
医学部の部活加入者にとって最大のイベント、それは九州山口医科学生体育大会。各部活、年に一度のこの大会に向けて日々練習に励んでいる。ウインドサーフィン部は7年間、ライバルの琉球大学に僅差で敗れ続け、毎年準優勝という定位置から脱却できなかった。したがって九山で優勝することはOBの先輩方も含め、部員全員の悲願であった。今年はキャプテンE夏が急成長し、もはや九州に敵なしの状態だ。したがって後は残りの部員のがんばりが勝敗を左右する。6年生の僕にとっては最後の九山だ。「悔いを残さない!」それだけが目標だった。
4月18日(木)午後10時、医学部学生駐車場に集合。5台の車で長崎に向かう。19日午前4時ごろ長崎自動車道金立PAに到着し、ここでしばらく仮眠をとることにした。
午前10時、長崎県川棚町、国民宿舎くじゃく荘に到着。ここからは遠くにハウステンボスのシンボル、ドムトールンを眺めることができる。会場は目の前の海岸のようだ。
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| ずらっと並んだウインド車とくじゃく荘 |
風が安定しだした午後から出艇し、右海面、左海面をそれぞれ走りながら海面のチェックをした。周りが山に囲まれているのでしばしば風が振れる。こりゃコースを外したらえらいことになりそうだ・・・とりあえず明日のレースではE夏と同じコースを取ることを確認する。
夕方からいい風が入り、鹿児島大学、琉球大学合同で上り練習を行う。あまりに気持ちがよかったため勢いよくスタボーを延ばすと、背後にハウステンボスが見えてきた。
行ったれ〜!
さらに上らすこと15分、ハウステンボスに到着。琉球大のYこちゃんが「Fおさん、上陸しますか?」と尋ねてきたけれど、さすがにこの格好で「チケット一枚」なんていうのも失礼だろうから、海上から眺めるだけにした。しかし海から眺めるハウステンボスもまた美しい。何か得した気分だった。
大会一日目![]()
朝からすっきりしない天気だった。海上は無風。しばらくはZ旗の揚がる気配はない。各大学、それぞれの形でウェイティングをしている。雨が強くなってきたため琉球大学はテントを張ってその中で待機している。鹿児島大学は雨がしのげるものといえば砂まみれのボートケースしかない。ここらへんが常勝琉大との違いなんだろうか。僕もボードケースよりはテントのほうがいいので、鹿児島大学を裏切って琉大のテントに入れてもらった。そのテントの小窓から海面を見ていると次第にブローが入ってきたのが分かった。午後2時半、Z旗が揚がる。
雨はまだ降り続いている。入ってきたように見えたブローも消えてしまい、しばらく海上でウェイティングとなった。約30分後、180度風軸が変わったためスタートラインを打ち直し、そしてほとんど風の吹かないまま予告信号が揚がる。コース短縮で1周のみのレース。
E夏のページにも書かれているけれど、僕は上からスタートすることにした。無風で潮の流れもないので上は大混雑だった。なんとかその混雑を抜けて、スタートは上1から切ることができた。僕の一つ前は神戸大の国体選手Zくん。しかし、スタートと同時に下艇がデットゾーンに入り始め、つられて僕もZくんもデットに入る。Zくんはそのままタックを打ったが僕は本部船をまだ抜けきれていなかったためタックが打てず、まるまる一回転して再びスタボーで上り始めた。
明らかに出遅れてしまった。近くを走るのはテツ、Mさみち、O迫など。上ブイを回航したとき数えたらだいたい20番手ほどだった。先頭集団は神戸が引っ張っている。「やばい、やばすぎる・・・」。この段階で僕がポイントゲッターになる可能性は低くなっていたので前を走るE夏、M瀬、Y井にすべてを託した。上からサイドは鹿児島大学お得意の八の字パンピングだった。E夏がS々木さんを抜いた。M瀬もそしてY井も今まで見たことのないような勢いでパンピングをしている。そんな彼らの姿を見て、僕もここで勝負を捨てることはできなくなった。
琉球大学、神戸大学よ。俺が無風の磯で5年間鍛えた
必殺八の字パンピングを見せてやる!
A戸、U野が他の大学を抑えていたこともあり、サイドブイを回航したときは10番手まで順位を上げることができていた。そして残りの半レグあたりでようやくY井に追いついた。Y井は神戸大のあまのっちとmeetしており、2人ともスピードを落としていた。そのとき風は左後ろからかすかに吹いていた。微妙に上になる左から2人を抜きにかかろうとしたとき、一旦無風になったかと思うと、180度反対側、つまり右前方から風が入ってきた。しかも今度は順風で風速は2〜3m/s。いきなりスタボーでの上りになる。この段階でサイドと本部船を結ぶ線の右側、つまり風上にいた選手は一本でゴールできたのだが、下にいた僕と琉球大学のエース鉄仮面えらびは、ゴールまで2度のタックを打たなくてはならなくなった。いったんポートに反した時、琉球大のよーじ、U海くんがスタボーかけながら走ってきた。「Fおさん、その二人を抑えて!」すでにゴールしていたE夏から指示を受けるが、2度目のタックが間に合わずさらに順位を落とした。結局14位。2年前の大分大会と変わらない成績だった。
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| 無風の中のレース | 先頭が僕、その後ろが上野(サイドブイ付近) |
他の仲間たちの結果が分からなかったため、チーム全体としての成績がとても気がかりだった。そしてE夏にどんなに怒られるのだろうと内心ビクビクしながら帰着した。しかしビーチでE夏が「今、暫定1位ですよ。」とニコニコしながら言ってきた。E夏1位、M瀬4位、Y井8位、そしてU野も9位に入り、神戸大学を0.3ポイント差で押さえていた。さすがは頼もしい仲間たちだ。ほっと一安心だった。