2000.8.9〜8.10
南八甲田縦走
1日目 猿倉温泉→矢櫃萢→旧道幕営地→櫛ヶ嶺→旧道幕営地
2日目 幕営地→黄瀬沼→乗鞍岳→赤倉岳→赤沼→蔦温泉

 夏休みを利用して、久しぶりの単独登山を計画。普段はなかなか行けない遠いところで、人が少なくて静かな山域ということで、行き先は南八甲田に決める。
 前日に車で猿倉温泉に入る。温泉の建物の奥の方にトイレと休憩所があり、その周りにテントを張る事ができる。車は10台くらいは置けそうだ。この日は平日という事もあって、テントは私一人。到着が夜になってしまったので、とりあえずテントを張って早速温泉に。お客さんも少ないのか、石作りの温泉にも私一人。そして風呂上りはもちろんビール! Tシャツ1枚では少し肌寒いくらいの気温だが、灯りを消すと満天の星空。一人静かにビールを飲む。
 翌8月9日。6時半起床。生憎の曇り空だが、時々うっすらと青空も見える。朝食をとり、休憩所に備え付けのポストに登山カードを入れ、7時45分出発。矢櫃萢(やびつやち)を通り幕営地へと向かうルートは、以前は車道であったらしいが、今はすっかり荒れてその面影はほとんどない。道も狭く一部薮がしつこいところもあるが、道ははっきりしている。
 緩い上りを約1時間ほど歩くと矢櫃萢に着く。矢櫃萢は小さな湿原。木道はないので入って行くことはできないが、傍らは休憩ポイント。草原を見ながら一休み。ここから先も道はだらだらとした上りが続く。刈り払いはされているが、笹薮が少々うるさいところが多く、展望もあまりきかない。1時間ほど歩くと乗鞍岳(のりくらだけ)への分岐に出る。ここは沢との出会いで、水もある。
 さらにしつこい笹薮をこいで40分ほど進むと、やがていくつか小さな湿原が現れ展望も利くようになる。黄瀬沼(おおせぬま)への分岐を越えれば、今日の幕営地ももうすぐ。やや水量の多い沢を越えると道がやや広くなっている場所があり、そこが幕営地になっている(写真1)。少し行くと駒ヶ峯(こまがみね)への登山道の分岐点がある。テントサイトはせいぜい5〜6張りくらいのスペースだろうか。水場が近いのはありがたい。

写真1 旧道幕営地の私のテントです。

写真2 櫛ヶ峯東斜面に広がるお花畑

 天気がやや回復して、晴れ間が多くなった。テントを張って昼食を済ませてから、早速櫛ヶ峯(くしがみね)へと向かう。12時出発。ここから櫛ヶ峯へのアプローチは、オオシラビソの林と湿原の中を行く快適なコース。湿原を渡る木道歩きは結構好きです(^^)。登山道の脇でチングルマ(たぶん)の群落をたくさん見かけたので、花の季節にはさぞかしきれいだろうと思う。
 幕営地を出ると道は緩い下り。湿原の木道を渡って櫛ヶ峯の麓まではゆっくり行っても1時間程度。登山道は頂上から南東に伸びた尾根上をいく。その尾根の北東側斜面は一面のお花畑(写真2)。お花畑の中には以前の登山道があるが、おそらく自然保護の目的で尾根上につけかえられたのだろう。尾根に取り付いてからが本格的な登りとなるが、頂上まではそれほどない。
 櫛ヶ峯頂上からは、明日のルートである黄瀬沼、乗鞍岳が一望できる。この日はあいにく雲が多くて見えなかったが、晴れていれば北八甲田の山々も見えるようだ。
 同じ道をたどってテント場へ戻る。わりとのんびりしたペースだったが、往復で3時間位だった。
 さて、夏休みシーズンとは言え平日という事もあって、ここまで山の中では誰とも出会わなかった。そういう意味では静かな山行を満喫していたのだが、櫛ヶ峯から戻って夕食の準備をしていると、8人ほどのパーティーがやってきて隣にテントを張りだしたので、幕営地はにわかに賑やかになった。まぁ「独り占め」の贅沢ができなかったのは仕方ないとして、楽しいのはわかるけど夜は静かにして欲しいなぁ(^_^;)。

 二日目。快晴。朝食を取りテントをたたんで6時10分出発。幕営地からは昨日来た道を少し戻ったところに黄瀬沼への分岐がある。相変わらず笹藪の少しうるさい登山道が続くが、道ははっきりしている。いくつかの小さな沢を渡り、展望が利かない道を下っていく。40分ほど下ると、ようやく黄瀬沼が見える場所に出る(写真3)。近くで黄瀬沼を上から展望できる場所は、このポイントくらいしかなかった。
 登山道は沼の上流(北側)に広がる湿原から入り、沼の西側をぐるっと周回して南側から乗鞍の尾根に取り付く。沼の周りは木道となっているが、一部水没していたり壊れたりしているので、注意が必要。また、沼の南側では一部木道がなくなり、湿原の中を歩くことになる。
 私はあまり花や植物に詳しくないので名前を紹介できないが、黄瀬沼の周りは湿性植物が数多くとても美しいところ(写真4)。付近にはこれといって休憩するポイントがないが、小人数なら木道に腰掛けてゆっくりするのがいい。

写真3 上から見た黄瀬沼
  
 写真4 黄瀬沼の辺にて

 黄瀬沼を過ぎるとすぐに乗鞍岳への登りとなる。ここは標高差で350mほどあり、今回のコースでは最も登りがきついところ。しかも笹薮を払いながらの登りで、少々バテた。とは言え、乗鞍岳頂上までは1時間半まではかからない。ただしハイマツ帯に出るまで展望は利かない。
 登山道は一度ハイマツ帯に出て再びオオシラビソの林に入り、一旦北西側に回りこむ。ここで再び展望の利くハイマツ帯となり、ここからは昨日の幕営地から駒ヶ峯・櫛ヶ峯までが一望できる(写真5)。北側に少し回れば北八甲田の山々も見える。乗鞍岳頂上付近はオオシラビソの林となっているので360度の展望と言うわけにはいかない。このルートでは西〜北の展望が得られるのはここくらいしかないので、頂上まで行かずにここで休憩を取るのがいいかもしれない。

写真5 乗鞍岳頂上手前から見た櫛ヶ峯(左)と駒ヶ峯(一番右)

 ハイマツ帯から再びオオシラビソの林に入り、南東側に回り込むと大きな岩がある。この岩からは南側の展望が開け、十和田湖が見える。大岩に腰掛けてしばし休憩。ガイドブックなどではこの大岩とは別な場所に乗鞍岳頂上があるように書いてあったが、頂上がどこにあるのかちょっとわからなかった。
 乗鞍岳から赤倉岳へ向かう下りは、チシマザサの急坂。刈り払いされてはいるが刈り取られた笹が滑りやすく、ちょっと苦労する。下りきると小さな湿原に出る。この湿原は木道はなく、登山道も分かりにくい。25000分の1の地図では湿原を左に巻くように道が書いてあるのだが、実際にはそんな道はない。あるかないかの踏み跡を頼りに湿原を左斜め方向に突っ切ると、そこから先が刈り払いされていて登山道を見つけられた。
 湿原を過ぎ鞍部を通って赤倉岳へはそれほどきつい登りはない。乗鞍岳から赤倉岳までは1時間ほど。赤沼方面への分岐を過ぎてしばらく行くと赤倉岳頂上につく。この頂上もオオシラビソの林の中にあり、東南東方向の展望しか得られないが、晴れていれば赤沼が見下ろせるらしい。残念ながら私が行った時は、すでに雲に覆われてなにも見えなかった。
 さて、25000分の1の地図には、どういうわけか赤倉岳から赤沼へ至る登山道が記載されていない。ただガイドブックや「エアリアマップ」などには大抵載っていて、そして実際かなり明瞭な登山道がある。笹薮が少ない分、これまでの道よりもむしろ歩きやすい。
 登山道は赤倉岳の分岐から北に下り、一旦矢櫃沢右岸にある湿原まで下りて、湿原の端を通って少し登り返し、標高1000m付近を巻いて1089.6のピークと936のピークを結ぶ尾根の北側を通って赤沼の一番下流側に出る。湿原の中は木道はなく、かなり泥濘を歩くことになるので、雨が降った後や人がしばらく入ってないと、ひょっとすると道が分かりにくいかもしれない。湿原から赤沼まではブナ林の中の快適な道。赤沼は水面に映るブナ林がきれいな沼で、赤倉岳が正面に見えた。バスの時間までまだしばらくあったので、湖畔でゆっくり過ごす。赤倉岳から赤沼までは1時間半というところ。
 赤沼から先の道も25000分の1の地図にはないが、仙人橋のたもとに出る道と蔦トンネルの蔦温泉側に出る道が途中でわかれている。赤沼の辺で出会ったハイカーは、仙人橋に車を停めて歩いてきたそうで、その人が持っていたガイドマップを見せてもらった。仙人橋までははっきりした道があるとのこと。仙人橋にもバス停があることも確認する。
 しばらく休憩してから仙人橋に向かう。が、途中でコンタクトが片方はずれてしまい、視界があまりよくない。実は持ってきていたメガネも途中でなくしてしまったようで、困ったなぁと思いつつ、もう一度予備のコンタクトを着けるのも面倒だったので、そのまま歩いていた。25分ほどで車道に出たが仙人橋ではなく蔦トンネルの蔦温泉側に到着。分岐に気付かなかったようだ。そんなに明瞭ではないのか?(^_^;)。仕方なく車道を蔦温泉まで歩く羽目になる。赤沼から蔦温泉まで歩いて40分くらい。
 蔦温泉からバスで猿倉温泉へ。短い区間だがバス料金は540円くらい。バスはシーズンにもよるが、1時間か2時間に1本くらいある。
 猿倉温泉に戻って、ほっと一息。登山靴を脱ぐとようやく山から下りてきた実感がわく。この日は雨が降りそうだったので、酸ヶ湯のキャンプ場ではなく温泉に泊まることにした。1泊11000円。ちょっとした贅沢(^^)。建物はボロだけど、自慢の「千人風呂」は広くて気持ちがいい。
 温泉で疲れを癒し、翌日車で仙台に戻った。