はこのケーキがあるともうこの年は殺しはないと安心したものだが、
   最近はそうでもなくなったようだ。

(この話題はこの程度で済ました)

奥西:12月9日から使い捨てカイロが許可された。
   (暖房がないので)1個60円で2個程度使っている。
   皆さんの差し入れのおかげで本当にありがたい。
   くれぐれもお礼を申し上げて下さい。


(この日、ネットワークなどから、6千円差し入れた。)



(ある事務局メンバーからの感想)

再審請求人まで死刑執行するなんて思いもよりませんでした。
確かに法律では、「再審請求中に死刑執行をしてはならない」というような条文はない以上
法務省は自己の行為は正当であると主張するでしょう。
しかし、法務省の行為は無実の叫びを遮断し、
再審請求の機会を実質的に奪っていると言わざるを得ないのではないでしょうか。
すなわち憲法第32条では、
「何人も、裁判所において裁判を受ける権利は奪われない。」
と定められており、法務省の行為は憲法、人倫の道に反するものであり、
到底許されないものであると考えられます。
国家による横暴がここまで来たかと思うと、暗澹たる気持ちになります。
奥西さんにこのような悲劇を起こさないように、
より一層の支援運動の強化をしていかなければいけないと強く思いました。

作者:森雅彦